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田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

金子勝氏おおいに吠える

2013-03-01 23:26:36 | 講演・講義・フォーラム等
 テレビでお馴染みの慶大教授で経済学者の金子勝氏が札幌で吠えた! 金子氏は何時のときも、時の政権に対して批判的な見方をする方と見ていたが、特に安倍政権に対しては厳しい見方をされているようである。 

 毎年案内を届けてくれる北海道トラック協会勤務のK氏から今年も「トランスポートセミナー」の案内が届いたので受講することにした。
 2月25日(月)午後、いつものポールスター札幌において今回は慶大教授の金子勝氏を招いて「これからの日本経済と企業経営」と題する講演が行われた。

          
     ※ いつも講演の時は前の方に陣取るのだが、この日は開始時間直前に会場に入ったために最後方になってしまった。

 北海道トラック協会主催の「トランスポートセミナー」…、つまり聴衆のほとんどは運輸業に関わる関係者が集まったセミナーである。
 そこに登場した金子氏はいささか居心地の悪さを感じながらの講演だったようにも私には感じられた。
 そこで金子氏はまず黒板(白板)に「集中メインフレーム型 ⇒ 地域分散ネットワーク型」と書き入れ、「しばらくは暗い話が続くが、後半は少し明るい話になるので最後まで聴いてほしい」と断りを入れて話し始めた。

 話の主たる内容は、安倍政権が近く参加表明をしようとしているTPP問題について、彼が唱える地域分散ネットワーク型の経済とは真逆の方向性であり、交渉によって護られるのは「せいぜい米くらいであろう」と切って捨てた。
 さらに原発問題についても、政府もメディアも小児甲状腺がんの増加など事態の深刻さを隠ぺいしたままで原発再開の世論形成を目論んでいるとした。

               

 そして専門の経済についての話に及んだ。
 金子氏は日本経済の動きを鳥瞰図的に見ると、現在の日本経済は1990年代と酷似しているとし、専門家らしく1990年代の日本経済の軌跡を細かく描き、失われた20年の経済政策の失政を指摘します。
 そして今、その失敗に懲りず政治は再び同じ過ちを犯そうとしていると声高に主張します。氏が指摘するには、政権が進めようとしている「金融緩和」と「構造改革」は最悪の組み合わせだという。
 経済に疎い私には金子氏が解説する内容を十分には咀嚼することができなかったが、金子氏的な眼鏡から日本経済を見ると危機的な状況のようである。

 それでは、そうした危機的状況に対する金子氏の処方箋は?というと、世界がICT革命を迎えている現在、これまでの大量生産・大量消費の「集中メインフレーム型」ではなく、コンピューターを駆使した「地域分散ネットワーク型」に移行していくべきである、と主張します。

 どうも私の力量では90分間に及ぶ金子氏のお話をまとめることには無理があったようだ。
 それでも最後に私なりの感想を述べるとすれば、過去や現在の分析については経済学者らしく鋭い指摘でもあったのかなと思える。(いわゆる経済用語が飛び交い理解することが困難な話も多々あったが…)
 それに対する金子氏の処方箋は時間のなかったせいもあるかもしれないが、やや物足りない印象を受けたことも事実である。それは過去や現在の分析が鳥瞰図的だったとすれば、未来への処方箋に対する傍証として取り上げられた例がアマゾンやコンビニというのではあまりに虫瞰図的だったのではないだろうか…。

 いや~、講演の内容をレポートするのはいつのときも苦労しているが、それが経済のことになるとなおさらである。私にとっては鬼門である。