早朝のバス。
「むっつり」して乗ってくる乗客たち。
「おはようございます」。
車内に響く
運転手さんの元気な声。
けれどみんな「むっつり」「むっつり」・・・。
それでも運転手さんは元気に
「おはようございます」。
と、その時、
「おはようございます」と明るい声。
常連さんらしき、年配の女性。
「○○さんは乗おならんだあか」と声の主。
「歩いているのを見かけんだった」と運転手さん。
「ほんとか」
「仕方ない」
バスは出る。
やがて降りる人が増え
運転手さんは元気に
「いってらっしゃい」。
高校生も会社員も私も
「ありがとうございました」。
いつの間にか
「むっつり」の魔法が解けて
みんな「にっこり」に変わっていた。
それぞれの1日が始まる。
パンジー
copyright Maoko Nakamura