土曜日の深夜、というか日曜日の1時から、NHKで「あのね、さださん」という番組をやっていた。
これは大船渡での公開録画で、さだまさしさんに、何かを話したい人たちを募ったもので、身近なことから、思っていることなんでもぶつけて、さださんが答えるというもの。
そのなかで、さださんが言っている言葉が心に残っている。
大船渡も地震の被害の多い所だったので、命についての「あのね」もあった。
観客の中にも親しい人を亡くした人、ようやく助かった人などたくさん来ていた。
「命は奇跡の積み重ねなんですよ。普通に生きているけれど、本当は毎日が命の積み重ねの連続だと思います。」
ご主人を津波で亡くした人の「あのね」に対する言葉だった。
私もそう思う。
毎日、奇跡が続いているだけで、その奇跡がいつなくなるかが、命の尽きるときだと思う。
私の母も1月の寒い日、奇跡を続けることができなかった。
葬儀など忙しくしている間は、あまり気がつかなかったけれど、すべて済み、ある夜ひとりでテレビを見ていた。
それは「今夜も生でさだまさし」というさださんが視聴者からのお手紙を読むという生番組だ。
この番組は面白いのでいつも、夜遅くまで起きてみていたので、その日も「ああ、生さだやってるんだ・・・」と思いボーッとみていた。
お手紙とさださんの掛け合い(?)はとても面白く、深夜番組なのに、ついつい最後まで見てしまう。
その日、あるお手紙で本当にちょっとした面白いことが書いてあった。
内容は忘れてしまったけれど、おもわず私は声を出して笑っていた。
そして気がついた。
『今、わたし声を出して笑った!』
それまで忘れていた笑い声を久しぶりに聞いのだ。
そしてこれが自分の意識を取り戻す一つの転機にもなったようだ。
今でもまだ涙はでてくる。
もう少し、母には奇跡を続けてほしかったから。
一人でいると、誰ともしゃべらないから声も出ずらくなる。
ただただ、ひとりでTVをみているだけ。
これから、私は私の奇跡をどこまで積み重ねていけるか。
その1日1日の奇跡をどこまで有意義なものにできるか。
そろそろ考えなくてはいけない時期に来ているのかもしれない。