fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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大久保りん句集『薔薇一輪』(童子吟社)

2016年02月26日 | 本の紹介
              写真が曲がっていてもうしわけない。というより、撮り方が悪い。

御年99才の大久保りんさんが、初句集を出されました。昭和30年より以前から俳句を始め、名だたる俳人に師事し学んでこられたけれど、句集を出さずに今日まで来ていらしたのです。そして、このたび出したものは、90才をすぎてから作った句を集めたもの。つまり80才代以前のものはすべて、捨てたのです。なんという潔さ。

 世のこのにうとく住みては夕端居
 余生とて青野に風の吹いてをり
 亡き人のつぎつぎ出でて春の夢
 老人にあきあきしたる枯蟷螂
 人の世もとどのつまりは牡丹散る

 りんさんは、辻桃子「童子」主宰の母上。りんさんが俳句をやっていたから、辻桃子は俳句をやり、そして私も俳句をやっているわけです。りんさんに感謝。
 何度かお会いしていますが、俳号そのもの、「凜」としたお方です。りんさんが入ってらっしゃる苑での句会にもお邪魔したことがありますが、廊下には、りんさんが描いた紫陽花に、入居者が色を塗ったものがずらりと貼られていました。

 昼食にたれかが咽せて獺祭忌
 春待つや何年経つても老人で
 寝疲れといふ疲れありスイートピー
 花屑がつもる庭下駄退院す
 一片の塵もまじへず桜散る

 お見事!!

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