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fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『金色のキャベツ』(堀米薫)ーそうえん社

2015年01月06日 | 本の紹介

             高学年以上    

 昨年の12月に発売になった本です。堀米さんは、12月には『モーモー村のおくりもの』も出されています。一月に2冊! すごいです。

 『金色のキャベツ』も、また農家である堀米さんならではの作品です。主人公の風香は、塾や習い事に追われる都会の子。でも思い立って(というのとも違うか?)、田舎でキャベツを作っているおじさんのところへ出かけたことで、新しい世界が広がります。学生、研修生、外国人とたくさんの人たちが集まり、働いているキャベツ畑で、風香も段ボールの組み立てをやったり、キャベツを切ってみたり。そして、なにより新鮮でおいしい食べ物の数々。

 真剣に働く人々、そして厳しい現実が風香の目を通してきっちりと描かれています。

 金色に光る朝のキャベツ畑の美しい映像が見えるようです。でも田舎がいい、農業がいいという単純な話ではなく、東京にもどった風香には、スーパーに並んでいる野菜たちが、少し前まで自分がいた畑とつながっていることに気づくのです。そして野菜作りをするのは人間たち。その人間たちの佇まいがすばらしい作品でした。

 読後、キャベツが食べたくなりました。手にしたキャベツを見て、これも畑にあったんだなと、手に重みを感じます。

 堀米さんの世界の深さに、心打たれます。

 巻末には、コールスローのレシピがあり、作って食べましたよ! レモンがなかったので、ユズで代用しましたが、おいしかったー。