学校教育を考える

混迷する教育現場で,
日々奮闘していらっしゃる
真面目な先生方への
応援の意味を込めて書いています。

2006年PISAの結果をめぐって(2)

2007-12-06 | 教育
文部科学省のHPに
2000年,2003年のPISA調査の結果の要約が
掲載されている。

そこで気づいたことなのだが,
2000年調査と,2003年・2006年調査では,
調査対象が異なっているようである。

2000年調査では,
「高等学校本科全日制学科」の1年生が対象であり,
2003年調査と2006年調査では,
「高等学校本科の全日制学科,定時制学科,
中等教育学校後期課程,高等専門学校」の1年生が対象なのである。

HPから得られるデータをもとに,
「読解力」について
2000年と2003年と2006年調査の
レベル別分布をグラフ化してみると,
2003年と2006年がほぼ重なり合う分布を示すのに対し,
2000年だけが分布が大きく異なるのである。

このふたつの事実に気づいていなかったのは
私だけなのだろうか??

調査対象の違いは,
データに差異をもたらすほどのものでは
なかったのであろうか??

よく吟味する必要がありそうである。

ともあれ,
それぞれの調査の調査対象が同一でない限り,
データ比較上,学力の変化を云々することは
できないとするのが,
科学的リテラシーというものではないだろうか?


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2 Comments

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私も… (taketyann)
2007-12-08 10:46:05
私も気づいていませんでした。そりゃあ常識で考えて、2000年のデータとそれ以降では順位が下がるのは当然ですよね。

PISAテストの実施には色々ルールがあると聞いていますので、今回と前回の方が、国際比較テストとしては正しい実情を反映していると見ていいのではないでしょうか。

それにしても、どういう生徒がどういう問題を解いたのかはほとんど触れず、注目するのは順位だけ。「学力低下」を印象付けないと困る人が相当いるのではないかと勘ぐってしまいます。(教育も今や「公共事業」ですからね)

あくまで個人的な印象ですが、前回の大騒ぎに比べると今回の結果は良くなかったにもかかわらず、さほどマスコミも大きく取り上げていないように感じます。ランキングに一喜一憂するような国の姿勢に、少し熱も冷めてきたのでしょうか。それとも食品偽装とか原油価格の値上がりなどの報道の方が忙しいのでしょうか?

マスコミに煽られて教育改革を性急に進めるようなことはいいかげんにやめて、学校現場の実情を反映した、地に足をつけた政策を実行してほしいものです。
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Unknown (madographos)
2007-12-09 02:04:04
>taketyannさま。コメントありがとうございます。いわゆる「学力低下」の原因がこれだけいろいろと議論されている割には,データの抽出方法についてはあまり注目されていないということが不思議でなりません。この種の学力テストは,独自に誤答の分析をすることもできませんから,このテストの結果から教育のあり方を云々することは本当は危ういことではないかと思い始めています。さらに,果たしてPISA型学力というものが妥当性の高いものなのかどうかの議論も必要だと思います。結果,それもランキングにばかり目をむけて,そのランキングの向上のみが課題となり,そのテストの前提となっている価値観や方法に対して批判的に検討することをしないという姿勢そのものに,我が国の「学力観」の問題がありそうです。
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