Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

Trip a go go!!

2019-02-18 00:10:00 | コラム
快楽主義を自称しているため、冗談をいいあえる友人から「クスリとかはやったことあるの?」と聞かれたことがある。

「そのヘラヘラした感じは、クスリが原因?」かと。

答えはもちろん、NO。

そして「どのくらい気持ちいいのかは、正直知りたい。だから死ぬ1時間前とかね、逮捕されても意味がないと分かっている時点で試せるなら試したい」と付け加えることもしている。


なぜ、いまやらないのか? は、そりゃあもちろん捕まってしまうから。

それともうひとつ、クスリのチカラを借りて創作をすると、それはもう自分で創ったという感覚がなくなってしまいそうだから。

LSDやハッシッシでラリった状態のまま曲を創ったストーンズとかを批判しているわけじゃあないよ、あれは「そういう時代だった」のだろう、たぶん。

でも、いまはそうじゃないだろうと。

それに、小林よしのりもいっていたが、自身のドーパミン(脳内麻薬)を信じればクスリなど必要ないはず・・・と、創作の面では考えているところがあるので。


だからとうぶんは、というか死ぬ1時間前までは、自分はクスリには手を出さないでしょう。

その代わり、気持ちよくなる映像と音を浴びよう。

以下の10作(映画とはかぎらない)は、クスリによるトリップ感覚の映像化を試みようとした作品であったり、トリップしながらの鑑賞をすすめるパフォーマンスであったり、それらとは無関係だが「観ていて不思議と気持ちよくなる」映像が登場する。

この「気持ちよさ」は、あくまでも自分個人の感覚だけどね。


(1)『ホワイト・ラビット』(ジェファーソン・エアプレイン…トップ画像)

演奏もそうだが、彼女の歌声がね。




(2)『ツイン・ピークス2017』(2017)

ネット配信だからここまでの自由が許されたのか、それでもいちおうはテレビドラマだからね。

問題の第8章はあらすじを記すことさえ困難だが、あの暗い画面に慣れ始めると、どんどん気持ちよくなっていく。


(3)『2001年宇宙の旅』(68)

この描写はけっこう長い時間つづくので、キューブリックはかなり意識的にトリップを仕掛けたのだろうなと。




(4)『真夜中のカーボーイ』(69)

アメリカン・ニューシネマ時代には、じつは「よくある手法」ではあった。

だって、そういう時代だったのだもの。


(5)『青い春』(2002)

あぁ、新井浩文くん・・・。




(6)『白昼の幻想』(67)

(4)のつづきになるが、ロジャー・コーマンが創った映画なので、実に分かり易い意図があって制作された。

つまり、「やったことないひとへ。クスリやると、こんなトリップ感を味わえます」という疑似体験を目指した作品。


(7)『クンドゥン』(97)

ダライ・ラマのインド亡命シーンを巨匠が撮ると、巧過ぎて気持ちのよい映像が出来上がってしまった。


(8)『ゴジラ対ヘドラ』(71)



日本産のトラウマ映画として、多くの識者が言及する問題作。

幻覚シーンで登場する魚人間のインパクト!!


(9)『ジ・エンド』(ドアーズ)

とくに後半の旋律。

ジム・モリソンの最期を想像するとね・・・。


(10)『数に溺れて』(88)

最近はなにをしているのか知らないが、日本に紹介され始めたころのグリーナウェイの映画って、ひじょうに刺激的だった。

物語もだが、まず映像的な仕掛けが沢山あって楽しめるうえに気持ちよかったのだ。

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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(99)北川景子』
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『拝啓、〇〇様』(12)

2019-02-17 00:10:00 | コラム
~シルベスター・スタローンの巻~

第一夜:シルベスター・スタローンのキャリアを我流紹介
第二夜:シルベスター・スタローンへの手紙

きょうは、その第二夜。
(ちなみにトップ画像は、スライの娘たち)


拝啓、スライ様。

トム・クルーズとか、80~90年代のスピルバーグとか、オスカー会員に嫌われている「と、されている」ヒットメーカーは多いですが、自分は、あなたがいちばん嫌われているのではないか・・・と、ずっと思っています。

初めてのノミネートは、『ロッキー』(76)の主演男優賞。

憧れのモハメド・アリとプレゼンターとして壇上に立ったとき、あなたはこういいました。

「―今夜、オスカーは取れないかもしれない。けれども偉大なスターと同じ舞台に立つことが出来て僕は光栄です」

・・・とはいったものの、本心は「取れる」と思っていたはず。

だって、最有力とされていたピーター・フィンチ(=『ネットワーク』)は故人となってしまったから。

「映画の祭典だからこそ故人を偲んで」という流れは現代であれば納得、しかし当時はそうでもなかったのではないでしょうか。

フィンチの名が読み上げられたときの、あなたの呆けた表情がそれを物語っています。

『ロッキー』は作品賞や監督賞を受賞したものの、オスカーはあなたに微笑まなかった。


それから約40年後―。
あなたは再びロッキー・バルボアを演じ、今度は助演男優賞にノミネートされます。

ファンだけでなく映画関係者のほとんどがあなたの受賞を予想、しかし封筒のなかに記された名前は『 ブリッジ・オブ・スパイ』(2015)のマーク・ライランスでした。

この結果で確信したのです、あぁスライって嫌われているんだな、
そして誤解を恐れずにいえば肉体派のアクション俳優って根本的にバカにされているんだな、、、と。


※『コップランド』(97)の演技もよかった




『ドリヴン』(2001)で、若きレーサーに向かってあなたは「頭を使え」といいます。

多くのメディアはこれに対し、「お前がいうな」とツッコミを入れました。

白状します、自分もそう思ったものです。

ごめんなさい、でも弁解させてください。
同じように見えるツッコミでも、あなたの映画を愛したうえでのブラックジョークと、キャリアを軽くなぞっただけの軽口とでは差異が生じているはずなのです。

筋肉バカを文字どおりバカにする傾向は、いつの時代だってあると思います。

自分は映画の祭典としてのオスカー授賞式をこころの底から楽しんでいる映画小僧ですが、アカデミー賞なだけに、、、といいますか、いわゆるアカデミックな作品だけを評価するきらいがあるところは好きではないです。

「#me too」や人種差別主義的な問題は指摘されることがあっても、敢えてこういいます「バカでも分かる筋肉映画への差別」を突く声はほとんど聞かれません。




ロボット・怪獣映画を愛するデル・トロによる『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)の作品賞受賞は、「その壁」を超える可能性を孕んでいる―だから多くの映画小僧は涙したわけですが、
本年度のテレビ中継において、4部門―撮影賞、編集賞、短編実写映画賞、メイク・ヘアスタイリング賞―の発表をCM中におこなうと発表したアカデミー協会に過度な期待は抱けません。


想像ですが。
近しいひとたちから、「賞がすべてじゃない」といわれつづけてきたことでしょう。

自分だってそう思います。

批評家からボロクソにやられても大ヒットを記録―トム・クルーズ同様、「この感じ」が妬まれたというのはたしかにあったはず。


そして、いってしまいますが。断言してしまいますが。
前回の助演賞ノミネートこそ、あなたがオスカーに輝く最後のチャンスでした。

(その正反対にある)ゴールデンラズベリー賞は何度も受賞しているのに!


あなた自身は、じつはそれほど望んでいないかもしれないオスカー受賞を、映画小僧のほうが強く望んでいるという背景。

なんだか押しつけがましい表現ですが、そんなところにあなたの魅力があるのかもしれません。


だから。
しんどくなってきたとは思いますが、これからも、身体酷使という芸で我々を楽しませてください。


敬具。




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『拝啓、〇〇様』(11)

2019-02-16 00:10:00 | コラム
~シルベスター・スタローンの巻~

第一夜:シルベスター・スタローンのキャリアを我流紹介
第二夜:シルベスター・スタローンへの手紙

きょうは、その第一夜。


ロッキー「―オヤジにいわれたんだ、お前は頭が悪いから身体を使う仕事に就けって」
エイドリアン「(微笑)」
ロッキー「なぜ笑う?」
エイドリアン「わたしは逆のことをいわれた。身体が弱いから頭を使えって」
ロッキー「(微笑)」

肉体派俳優、スタローン(以下、通名的あだ名のスライと表記)も72歳。

ライバルのシュワ氏が71歳、成龍は「やや」若く64歳。

どちらにせよ、中年ではなく初老だ。

冒頭に掲げたことばのとおり、スライは身体だけを武器にして映画キャリアを築いてきた・・・ように見えるが、じつはひじょうに頭がいい。

IQ的には不明だが、素晴らしい脚本を書く能力があるということ。

そのことにいち早く気づいたのはスライ自身であり、しかし周囲はそれをなかなか認めなかった。

『ロッキー』が映画化されるまでの極貧時代が、それを証明している。


十数校から放校処分を受けた札付きのワルだったが、荒んだのにはそれなりの理由があった。

出産時の医療ミスにより顎周辺の神経が傷つけられてしまい、言語障害と下唇の下垂という症状が残ってしまう。

ガキの性悪さとはそんなものだろう、これをクラスメイトがからかって人間嫌いになった。

あの独特な台詞回しは演技ではなく「素」だったということだが、これがロッキーのキャラクター設定で活きることになる。


周囲に溶け込めず、常に悪さばかりしている彼に名づけられたあだ名が、スライ(=ずるがしこい)。

それを隠すことなく公表したところに彼の人間性が表れていて好感が持てるが、内にこもりがちだったスライを夢中にさせたのが映画だった、、、というわけ。


スライのスクリーンデビューは、ポルノ映画『子猫と種馬のパーティ』(70)。



『ロッキー』が公開される6年前のことで、マドンナ同様に極貧生活から抜け出すため「仕方なく」出演したと告白している。


29歳になったスライは、モハメド・アリVSチャック・ウェプナーのボクシング・タイトルマッチを観戦。

アリの復帰戦のため「いけにえ」的に用意されたウェブナーの奮闘に感動し、『ロッキー』の脚本を3日で書き上げる。

気に入ったスタジオ重役は脚本を買おうとするも「自分が主演じゃなきゃ売らない」と強気なスライに難色を示す。

結局、大作として企画されていたこの映画はB級俳優が主演する低予算作品として制作されることが決まった。

しかし評判が評判を呼び上映館数は急激に増え大ヒットを記録、翌年のオスカー作品賞をかっさらったのだった―。


※オスカー授賞式で、アリと共演…アリ「アポロは俺だな? キミは盗作したんだな!?」





『ロッキー』はシリーズ化され6作目まで制作、さらにスピンオフ作品『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)も好評を受け、その続編も制作された。


※ハムのCMといえば




82年―もうひとつの代表作となる『ランボー』のシリーズがスタートし、シュワ氏と人気を二分するスターへとのぼりつめる。

いま観ると微妙なセンスだが、当時はモノスゴ格好よく見えた刑事モノ『コブラ』(86)、
アームレスリングで親子愛を語る「ザッツ80年代!」的な快作『オーバー・ザ・トップ』(87)、
脱獄モノの佳作『ロック・アップ』(89)などなど、スマッシュヒット作を連発する。

しかし。
シュワ氏につづけ! と思ったのかどうか、『刑事ジョー ママにお手上げ』(92)でコメディに初挑戦し惨敗。

シュワ氏ほど愛嬌がなかったことが敗因だろう、スライがえらいのは「2度の失敗」を犯さないことで、大作『クリフハンガー』(93)に主演し「俺の居場所はここだ!」と高らかに宣言する。

97年にはデ・ニーロ、ハーベイ・カイテル、レイ・リオッタらと共演した『コップランド』で地味な警官を好演。


21世紀に入って以降も身体を強調・酷使し現在に至る―。


ではあすの第二夜で、スライへの手紙を展開してみよう。


※最後の最後、歌っているサミー・ヘイガーと対戦するという、じつに洒落た創りのPV



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がっつき屋さん

2019-02-15 00:10:00 | コラム
がっつく

むさぼるように食う。また、程度を超えて物を欲しがる。がつがつする。

(デジタル大辞泉より)

…………………………………………

早喰いは太る。

それと、

喰ってすぐに寝ると太る。


昔っからいわれていること。


後者はそんなこともないらしいが、前者はたしかにそうだろう。


で、自分は、というと。

まぁ早喰いの部類に入るだろうねまちがいなく。

で、実際に気をつけないと太りがちになる、、、っていう。

だから「ゆっくり喰おうと努力」はしている。

ものの、そんなにがっついているという意識もなかったりする。

ただ他者からはそう見えるらしく「そんなにがっつかなくても」「せっかく作ったんだから味わって」とか、よくいわれる。


そら悪うござんした、お里が知れるような喰いかたをしちまって。

こっちからしたら鮮度のよいものをいつまでも口に入れず、ぺちゃくちゃ喋っているほうがどうかと思うのだけれども。

それでもあなたのようには下品に見えない―ってか。


・・・いや、べつに最近、なにかあったというわけじゃないけれども、早く喰うのに慣れているし、それでもきちんと味わっているつもりだし、
ついでにいえば、デートとかでは「それなりに相手のペースにあわせる」ことも出来るので、いちいちうるせーな! とは思うわけです。


~「がっつく」シーンが印象的な映画5本~

『悪い奴ほどよく眠る』(60)

監禁された志村喬が、与えられた食事にがっつく。


『沈黙 サイレンス』(2016)

やっと食事にありつける興奮を抑えられず、祈りさえ忘れてしまう神父。


『千と千尋の神隠し』(2001)

がっついて、両親が豚に。


『インファナル・アフェア』(2002)

そこまでがっついてはいないものの、検挙されたヤクザのボスが、ボスだけが、警察署でおいしいものを食べているこの場面がすごく印象的なので。




『ブロードウェイと銃弾』(94…トップ画像)

過食症の俳優役、ジム・ブロードベントの演技が笑ってしまうほど自然だった。

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vitamin CINEMA

2019-02-14 00:10:00 | コラム
先日のフィギュアスケート、紀平ちゃんと宇野くんの逆転優勝には元気をもらった。

映画小僧・格闘技マニアの前に? 美少女好きであるからして、とくに紀平ちゃんの活躍はうれしい。

たぶん美人度でいったら長野五輪で注目されたエレーナ・リアシェンコか、



最近振るわないが頑張っている真凛ちゃんのほうが上だと思う、アスリートを美醜で語るなという声があることを知ったうえで敢えて書くが。

ただ、なんというのだろう、紀平ちゃんはこのふたりにはない茶目っ気みたいなものを宿していて、なんか見入っちゃうんだよね。


それはともかくとして映画小僧ゆえ元気を出したかったら元気が出る映画でも観ればいい、沢山知っているでしょう、、、なんてイヤミな書き込みをされたことがあって。

そう、そのときのコラムもスポーツを観て元気もらった♪ みたいな内容だったんだ。

ツッコミのとおりなのだが、映画でもらう元気とスポーツでもらう元気―結果としては同じだが、元気が生じる過程には若干のちがいがあるような気がするのだよね。

スポーツのほうが、「より」ストレートに迫ってくるものがある、、、ということかな。


では、自分のような映画小僧はどんな映画から元気をもらうのか。

以下が、その10本。

生涯のベストと似て非なるもの、、、であることは分かってもらえるかしら。。。


『タクシードライバー』(76)



簡単にいえば暗くて情緒不安定で思い込みの激しい若者がこじらせにこじらせる物語なのだが、それでも、いやだからこそ元気をもらえる。

これ1本を挙げただけで「スポーツでもらう元気とのちがい」が、はっきりと分かってもらえるのではないか。


『ラプソディー・イン・ブルー ファンタジア2000』(2000)

みんな、そういうものなのだよ・・・やさしい描線で、そう語りかけてくれる。




『キャリー』(76)

べつに奇をてらっているわけじゃあない、灰のような高校生時代、自分はこのホラー映画に救われた。

俺をイジメたやつ、みんな死んでしまえ! 実際にそう思ってた。


『メジャーリーグ』(89)

そんな暗いヤツでも、「ポンコツ集団がみんなで力をあわせて」的な物語も好きだ。

とくにこの映画の、それぞれのポンコツ描写は神がかっている。

カーブを打てない理由を神様のせいにしたり、足はめっぽう速いのに打つとフライばかりとかね。


『用心棒』(61)

「斬られりゃ、痛ぇぞ」

才能のある監督がひたすら楽しんで撮ったんだ、その感じが観るものにまで伝わってくる。


『奇蹟』(89)

「―お前ら、ずっと悪いことばかりしてきたじゃないか。いちどくらい、ひとのためになりたいとは思わないか?」

成龍が映画でやりたかったことのすべては、これを観れば分かる。




『赤ちゃん泥棒』(87)

不妊で悩む婦人警官も、ひとを殺したくないから実弾をこめずにスーパーを襲う強盗も、みんな生きているんだ。


『ワンダとダイヤと優しい奴ら』(88)

奇人変人、大集合。

悩んでいることがあったとしても、どうでもよくなってしまう痛快さがある。




『魔女の宅急便』(89)

映画小僧にも元気を与える、魔女キキのけなげさ。

そーとーなもんだと思う。


『ワイルド・アット・ハート』(90)

いっぱいひとが死ぬし、血がスクリーンを覆うが、それでも最後は「愛だよ、愛。」。

デヴィッド・リンチの詩心に、打たれたぜ。

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明日のコラムは・・・

『がっつき屋さん』
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