Cape Fear、in JAPAN

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映画監督別10傑(37)大林宣彦

2019-01-17 00:10:00 | コラム
~大林宣彦のキャリア10傑~

大病などを告白したひとには、悲壮感が漂うようになる。

死が目前に迫っていることが多いのだから、それは当然だろう。

でもなんか、必要以上に「受け手」が「当人」にそのイメージを背負わせている感じがしないでもない。

大林宣彦は、いつもとなんら変わらぬ穏やかな表情をつづけ、そこに抵抗しているように見える。


がんに勝ち「余命は未定」とうそぶく広島出身、80歳のおじいちゃん監督。

なごむなぁ、なごみつつ、格好いい映画監督人生だなぁ! と思う。


(1)『転校生』(82)

『家族ゲーム』(83)に次いで笑える、日本産コメディの傑作かと。

キャスティングの時点で成功は8割決まったようなもの、もちろん軽やかな演出もグッド。



(2)『異人たちとの夏』(88)

もともと「ちょっとしたSF」が好きな大林監督、その「よい部分だけ」が出た佳作。

ちなみに「わるい部分だけ」出てしまったのが、『漂流教室』(87)かと。

若かりし親に出会うというのは『フィールド・オブ・ドリームス』(89)に似た設定だが、日本と米国だとこれほどちがう物語が出来上がるんだね。

(3)『ふたり』(91)

絵葉書のような映像のなかで、きゃわいい少女ふたりがあれこれする―と評したのは北野武だったか、
その毒づきに納得しながらも、この世界観は好きだな。

まぁ中嶋朋子のファンだった、、、というのは大きいが。



(4)『花筐/HANAGATAMI』(2017)

40年前に脚本化した檀一雄の小説を「やっと」映画化。

大林監督が体得したあらゆる技法を駆使し、ほかの監督では絶対に「こうならなかったであろう」映像世界を構築している。

結果論だが、40年の熟成期間は吉と出たのだと思う。

(5)『時をかける少女』(83)

SFとアイドルの幸福な結婚。

日本映画特有のジャンルのような気がするので、いまだってこれに力を入れてもいいんじゃないかな。



(6)『HOUSE ハウス』(77)

初の商業映画。

大林監督にも、「処女作には、監督の資質すべてが出る」が当てはまるということ。

(7)『青春デンデケデケデケ』(92)

ロックに明け暮れた高校生たちをノスタルジックに活写。

ウェストビレッジマドンナ(=石田ゆり子)の設定なども巧かったし、直木賞受賞作の映画化としては、かなり成功した作品なのではないか。

(8)『あした』(95)

赤川次郎の小説を映画化、これまた「ちょっとしたSF」物語。

筋としては「?」が残るものの、「登場人物の初潮」に関するやりとりを観て「ほかの監督じゃ、こういうシーン撮らないな…」と感心、すごく印象に残っている。



(9)『ねらわれた学園』(81)

『時をかける少女』で完成する「SF×アイドル映画」の、いわば習作。

習作というと怒るひとが居るかもしれない、だってこの映画の薬師丸ひろ子は、たしかに魅力的だったのだもの。



(10)『廃市』(84)

熱心な大林ファンのなかには「これぞ最高傑作」と評するひとも多い、16mmフィルムによる、小さな小さな物語。

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明日のコラムは・・・

『『拝啓、〇〇様』(9)』
コメント (1)
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