Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

うろたえベストテン

2013-09-08 02:20:14 | コラム
好きなことばのひとつに、「うろたえる」というのがある。

狼狽と書いて「ろうばい」と読ませるのに、「狼狽える」と書けば「うろた」になる―日本語は、ある意味でムチャクチャだな、難しいな、

そういうところも含めて好きなのだが、

辞書の解説は「不意を打たれ、驚いたり慌てたりして取り乱す」とある。


最近、うろたえたこと。


その壱。
生ビール、ジョッキ5杯程度で歩けなくなった。

食べ合わせ?

疲れてた?

単に弱くなった?


その弐。
自慰をしたら、ティッシュ2枚で足りた。
それでも多かったかもしれない、ひょっとしたら1枚で足りたのかもしれない。

やり過ぎ?

トシのせい?


その参。
通帳を見たら、残高が13円だった。

これはまぁ、いつものことだ・・・って、小さいことでうろたえてばかりだなぁと。


こんなんじゃ、映画の筋にはなり得ない。
というわけで、名作のなかから「これぞ!」な「うろたえ10傑」を選出してみた。

もし自分が、そのキャラクターだとしたら? なんて問いかけながら映画を観るのも楽しい行為かもしれない。


(1)『生きる』(52)

勘治さん(志村喬)が自分の癌を知っていた―そのことを、勘治さんの死後に知る息子のうろたえ。

そういえば一昨日は、黒澤の命日だった。

(2)『グッドフェローズ』(90)

トミー(ジョー・ペシ)の幹部昇進は嘘で、彼は無残にも殺される。
葬儀で顔も見せられないよう、顔面を完全に潰されて。

その死を電話で聞かされたジミー(デ・ニーロ)のうろたえ。

電話ボックスを倒し、ヘンリー(レイ・リオッタ)さえどうにも出来ないのだから、相当なものだ。

(3)『殺しのドレス』(80)

情事の相手が性病であったこと知った、アンジー・ディッキンソンのうろたえ。

だから、指輪を忘れてしまうのである。

(4)『狼たちの午後』(75…トップ画像)

強盗に入った銀行に、あるはずの金がない。
ソニー(アル・パチーノ)のうろたえかたがオーバーでなく、とても自然でリアルで素晴らしい。

(5)『アメリカンビューティー』(99)

あたし、処女なの―娘の友人に夢中だった父親も、このヒトコトでうろたえ、目が覚める。

(6)『太陽がいっぱい』(60)

完全犯罪、最後に崩れる。
本編では描かれていない「その直後」だが、観客には主人公のうろたえが想像出来るはず。

基本的に「どんでん返し」は、キャラクターたちがうろたえる瞬間を切り取ってこそ効果を発揮する。

(7)『エレファントマン』(80)

外科医アンソニー・ホプキンスが、初めてメリック(=エレファントマン)を目にしたときの涙。
あの涙は、うろたえだったにちがいない。

(8)『ピアノレッスン』(93)

妻の不貞を目撃する夫(サム・ニール)のうろたえ。

ショックだったろうなぁ、自分だったら立ち直れない。

何度もいうが、サム・ニールは受難のキャラクターが似合う。

(9)『どこまでもいこう』(99)

クラスメイトの死を教師から聞かされる児童たち、彼ら彼女らのうろたえ。
その前にまず、それを伝える教師が完全にうろたえている。

(10)『悪い奴ほどよく眠る』(60)

自分の葬式を見る羽目になった、和田(藤原釜足)のうろたえ。


※『殺しのドレス』より、デ・パルマのマジックが炸裂した美術館のシーン。

モノいわぬはずのカメラが、饒舌に語りかけてくる!

映画を学ぶすべてのものが手本にすべきだと思う。




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明日のコラムは・・・

『怒れる牡牛の物語』

コメント (3)
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