東日本大震災で「最後の砦」と認識され、「これ以上の減少はインフラ崩壊」と危惧されるガソリンスタンドですが、大きな価格差が解消されない限り(解消されても)、減少は止まらないだろうと思います。
それでも出来る限り供給責任を果たそうと苦しみながらも店の営業を続けている地場店は全国にあります。
当ブログ 初めてご訪問くださった方へ より
4月22日燃料油脂新聞より
SS過疎地問題 現状への認識
福島県内における取り組み事例(中)
SS過疎地の三島町で平成28年1月に町内全世帯を対象に実施したアンケート調査結果をもとに、行政、SS事業者、需要家、消費者(地域住民)の過疎問題に対する現状認識について報告書をもとに伝えるー
町民アンケート結果によると、
自動車・バイクで日頃よく利用するのは
町内の給油所16.9%
近隣の給油所64.7%
会津管内の給油所15.7%
その理由は、
自宅から近いから15.7%
通勤通学・買い物で利用する道沿いにあるなど便利だから35.2%
価格が安いから30.1%
昔から利用しているから13.6%
(同じ質問を灯油で)
利用給油所は、
町内給油所19.6%
近隣給油所48.8%
会津管内給油所6.4%
近隣灯油販売店12.6%
会津管内灯油販売店9.1%
理由は同じく
自宅から近い10.9%
通勤などで便利8.5%
価格が安い21.1%
昔から利用25.1%
SSを利用する際の重要度として、価格、立地、入りやすさ、これまでの付き合いの4項目で質問。
とても重要、まあ重要、どちらでもない、あまり重要でない、重要でないーのうち、とても重要、まあ重要を合わせた結果は、
価格92.4%
立地83.3%
広さや入りやすさ68.9%
付き合い60.0%
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続いてSS過疎問題に対する各主体の現状認識についてとらえる。
■行政(三島町役場)
町内にSSが1ヵ所になった際、議会や住民から不安の声があがり、今後の石油燃料供給体制について検討した結果、少なくとも1ヵ所は残す必要があるという方向性が出されている。
町としても住民福祉の観点からSS事業者への支援を考えていかなくてはならない。
ただし町民の利用率などが条件となる。
今後の対応として当該SSの事情も踏まえ、閉鎖した場合の準備もしたいと考えているが、現時点では具体的な検討ができていない。
同SSには災害時などを考慮し、石油残量がゼロにならないよう配慮していただいている。
■SS事業者
夫婦二人の人員で現状維持(工事現場などへの配達、除雪車への対応、店頭給油)が精一杯だ。
価格が高くてもいつも利用してくれるお客様がいて、現在営業ができている。
行政からの「存続してほしい」という声に対しては、周辺との価格差や地域の限られた需要のなかで経営を継続させていくことは難しい。
自分たちの判断で、可能な範囲で営業を続けるしかない。
将来的に新しいことに取り組む余力はない。
体力的な理由もあって近いうちに閉鎖も考えている。
一方で常連のお客さまは大切にしたいと考えている。
閉鎖した場合、迷惑が掛かることが心配だ。
■地元建設事業者
燃料は建設現場近くのSSで購入し、町内SSも利用している(除雪機の燃料含む)。
冬場は除雪作業が必須で、町が孤立しないためにも町内にSSは必要だと考えている。
■社会福祉法人
施設で使用する燃料は すべて町内SSから購入している。
灯油は施設の給湯・暖房、ガソリンは公用車、軽油は除雪機燃料として利用。
東日本大震災時は優先的に車両に給油してもらい助かった。
■地域住民(アンケート調査結果から)
「町内SSがこれからも存続してほしい」という意見が8割超
理由は「身近にSSがあったほうが良い」が9割超だった。
自動車・バイクの給油で町内SSを利用している住民については、利用している最大の理由は「自宅から近い」が5割超、「昔から利用しているから」が3割超となっている。
また閉鎖になった場合、不便になると感じている回答者が9割超。
灯油でもほぼ同様の回答が得られた。
※存続してほしいという意見は8割超でも、実際に利用しているのはたったの16.9%(灯油が19.6%)
過疎地ですらこうなのです。
消費者が安値を選ぶのは当然です。
>ただし町民の利用率などが条件となる。
“誰それさんの店”では難しいでしょうね。
「おらが村のおらが店」でなければ..。
■SS事業者の声は、多くの地場零細店が同じ気持ちなのではないでしょうか。
>価格が高くてもいつも利用してくれるお客様がいて、現在営業ができている。
>閉鎖した場合、迷惑が掛かることが心配だ。
「利益」とか「儲け」なんていうのは遠い昔のこと、今では二の次三の次。
店の営業を支えてくれる“ほんとうのお客様”への、「有難い」という気持ちと「申し訳ない」という気持ち。
これが店の営業を続けている一番大きな理由ではないでしょうか。
クローズアップ
地域密着40年 小口配達が生命線
福岡県糸島市 大宝商事前原SS
40年にわたり、紆余曲折を経験しながら、同地でSS運営を行ってきた。
現在は夫婦2人で、燃料油の販売をメインに、灯油と軽油の配達、タイヤとバッテリーの販売が利益の大部分を占めている。
取引先は高齢の農家が多く、大手がしない小口配達は同SSの生命線だ。
その重要性は「配達がないことには、お互いやっていけない」と語るほどだ。
長い付き合いのある給油客も多く、大半が顔見知りの間柄だ。
親子、3世代で来店することも多く、周囲への感謝の気持ちを忘れたことはない。
顧客ニーズの変化や、業界再編の流れもあり、いつまで運営を続けられるかはわからない。
これまでを振り返り、「過去の特約店の担当者と前向きな議論ができたから、ここまでやってくることができた。SS全体のポテンシャルを評価してくれた」と話す。
同地の多くの人々のエネルギー事情を支えているという自負を胸に、今日も2人で店頭に立ち続けている。
「早く一抜けたってした方が賢いよ」
「お願いだから店を畳んで」
そう言っていた私でさえ、“その日”のことを考えると胃が痛む。
だけど、
閉鎖を決める地場店に責任はないはずです。
>町としても住民福祉の観点からSS事業者への支援を考えていかなくてはならない。
ただし町民の利用率などが条件となる。
町民の利用率が16.9%という少なさの一番大きな原因は小売価格の差でしょう。
その価格差は、大き過ぎる卸格差のせいです。
元売の“デタラメな売り方”のせいです。
エネ庁の愚策のせいです。
この業界の仕組みのせいです。
やれるところまでやって、その時が来てー
それでもまだ罪悪感にまで苛まれなきゃいけない?
4月25日
タイトルを少し変更して投稿し直しました。