masumiノート

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コストコのせいですか?

2016年05月03日 | ガソリンスタンド2

5月2日 ぜんせきより


岐阜・コストコ羽島店周辺 地元SS撤退現実に
対抗激化で市場一変

羽島市からSSを撤収したのは、同県揖斐川町を拠点とする出光系の企業。
地域を守るSSとして長く地元のユーザーらに親しまれてきたが、昨年10月に名神高速羽島IC近くにコストコが近隣SSよりガソリン1リッター当たり10~20円も安い価格で進出して以来、周辺の様相は一変した。

それまで地元店と大差のない価格設定だったIC周辺のエネクスフリート(コスモ系)、西日本宇佐美(JX系)、ENEOSウイング(同)、キグナス直営の4SSはいずれもコストコに近い価格で対抗。
さらにエネフリはフリート部門をコストコに近い隣接地に移転新築、ENEOSウイングも2か月がかりで店舗を大改修、西日本宇佐美やキグナスは店頭看板で車検や洗車の価格サービスを訴えるなど、各店ともコストコにあの手この手で対抗。

この激戦地に流れる客を食い止めようと、大垣市など周辺SS価格も次第に下落、西濃地域一帯は低価格競争に振り回されている。
コストコから約2キロの所にある出光系地元SSも、この半年間その影響を受けて売り上げが伸びず、羽島からの撤退となった。


岐阜石商・協の青木光弘専務理事は「コストコの廉売に起因するSS閉鎖が現実となった。低価格で対抗するも採算が取れず悩んでいる組合員は数多い。
組合としては不当廉売でコストコを4回訴えたが、その回答を含めて公取委には是非乗り出してもらいたい」と話している。



***以下masumi


消費者の立場では、安価で購入できるようになって喜ばしいことですよね。
でもその陰では地元SSの撤退によって、ごく少数だけど一部の消費者は不利益を被ることになる。
燃料調達を地元SSの配達に頼ってきた車を持たない消費者は、今後どうされるのでしょうか?

*****


それでも、地元SSの(倒産ではなく)“撤収”は、賢明な判断だと思います。


「私の使命は理解している。だが赤字では苦しい」(九州の販売店主さんの言)

使命感や責任感で、店の営業を続けるために自己資産は投入できても、
ごく一部の消費者の為に借金してまで営業を続ける事はできないでしょう。




それから
地元SSの廃業はコストコのせいのように言われていますが、羽島や常滑ではそうかも知れなくても、別の地域ではそうではないですよね。

全国で1日に4軒が廃業している原因は、コストコではない。

コストコだけが不当廉売のような低価格競争を始めたわけではない。

他のPB業者、販社、大手特約店、広域量販店等々



ミタニがガソリンスタンドでは初めての警告を受けたのが2012年4月でした。

だけどミタニが一番最初に、そのような安売りを始めたのですか?


地元のSSの仕入れ値やそれ以下の安値で販売して集客する手法は、もっともっと以前から始まっています。

当市では元売マークを掲げた2者店(特約店直営)が、セルフ解禁前に始めていました。




もしも、地元SSからすれば不当廉売のような安値販売が始まったのがここ数年の出来事で、それを始めたのがコストコなのだとしたら、
私もこのブログでコストコに対して批判的なことを書いたと思います。

でも、そうではないから。

自店の仕入れ値以下の看板は、セルフ解禁前で、元売マークを掲げた2者店だったから。


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元売の仕切り方式の改定などもありましたが、何も変わっていません。

無理を通せば道理が引っ込むような「公取委の見解」は2013年のことでした。
それから3年を経て「見解」が「方針」に変わった。
ただそれだけのこと。


価格情報会社が増え、最終的には落ち着くのだとしても、今現在は混迷の度合いを増しただけでは?


公取委の見解(方針)。
エネ庁の品確法の見直し、そして組合に対しての「(業転の共同購入を含む)一枚岩での対応」要求。



数量インセンティブは資本主義経済の中では違法ではない。


いくら地元SSがその地域社会で小口配達を必要とする家庭には無くてはならないものであっても、
いくら災害時には最後の砦として、自らも被災しながらでも供給責任を果たすために尽力したとしても、

数量インセンティブがあり資本力もある大手との価格競争に敗退するしか無くてもー

誰も助けてはくれない。


資本主義経済市場での、それが当然の成り行きだから。


だから、
声を上げるべきは消費者で、その声なき声を汲み取って救済すべきは為政者の役目だと思う。




石油流通問題議連が、もし本当に本気で「系列店でも業転」で地元のSSが救えると考えているのだとしたら、
一刻も早く議員立法化すればいいのに。


でなければ、
公取委が方針通り、元売に「促し」業界の動向を「注視」しているこの間にも、
コストコや販社や大手特約店や広域量販店の、地元SSの仕入れ値以下の安値販売によって、
また1店、また1店と、全国で地元SSが廃業していくよ。


でも議員立法化できるかな?
「ENEOSで燃料を入れたら、それは出光の製油所から出た燃料」、なんてこと。


そしてもし仮に、万が一、議員立法化できたとしても、
販売数量の少ない地元SSがいくら共同購入で安く業転玉を仕入れられたとしても、
燃料油の収益を施設運営と生活の糧にしなければならない地元SSと、燃料油は集客のためのツールと出来るSSとでは、勝負の行方は想像が付く。

店主が存命の間は何とかやれても、その後は・・・

もちろん後継者もいて経営も安泰、という地元SSもあるでしょう。
問題は、その数です。


多くの地元SSは、恐らく業転玉を仕入れたとしても価格競争下では苦しい経営のままじゃないかな。

それに、
計量機が2つ3つの小さな地元SSと、広大な敷地に10機ほど計量機を並べられる大きなSSとでは、
同じ玉を込めて打つとしても、鉄砲と機関銃ほどの差があるよね。