12月3日 燃料油脂新聞より
「指標価格」確立に動く
元売各社は昨年、仕切り価格決定方式を市場連動方式から原油コストや海外製品市況を勘案したかたちに変更。
しかし今年7月以降の原油価格下落局面などには、製品スポット市況が系列仕切りよりも速く下落したことから、各社は格差を埋めるために事後的な価格の調整を余儀なくされており、月ごとの値引きが常態化している。
こうした元売の対応が系列販売業者の適正な経営判断を阻害するとの指摘もあるため、エネ庁は透明性の高い指標価格を確立するための方策を検討する必要があると判断。
まず欧米諸国の価格形成メカニズムの調査、分析に着手する。
(※英・米・仏・独、現地での調査は来年2月にも実施する予定)
(続きは後日追記できれば・・・)
「カブリは業者ばかり」
販社値引きが下げ要因
市況正常化は仕切り格差改善が不可欠
異業種やPBは業転価格の値下がりにともない価格を下げたが、元売販社は仕切下げ以上の値下げが散見。
実売は近隣で競合する異業種やPBよりも安値。
「販社とはいえ系列店なのに売価はうちの仕入れ値を下回っている。
これでは公正で公平な競争などできるはずはない。
せめて販社の売価には仕入れ値をしてほしい」
仕入先に訴えるものの聞き入れられることはなく交渉の余地はないのが実情であり、仕切りの透明化を強く訴える。
ハイオクが長期低迷
ハイオクが不良在庫になりかねず、SS経営の足を引っ張る。
ハイオク販売設備の規模縮小も視野に入れた検討をしたい。(大手特約店)
販社価格戦力に憤り 被災地の心情を逆なで
被災した地元業者は1日も早い復興を願い、自分たちが住む家もそこそこに仮営業してまで石油製品の供給に昼夜を問わず取り組んできた。
もうすぐ5年になるが、ようやく復興住宅の建設が始まり、新たな街づくりも青写真が描かれ、一歩づつ歩みを進めてきた。
これからが地元業者の真価が問われ、供給責任を果たす役目を担うのだが、仕入価格を下回る小売価格を販社や広域ディーラーが堂々と掲示している。
しかも他人事のように市場を無視した価格戦略を展開している。
これを供給元売自身が黙認し、なんの方策も講じないこと自体が問題ではないか。
「小規模店いじめそのもの」 仕入価格差改善求める
市況低迷が長期化するなか、地場SSの間で大手資本セルフや異業種との仕入価格差、小売価格差への抗議の声が高まっている。
「小規模店いじめそのものではないか。業界や行政はこの状態を放置し続けるのか」
地場SS関係者の一人は
「なぜ大手セルフは当店の仕入価格と同値の売価を出せるのか。業転格差や不透明な系列仕切体系によるものというのは分かっているが、決して納得できるものではない。早急に改善を求めたい」
「業界の事情をお客に話しても言い訳になるだけ。価格差にもかかわらず来店してくれることは本当にありがたい。だからこそ仕方ないでは済まされない」
今後も改善要求の声をあげ続ける姿勢だ。
系列業者切り捨て加速
我が国の石油販売業者(特約店や販売店)は、古くは100年も前から系列業者として製品販売で元売を支えてきた。
ところが今の元売の系列業者への対応はこうした歴史を忘れたかのように冷たい。
子会社を増やし巨大にしたうえで・・・
(効率の悪い業者(小規模SS)を切り捨てようとしている)
(元売販社が率先して安売りを行っていることに対する抗議の意味を含めて元売に対応を要望したが)
「まったく聞く耳を持たなかった」
「運営会社の問題。元売が関知することではない」の一点張り。
***(以下masumi)
今、ガソリンの卸値に、“ほんとう”の値はないから。
卸値は恣意的に決められているに過ぎない。
格差を埋めるための事後的な調整も特約店毎に違うし、その特約店(2者店)もその調整を全て販売店(3者店)に還元するかというと不透明ゆえ分からない。
それにしてもおかしなことですね。
2008年10月に導入された“新仕切り方式”は、仕切りの透明性と公正性を謳ってのものだったのに・・・
紆余曲折を経て、「指標はないし、不透明だし」という結果になりました。
兎に角現在の系列店は「最終的な仕入れ値が分からないのに売り値を付けて売る」というとんでもなく異常な状態にあります。
なので、エネ庁が指標作りのお手伝いをしてくれるそうです。
・・・
2008年10月の新仕切り方式導入も、それまでに自店の仕入れ値より安く売る店の出現で市況低迷が長く続いて疲弊した販売業界の強い不満、要望があったから-のことです。
あれから7年。
地下タンク消防法改正という大きな節目もありましたが・・・
その後も1日に4軒のガソリンスタンドが廃業し続けています。
他店の看板価格が自店の仕入れ値より安いなどという理不尽さのなかで、消費者からは儲け過ぎと誤解されながら、それでも自店のお客様の為に供給責任を果たそうとやってきた同業者仲間です。
>「業界の事情をお客に話しても言い訳になるだけ。価格差にもかかわらず来店してくれることは本当にありがたい。だからこそ仕方ないでは済まされない」
私は業界の事情を話すことが言い訳になるとは思いません。
確かに「それがどうしたって言うのですか?私たちには関係のないことです」という反応の方が圧倒的に多いでしょう。
でもそれは他に選択肢がある(利用する店を選べる)人ではないでしょうか?
SS過疎地であっても車があればそちら側(選択肢のある方)になれますから良いでしょうが、車を持たない家庭(灯油の調達を地場GSに頼っている家庭)の場合は「関係のないこと」とは言っていられないと思います。
地場業者と昔からの掛け取引をしている企業にしてもそうだと思います。
周りの店がセルフばかりになり、工業用の油やリフトの燃料等、小口の配達をしているガソリンスタンドも減りました。
そういう小口配達を必要とする企業も、選択肢が狭まっているのではないでしょうか。
理不尽な仕入れ値の格差が無ければ、そういった企業も高値取引とならずに済むのです。
個人の消費者も、これほど大きな価格差が無ければ燃料を消費しながら遠くの安値店へ給油に行く必要もなく、また、お出掛け先で利用するガソリンの単価もそれ程気にする必要もありません。
業界の歪みが業界の力だけで是正できるのであれば、現状はもっと違ったものになっているはずです。
仕入れ値の格差が問題になってから何年経っているでしょう。
業界以外の、消費者の声でしか、この業界の歪みは正せない。
だから“言い訳”ではなく、“事実”として消費者に伝えることが必要だと思っています。
価格差にもかかわらず来店してくれることは本当にありがたい。
だからこそ仕方ないでは済まされない。
PS
ただ格差は恐らくまだそのまま続くと思うので、
元売子会社(販社)や、元売と資本提携しているような系列特約店や、そして量販PBなどが掲げる安値の販売価格が、地場零細系列業者の仕入れ値なのだと、取り敢えず今はそれだけを知って頂きたいです。
知って頂くだけで全然違うのです。