報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

トチロ〜さんのブログを読んで

2018-12-16 10:16:07 | 日記
 このブログからもリンクさせて頂いているトチロ〜さんは、私の所属している報恩坊の紹介者である。
 教化親という難しい呼び方もあるが、私の境涯ではまだ難しいので、『紹介者』とさせて頂く。
 それはさておき、トチロ〜さんがブログを更新された。
 詳しくは当該記事を御覧頂きたい(当ブログのブックマーク欄から簡単に行けます)。

 まず、読んでから最初に思ったこと。
 私は前回の記事で、“慧妙”のアポ無し折伏隊を軽くディスったような気がするのだが、大変申し訳無く思ってしまった。
 さしものアポ無し折伏隊も、あそこまで恥ずかしい会話はしないだろう。
 前回の記事でも書いたように、最近はちゃんとアポを取ってやっているみたいだし。
 そこが私の大きな反省点である。

 顕正会のA野さんのことは、私が辞めてから表舞台に出て来た人なので面識は無い。
 ポテンヒットさんの名作、ケンショーレンジャーの中に出てこないのがそれを如実に物語っている。
 ポッと出の幹部ということだな。
 多分、幹部自ら『邪宗門』を破折しに行ったという武勇伝を語りたかったのだろうが、結果はあの通りである。
 それにしても、学会員がディスりに来たり、ケンショー魔民部もディスりに来るようになって、末寺の御住職は気が気で無いな。
 これ、あれじゃないか?
 昨日記事にしたオバちゃんは魔民部ではないだろうが、ヘタすりゃ私みたいなアホ信徒でもネタにされそうだな。

 『……そこへ現れたのは雲羽百三という大石寺報恩坊の法華講員でした。(中略)あろうことか私の功徳を「魔の通力」と誹謗し、「ケンショー魔民部」と中傷してきたのです。(←そんなこと言ってない!)私が反論しようとすると、それを遮り、「いいからこれを読め!」と、宗門の新聞や妙観講の新聞を押し付けようとしてくる有り様でした。人の話を聞かぬ愚か者の態度に、いかに御遺命破壊の罰の恐ろしさが身に染みて震えるようでした』

 やだな!この程度で晒し者にされんの!
 やってない中傷をやったことにされるんだからさぁ!
 どこの中国だよ!
 いや、ホントマジ。
 多分今、『冬の宗門ディスりキャンペーン』を実施中だろ?
 『いま破折に成功した方は、もれなく幹部の肩書きをプレゼント!』ってか。
 他人の出世の肥やしになるのは嫌だな。

 ガチ勢だけで対応して欲しいものだが、向こうからしてみれば勢力なんて関係無いだろうからなぁ……。
 ま、学会員もそうだろうけど。
 私ゃ傍観勢で、ケンショー魔民部対策はちょっとねぇ……。

 「私は傍観勢です。法論は致しません」

 なんて言おうものなら、

 『……この法華講員の逃げ腰、及び腰の態度には呆れざるを得ませんでした。そこで私は、御遺命破壊をした宗門には広宣流布の精神など一切無いのだと思い、日々広宣流布に邁進される浅井先生、そして顕正会に入信させて頂けたことへの喜びをより一層噛み締めたものであります。……』

 うあー……法論断っても、こんなこと言われるのが想像付くよ。
 もしかして俺、またとんでもない時期に御勧誡しちゃった???
 やっぱ平成33年過ぎるか、浅井会長が堕獄してから戻るべきだったかなぁ……???
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顕正会雑感

2018-12-15 20:19:43 | 日記
 ここ最近、顕正会員の顕正新聞配布会は見受けられなくなった。
 私が見ていないだけで、実は他に大々的にやっている所があったら失礼。
 ただ少なくとも、以前に見かけたJR王子駅前、さいたま新都心駅前、大宮駅東西、北与野駅前では最近見かけなくなったのは事実。
 ケンショー魔民部が結成され、宗門末寺に『突撃!アポ無し折伏隊!!』を実行するようになってからだろう。
 『突撃!アポ無し折伏隊!!』はかつて“慧妙”のコーナーにあったのだが(尚、『突撃!アポ無し折伏隊!!』は私が勝手に名付けた)、最近ではそのコーナーは無くなり、折伏隊もちゃんと事前にアポを取って行くようになったようである。
 “となりの沖田くん”でも普通にアポ無し折伏するシーンがあるのだから、妙観講さんにとっては常識の範囲内らしい。

 ところが、顕正会では街頭折伏自体、個人的には行われているようである。
 私も法道院にいた時に一度街頭折伏に駆り出されたことがあるが、狙い目は『公園のベンチに座っている人』や『バス停でバスを待っている人』なのだそうである。
 事実、私も最近バス待ちをしている際に顕正会婦人部のオバちゃんに街頭折伏をされた。
 その際には例のチラシと顕正新聞10月5日号をもらったのだが、これがトチロ〜さん界隈で噂になっている、宗門・日達上人ディスりまくり特集号だったわけである。
 その際自分の功徳を語っていたのだが、まだ自分の功徳を語る分にはいい。
 他人の罰を語り出したら救い無しだ。
 少なくとも、そういう顕正会員を救いたいとは思わない。
 誓願達成ファーストのガチ勢に回すつもりだ。

 私が遭遇したのは西武バス上落合八丁目バス停。
 ネットで調べてもらえればすぐに分かるが、土休日ダイヤで一往復しか運転されない『免許維持路線』である。
 これはこの大38系統は西武バスが唯一大宮駅東口に乗り入れる路線である為、これを廃止してしまうと、西武バスが大宮駅東口(しかもロータリー内という好立地)に乗り入れる権利を失ってしまう為、それを掴んでおく為の措置である。
 似たようなことは全国で行われている。
 1日1本しか運行されていないバス路線があったとしたら、それが正に免許維持路線である。
 何でこんなものにホイホイ乗ろうとするのかって?
 そりゃあ、私が鉄ヲタ兼バスファンだからだ。
 わざわざリンク先に、信仰とは関係の無い『バスターミナルなブログ』様を紹介させて頂いているほどだ。
 あくまでも向こうでは、私は日蓮正宗法華講員ではなく、ただの一バスファンである。
 そのバスを待っていた時に、顕正会員のオバちゃんと会ったわけである。
 因みに私が法華講員だとは名乗っていない。
 そうする前にバスが来てしまったからだ。
 土休日ダイヤに1本しか運転されておらず、しかも通常は中型バスで運転される所を、あの時は珍しく大型の三菱ふそう・エアロスターが来たので乗らざるを得なかったのだ。

 土休日ダイヤに1本……。
 明日って何曜日だっけか?
 私は明日の仕事は……公休だな。
 “大魔道師の弟子”も執筆再開したことだし、稲生も年末年始は埼玉の実家に帰省するみたいだし、あのバス停とそこに発着するバスの取材でも……どうしようかな。
 何か、中型車では新型のいすゞ・エルガミオが運転されたみたいだしなぁ……。

 私は傍観勢なので、誓願は気にせず趣味に仕事に没頭するのがモットーだ。
 そして、仏縁は自然にできたものしか相手にしない。
 ここら辺はガチ勢とケンカする所だな。

 あー……顕正新聞『宗門ディスりまくり特集号』に対する反論が載せられた“大白法”と“慧妙”ねぇ……うん、手元にあるな。
 いや、どうするかまだ決めて無いよ。
 私は背中を押されて折伏するのは嫌いだからね。
 ガチ勢のやり方には反対だ。

 えーと、バスのダイヤは……と。
 いやいや、小説の更新が優先だって。
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“大魔道師の弟子” 「年末年始に向けて」

2018-12-13 19:15:43 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月13日13:00.天候:晴 長野県北部山中 マリアの屋敷]

 雪の積もる道を進む一台の黒い車。
 そこを駆るのはイリーナが魔法で作り出した車。
 稲生の魔力に合わせて、タクシーでよく使用されている車種と酷似している。
 魔力が強くなればなるほど高級車または大型車にできる。
 マリアが魔力を付与すれば、ロンドンタクシーのようになる。
 運転手も白い帽子を深く被っているが、幻魔獣という妖を変身させたもの。
 レンガ造りのトンネルを潜ると、マリアの屋敷に辿り着く。

 運転手:「到着しました」
 稲生:「ありがとう」

 稲生は車を降りた。
 車を降りたのは稲生だけではなかった。
 隣には稲生専属のメイド人形、ダニエラもいる。
 マリアが作ったメイド人形は基本的にはマリアに付き従うものだが、ダニエラは何故か稲生に付いている。
 マリアが命令したわけでもないのにだ。
 無論、イリーナが何かしたわけでもない。
 護衛と称して銃器を所持することもあるが、今は見当たらない(どこかに隠し持っているのかも)。
 車のトランクからは村のスーパーなどで爆買い(というほどではないが、買い出ししたものだけでトランクが一杯になるほどの量。タクシー用のセダンのトランクが一杯になるほどの)した食料品や日用品が積まれている。

 稲生:「大丈夫?僕持とうか?」

 稲生が言うとダニエラは微笑を浮かべて制した。
 その代わり、口笛をピイッと吹くと、中から仲間のメイド人形がわらわらとやって来て、それらを屋敷の中に運び入れた。

 稲生:「タクシー用の車で、確かミニバンタイプもあるから、それに乗れればいいんだけどな……」

 日産NV200バネット辺りのことを言っているのだろうが、稲生はあいくと乗ったことが無い。
 魔法で作り出す為には、実際に乗った体験が無いとダメなのだ。
 実体験したほどのイメージが無いと、稲生やマリアの魔力では作り出せない。
 マリアがロンドンタクシーしか作れないのはその為である。
 イギリスの車でベントレーもあるが、これは乗ったことが無い。

 稲生:「あれなら荷物も多く積めるだろうし……」

 稲生は急いで屋敷の中に入った。

 稲生:「ほんと、外は寒いなぁ……」

 そしてコートのポケットから、ある物を取り出す。

 稲生:「取りあえず、年末年始帰省とUターンの足は確保した。イリーナ先生が一緒だと心強いなぁ。ていうか、この小説で何回僕は年末年始を迎えてるんだ?(僕の実年齢、何歳だ?)」

 魔道師は悪魔と契約すると、見返りとして極端に老化を遅延させられるのである。
 但し、弊害もあって、25歳くらいまで人間の体は成長する。
 それ以前に悪魔と契約してしまうと、体の成長も極端に遅延させられてしまうわけである。
 悪魔もそこまで細かい調整はしない(デーモン閣下も【お察しください】)。
 その為、18歳で魔道師になったマリアは、今でも女子高生の制服が似合う見てくれになっている。

 稲生:「マリアさんは具合悪いのかな?」
 ミカエラ:「お部屋で休んでおられます」

 メイド人形達は今、人間形態になっている。
 人形形態では人間形態をデフォルメされたかのようなコミカルなものであるが、人間形態ではガチのメイドさんなのである。

 稲生:「だよなぁ……。朝までは何とも無かったのに……。ちょっと行ってこよう。黙って行って来ちゃったからな……」

 稲生は屋敷の西側2階に向かった。
 2階まで吹き抜けの中央エントランスを境に、西側と東側に分かれている。
 東側の2階には稲生の部屋があり、西側の1階にはマリアの部屋が、2階にはイリーナの部屋があった。
 但し、イリーナがいない時はマリアは2階を使う。
 尚、稲生は普通に歩いているが、館内は普通の人間から見ればホラーチックな雰囲気になっている。

 稲生:「マリアさん、マリアさん」

 稲生はマリアの部屋をノックした。

 マリア:「……なに……?」

 中からワンピースタイプの寝巻を着たマリアが中から出て来た。

 稲生:「外出から戻りました。けして逃亡ではありません」
 マリア:「あ、そう……。一瞬、人形達が騒いでたからどうしたかと思ってたけど……」

 徒弟制度のある世界では、たまに弟子が厳しい修行に付いて行けず、逃亡することがある。
 昔は大相撲の世界でも発生し、捕獲された逃亡者がリンチ死したという事件もあった。
 これは魔道師の世界も同じである。
 屋敷からの勝手な外出は、ややもすると逃亡と見なされる恐れがある。
 ただ今回の場合は……。
 そもそもが門内一ユルい指導のイリーナ組で、しかも当の師匠が拠点たるこの屋敷におらず、更には姉弟子のマリアが体調不良でダウンとあらば、そもそも外出許可もへッタクレも無いわけだ。

 稲生:「ちゃんと『車』を用意し、ダニエラも随行しました」
 マリア:「それで?」
 稲生:「年末年始、帰省とUターンの足を確保しましたので」
 マリア:「ああ、分かった。カネは後で師匠からもらって」
 稲生:「分かりました」
 マリア:「まあ……あの婆さん、今度いつ来るか分かんないけど……」
 稲生:「はあ……。あの、体調悪いんですか?」
 マリア:「こういうのは突然来る。私は寝てるから、今日は屋敷内なら好きに過ごしていい」
 稲生:「分かりました」

 マリアは早々に自室に入り、稲生はその場をあとにした。

 稲生:「大変そうだなぁ……」

 自分の部屋に戻る為、再び中央エントランスホールに戻る。

 エレーナ:「ちわー!まいどー!お届け物でーす!」

 と、そこへエレーナが『魔女の宅急便』にやってきた。

 稲生:「おっ、エレーナか」
 エレーナ:「稲生氏、ちょうど良かった。ハンコくれ」
 稲生:「あれ、人形達どこ行った?まあいいや」
 エレーナ:「イリーナ先生宛てだね。きっと中身は高級時計だ」
 稲生:「先生にお世話になっている政財界の著名人は多いからね。……はい、これでいい」
 エレーナ:「あざーっす!……因みにさ、因みにだよ?人形の稼働率落ちてない?」
 稲生:「少し頭数が少ないかもね」

 魔力が付与されない人形はただのメイド人形。
 フランス人形がメイド服着ているようなものだ。

 稲生:「今、マリアさん、体調悪いから」
 エレーナ:「突然来たパティーン?」
 稲生:「そう」
 エレーナ:「それじゃあ、しょうがないか」
 稲生:「僕に何か手伝えそうなものは無いかな?」
 エレーナ:「……放置でOK」
 稲生:「えっ?」
 エレーナ:「ヘタにちょっかい出すと、却ってウザいから」
 稲生:「エレーナの回復薬で何とかならない?」
 エレーナ:「いや、生理はRPGの状態異常じゃないからね」
 稲生:「明日には何とかなる……」
 エレーナ:「いや、アンタ、生理ナメてんの?1日で終わんないから。多分、明日の方がキツいんじゃないか?そんな状態でマリアンナの部屋に行ってみー?殺意の籠った目で見られるから」
 稲生:「マジか。実はさっき、部屋に行ったんだよなぁ……」
 エレーナ:「バカじゃねーの?そういう時こそ、お付きのメイド人形に様子を聞くんだよ!」
 稲生:「そ、そうか」
 エレーナ:「実は今、リリィもそれでダウンしてるんだ」
 稲生:「そうか。リリィも15歳くらいだからなぁ……」

 と、その時……。

 イリーナ:「たっだいまぁー!いやー、日本は暖かいねぇ!ちょっとロシアに里帰りしてきたよ!やっぱサンクトペテルブルグはチョー寒かった!あ、お土産後でエレーナに届けてもらうからよろしくねー!」

 とにかく明るいイリーナが帰って来た。

 エレーナ:「1000年以上も生きると、生理とは無縁になるからな」
 稲生:「な、なるほど……」
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“魔女エレーナの日常” 「魔女の宅急便は魔界にも行く」

2018-12-12 10:30:32 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月12日17:30.天候:晴 魔界王国アルカディア とある辺境の村にある宿屋の客室]

 女将:「本日はこんな田舎の宿にお泊り頂き、真にありがとうございました。従業員一同、またのお越しを心よりお待ち申し上げます。……あ、くれぐれもお忘れ物だけ無いようにお願い致します、本日は真にありがとうございました」

 深々と宿泊客であるエレーナに頭を下げる女将。
 人間界では女将の立場であるエレーナも、一たび旅人になれば逆の立場だ。

 エレーナ:「……。今来たところだよ!」
 女将:「ええっ!?」
 エレーナ:「半日かけて今着いた所だよ!まだ荷物置いてもいねーよ!」
 女将:「こ、これは失礼致しました。えーと……120名様で御予約の日蓮正宗報恩坊様……」
 エレーナ:「違うよ!1人で来たエレーナ・マーロンだよ!何だよ、日蓮正宗報恩坊って。作者の所属寺院じゃんかよ。てか、120名もいねーだろ」
 女将:「お客様、失礼ですが、女性の一人旅ということは自殺か何かで……」
 エレーナ:「軽い気持ちで聞いてんじゃねー!仕事だよ!ビジネス!」
 女将:「これは失礼致しました。あ、お詫びにこれをどうぞ」
 エレーナ:「なにこれ?」
 女将:「有料チャンネルのカードでございます」
 エレーナ:「剣と魔法のファンタジーの世界で、何でこんなものあるんだよ!?……いや、アルカディアシティは電車走ってるけどさ。まあいいや。なに?あなた、女将か何か?」
 女将:「申し遅れました。私、女将のオーカミと申します」
 エレーナ:「え?え?え?女将オーカミ?」
 女将:「オーカミ・オッカーミと申します」
 エレーナ:「凄い名前だね!?もしかして、魔族か何か?」
 女将:「父親が人間、母親が魔族でございます」
 エレーナ:「だろうね。でないと、こういう商売できないもんね」
 女将:「さようでございますね。あ、どうぞお掛けになってください。今、お茶お入れしますね」
 エレーナ:「うん。……って、ちょっとちょっとちょっと!椅子に座布団が無い」
 女将:「あ、これは大変失礼致しました。今すぐお持ち致します」
 エレーナ:「こんな硬い椅子座ったら、腰と尻痛めちゃうよ」
 女将:「お待ちどう様でした」

 女将、ポイッと座布団を投げる。

 エレーナ:「何で投げるんだよ!大相撲千秋楽か!」
 女将:「そうなんですよ〜」
 エレーナ:「そうなんですよ、じゃねー!何だよ、旅の千秋楽って……」
 女将:「お客様、お部屋の方は如何ですか?」
 エレーナ:「まあ、こんなもんじゃない。普通でしょ」
 女将:「ありがとうございます」
 エレーナ:「いや、別に褒めて無いし。RPGの世界の宿屋なんて、だいたいこんなもんでしょ」
 女将:「お部屋からの眺めも凄くいいんですよ」
 エレーナ:「え、ホント?マジ?」
 女将:「どうぞ御覧になってください」
 エレーナ:「どれどれ……」

 エレーナ、観音開きの窓を開ける。

 女将:「お向かいの部屋が一望できるんです」
 エレーナ:「向かいの部屋しか見えないじゃん!なに?山とか川とか見えないの?」
 女将:「山、反対側のお部屋になってしまうんですねー」
 エレーナ:「マジかよ。クソみたいな部屋だな。私のホテルみたいに、街中に建ってるってんならしょうがないけど……」
 女将:「イケメンのエルフ男性の方がお泊りになったりしましてですねぇ……。ヘヘヘ……」
 エレーナ:「それ女将の言うことじゃないからね。因みにね、因みにだよ?今日は向かいの部屋、誰が止まってるの?」
 女将:「あ、オバハンの団体です」
 エレーナ:「マジかよ!うるさそうだな!」
 女将:「100名様で御予約の日蓮正宗妙観講婦人部の団体様です」
 エレーナ:「マジかよ!?やだな!ここまで勧誘に来そうで!……って、いつまでお茶入れてんの!?」
 女将:「あっ」
 エレーナ:「マーライオンか!」
 女将:「お待たせ致しました。アップルティーが入りましてございます」
 エレーナ:「意外だね!?意外なの入れてたね!?」
 女将:「どうぞご賞味ください」

 エレーナ、ティーカップを口に運ぶ。

 エレーナ:「ただの煎茶じゃんか。なに、ウソついてんだよ」
 女将:「お部屋の鍵、お渡ししますね」
 エレーナ:「あ、そうか。鍵まだもらってなかったね」

 女将、一旦退室する。

 エレーナ:「ってか、ティーカップに煎茶ってどういうセンスだよ……」
 女将:「お待たせしました」
 エレーナ:「デケェな!なにそのプロ野球選手がMVP取ったみたいな鍵!?」
 女将:「おめでとうございます」
 エレーナ:「いや、私取ってないし!ってか、そんなデカい鍵穴だったっけ!?」
 女将:「いえ、これをこうしてドアの前に差し込むのでございます」
 エレーナ:「あ、閂ね!だったら、普通の閂でいいじゃない!てか、普通の鍵でいいじゃん!何で閂なのよ!」
 女将:「防犯の為でございます」
 エレーナ:「ぼ、防犯!?どう見ても普通の鍵の方が防犯になると思うけどね!?だってこれ、ドアの隙間から手を入れて閂外せるよ!?」
 女将:「盲点でしたねぇ!」
 エレーナ:「いや、盲点じゃなくて普通に分かるし!……ああ、そうそう。この辺、何か温泉湧いてるんだって?」
 女将:「そうなんですよ。結構、それ目当てに遠くからお見えになるお客様も多いんですよー」
 エレーナ:「へえ、そうなんだ。どんな温泉なの?」
 女将:「黄色く濁ってるんですよ」
 エレーナ:「黄色!?珍しいね!よく白く濁ってて、『濁り湯の温泉』なんてあるけどね!?」
 女将:「そうですねぇ。で、異様な臭いがするんですよ」
 エレーナ:「硫黄の臭い、でしょ?」
 女将:「いえ、何かあの……アンモニアの臭いがするんですよ」
 エレーナ:「オシッコじゃないの、それ!?」
 女将:「オシッコなんですかねぇ……」
 エレーナ:「いやいやいや!黄色く濁っててアンモニア臭でしょ!?オシッコでしょ!?」
 女将:「オシッコなんですかねぇ……」
 エレーナ:「それで遠くからわざわざ入りに来るの!?」
 女将:「ジャイアント・ビー(人間サイズまたはそれ以上のサイズの蜂のモンスター)とか、ビックラゲ(同様のクラゲのモンスター)に刺された冒険者の方達がよく来られるんですよ」
 エレーナ:「それオシッコでしょ!?よく蜂やクラゲに刺されたらオシッコ掛けろって言うじゃない?オシッコでしょ!」
 女将:「オシッコなんですかねぇ……」
 エレーナ:「何でそこは他人事なのよ。マジかよ、汚い温泉だね」
 女将:「あ、お客様。オシッコで思い出したんですけど、御夕食は如何なさいますか?」
 エレーナ:「何で思い出してんだ!何で思い出してくれてんだっ、この!!……夕食!?何時から!?」
 女将:「夜6時からとなっております」

 エレーナ、自分の腕時計を見る。

 エレーナ:「あ、もうすぐだね」
 女将:「こちらにお持ちしましょうか?それともお持ち帰りに……」
 エレーナ:「どこに持って帰るんだよ!私今日ここに泊まるの!女将のアンタが持って来い!」
 女将:「かしこまりました。それでは後ほどお持ち致します」
 エレーナ:「うん」
 女将:「それではごゆっくりどうぞ」
 エレーナ:「うん。どっか行け早く」

 女将が退室する。

 エレーナ:「マジかよ。変な宿屋来ちゃったな……。あ、そうだ。有料チャンネル見てみよう。てか、何でここテレビがあるんだよ?魔界にテレビ局なんて無いのに……。人間界の放送が映ったりして」

 エレーナ、有料チャンネルのカードを入れてテレビを点けた。

〔「わ、わたし……。あ、あなたのことが……す……好き!」「私もあなたのことが大好きです!お姉様!」〕

 エレーナ:「レズものじゃん!?何だこれ!?」

 エレーナ、他のチャンネルに切り替える。

〔「ああッ、来て!わたし、もう……!」「お姉様!私も我慢できない!!」〕

 エレーナ:「これも女同士じゃん!?気持ち悪ィな!もういいや!」

 エレーナ、テレビの電源を切る。

 女将:「…………」
 エレーナ:「って、何か言って入ってこいよ!なに、こっそり入って来てんの!?」
 女将:「御夕食をお持ちしました」
 エレーナ:「何で夕食カップラーメンなの!?」
 女将:「カップ焼きそばの方が良かったですか?」
 エレーナ:「そこじゃない!なに?宿屋なんだから、もっと立派な料理出て来るんじゃないの!?」
 女将:「先ほど、コック長の方から『確変が止まらない。どうしよう?』という連絡が来まして……」
 エレーナ:「パチンコやってんの!?てかこの村、パチ屋あるんだ!何考えてんだよ!?」
 女将:「もうすぐ作者が代打ちに行くそうですので……」
 エレーナ:「知らねーよ!作者の代打ちの情報なんかよ!もうアッタマ来た!私、外で食べてくる!」
 女将:「あ、どうぞ。フロントでお湯入れて行ってください」
 エレーナ:「そういうことじゃない!」
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“魔女エレーナの日常” 「罪障消滅の為の現証はとても辛い」

2018-12-10 19:22:57 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月10日24:10.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル1Fロビー]

 エレーナは夜勤でフロントに入っている。
 といってもこんな小さなビジネスホテルで、月曜日の夜中だ。
 こんな時間に客がやってくるとは思えない。
 こういう時、エレーナは隠れてテトリスをやっていたりしていたのだが、最近では水晶球占いなんかも始めている。
 魔法を使った占いで稼ぐのも魔道師のベタな法則である。
 もっとも、エレーナはホテルで住み込みのバイトをしながら『魔女の宅急便』をして稼ぐ方を選んでいる。
 と、そこへエントランスの自動ドアが開いた。

 エレーナ:「いらっしゃ……」
 鈴木:「やあ」

 入ってきたのは鈴木だった。
 エレーナに一目惚れしてから、ほぼ毎日会いに来ている。
 しかも、時間を問わずだ。

 鈴木:「こんな所に蕎麦屋が出来たのか」
 エレーナ:「ソバ屋?!……あ、アタシに言ってるのかな???」
 鈴木:「ざるそば1つもらえるかな?……ソバ抜きで」
 エレーナ:「それもうザルじゃないのよ!ザルとツユだけだよ!なに?そこの大通りにできたソバ屋のこと?今アタシ仕事中だから、夜食なら1人で行って!……この時間ヒマだから、ソバ屋じゃなくて占いをすることにしたんだよ」
 鈴木:「キミが何も売らないのなら、俺は何も買わないよ?」
 エレーナ:「いや、その売る売らないじゃなくて!これ!水晶球占いのこと!手相も勉強してね、手相占いもやってるよ」
 鈴木:「1回5000円……」
 エレーナ:「相場通りでしょ」
 鈴木:「キミと話をしたら、俺が5000円もらえるのか?」
 エレーナ:「テレクラのサクラか!悩みが無いんだったら帰って!商売の邪魔だから!」
 鈴木:「この世に悩みの無い人間など、いると思うか?」
 エレーナ:「……占うの!?いや、占うんだったらいいんだけどさ」
 鈴木:「1つ、占ってもらおうかな」
 エレーナ:「はい、それならどうぞ。そこに座って」
 鈴木:「その前に、1つ俺と勝負をしないか?」
 エレーナ:「いや、しないよ。何で?」
 鈴木:「次に入って来るお客が、男か女かを当てるんだ。キミが勝ったら、俺はあの時の事件の真相を話そう」
 エレーナ:「……事件?」
 鈴木:「だがもし、キミが負けたら、あの魔女は暗い地下牢に鎖で繋がれたままだ。どうだ?」
 エレーナ:「やだもうなに!?あんた、何の事件に関わってんの?!誰だよ!?暗い地下牢に繋がれた魔女って!?うちの門流のヤツ!?」
 鈴木:「やるのか?やらないのか?」
 エレーナ:「やらないよ!嫌だよ!そんなカネにもならない事件、アタシ関わりたくないよ!アタシ、巻き込まれたくない!」
 鈴木:「よし。いいだろう」
 エレーナ:「何よ?いいだろうって……。占うのね?それじゃ、アンタ……鈴木……何だっけ?ホラ、下の名前教えて」
 鈴木:「人に名前を聞く時は、まず自分から名乗る。違うかい?俺もキミの名字を聞いてないよ?」
 エレーナ:「アンタのことだから、どうせ調べて知ってるんでしょ?……マーロン。エレーナ・M・マーロンだよ」
 鈴木:「サド鈴木公爵です」
 エレーナ:「ウソつけ!なにフザけてんの!?」
 鈴木:「先にフザけたのはどっちだい?」
 エレーナ:「いやアタシ、別にフザけてないし!エレーナ・M・マーロンで間違い無いから!」
 鈴木:「真ん中の名前をイニシャルにするようなヤツに、自分の本名を名乗ると思うか?」
 エレーナ:「……超メンドくせぇ。なに?今日のアンタ、超メンド臭いよ?もしかして酔っ払ってる?」
 鈴木:「酒は飲めるだけ飲む。違うかい?」
 エレーナ:「……うーん、そうだけど!自分で言うのも何だけど、その考えは危険だよ!?」
 鈴木:「人はそれだけ悩みを抱えて生きているということだ。で?キミの名は?」
 エレーナ:「有名なアニメのタイトル、パクってんじゃねーよ!……マモン。ミドルネームはキリスト教で強欲を司る悪魔マモンと契約しているから、その悪魔の名前を使う。だからアタシのフルネームはエレーナ・マモン・マーロン。日本人だと語呂の悪い名前だろ?だからアタシは、基本的にミドルネームは名乗らないんだ」
 鈴木:「鈴木弘明です。……そして!?」
 エレーナ:「他に誰がいるんだよ!?やめろよ!そんなゲストの紹介みたいなことすんの!……で、何を占うの?」
 鈴木:「俺は何に悩んでると思う?」
 エレーナ:「アンタは非モテのDTだから、やっぱ女性関係かな?」
 鈴木:「女には……海を見せておけばいい」
 エレーナ:「は?」
 鈴木:「女には夜景を見せておけばいい。女にはスポーツカーに乗せておけばいい。女にはドリカムを聴かせておけばいい。ただそれだけだ」
 エレーナ:「ものすっごい偏見だね!?いやマジ、すっごい偏見!」
 鈴木:「キミもそうだろ?キミも所詮、女だ」
 エレーナ:「いや女だけど!アタシは別にそんなの望んでないから!女が皆そうじゃないからね!?因みにアタシには札束と宝石の山見せてくれればいい!」
 鈴木:「そうかい」
 エレーナ:「女性関係じゃないのね?じゃあ、仕事関係かな?それは水晶球じゃなく、手相占いでやってあげるから。手を出して。……はいはい、はいっと」

 しかし鈴木、クルッと手をひっくり返した。

 エレーナ:「な、なに?何よ?」
 鈴木:「掌返し!」
 エレーナ:「やかましいわ!占うんだから、余計なことしない!」

 エレーナは鈴木の掌をルーペで見た。

 エレーナ:「あら?あんた、意外と良い相してるじゃない。近々、出世するっぽいよ?来年には役職に就けてもらえるんじゃない?」
 鈴木:「仕事をしてないのにか?」
 エレーナ:「してねーのかよ!じゃあ、何に悩んでるのよ!?」
 鈴木:「お寺で静かに書籍を読んでいる青年部員を、無理やり街頭折伏に誘う婦人部のオバちゃんをどうしたらいいと思う?」
 エレーナ:「知らねーよ!ほっとけよ!仏なだけに!勝手にやらせておけばいいだろ!」
 鈴木:「何故、鉄ヲタが大好きな先頭車両を女性専用車にしやがるのか、見てくれ」
 エレーナ:「出てないよ、アンタの手相に!出て無いです!……ったくもう!」
 鈴木:「1つ聞くが……」
 エレーナ:「なに?」
 鈴木:「俺は何歳まで生きられる?」
 エレーナ:「そうねぇ……。さっき手相見せてもらった限りでは、生命線結構長かったんで……まあ、100歳くらいまで生きられそうだけどね。もし気になるんだったら、追加料金で水晶球でも占うよ?」
 鈴木:「フフフフフ……!ハハハハハハハ!」
 エレーナ:「なに?何がおかしいの?」
 鈴木:「残念ながらハズレだな」
 エレーナ:「はぁ!?何でハズレって分かるわけ!?そんなの時間経過してみないと分かんないでしょ!?」
 鈴木:「俺には分かる。何故なら、俺はこれから電車に飛び込み、このクソみたいな人生に幕を下ろす。日蓮大聖人も魔道師も、俺を救うことなどできない。じゃあな!アディオス・アミーゴ!」

 鈴木はそう言って、ホテルから出て行った。

 エレーナ:「いや、ちょっと待って待って!金づる……じゃなかった!何もそんな早まらなくてもいいでしょ!?……って、うおっ!?戻ってきた戻ってきた!……なになに?どうしたの!?」
 鈴木:「終電が行った後でした」
 エレーナ:「もう帰れよ!!」
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