[4月1日14時45分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]
車は無事に事務所の前に到着した。
2トントラックが1台通れれば良いくらいの道幅で、一方通行である。
高橋「ちょっと待っててくれ。今、シャッター開けて来る」
佐元「うっス」
高橋は助手席から降りると、シャッター横の玄関を開けて中に入り、そこからガレージに移動した。
そして、中から電動シャッターを開ける。
愛原「いいよ、入って」
佐元「お邪魔しまーす」
佐元君はバックで、車をガレージの中に入れた。
佐元「はい、到着っス」
愛原「ありがとう」
リサ「わたし、荷物降ろすね」
先にリサが車を降りた。
高橋はエレベーターを呼んでくれていて、リサがハッチを開けて自分のキャリーケースを降ろしている。
愛原「今日、休みだったの?」
佐元「今日は休みです」
愛原「休みだったのに申し訳ないね」
佐元「大丈夫っス。ちょうど車、ガソリン入れるところだったんで」
愛原「そうだつたのか。これ、少ないけど、チップとして」
佐元「あざーっス!」
愛原「結局、往復乗せてもらって悪いねぇ……」
私は佐元氏に1000円札を1枚渡した。
佐元「マサの頼みなんで、問題無いっス。それじゃまた、工事の御用命は佐元工務店へヨロシクお願いします」
愛原「ああ、了解」
高橋「あっ、先生。俺、サムと話があるんで、先に上がっててもらえますか?」
愛原「そうか?じゃあ、お先に」
高橋「はい!」
私とリサはエレベーターに乗り込んだ。
ドアが閉まると、ドアの窓から高橋が佐元氏に何か話し掛けて行くのが見えた。
愛原「まずは洗濯物を出さないとな」
リサ「一応、洗濯ならしたよ」
愛原「そうなのか?あのコインランドリーで?」
リサ「善場さんが洗濯しなさいってうるさくて……」
愛原「そういうことか」
リサ「ゴメンねぇ。美少女BOW女子高生の使用済み下着、あげられなくて……」
愛原「いや、いいんだよ。こういうのは脱ぎたての方がいい……」
リサ「えっ?!」
愛原「えっ?」
リサ「今、何て言ったの!?」
愛原「な、何でもないよ」
リサ「ねぇ!今何て言ったの!?」
愛原「さあ、エレベーターが着くぞ」
リサ「もう!」
出す洗濯物は無いということで、3階ではなく、4階まで上った。
愛原「リサ、先にできたてホヤホヤのシャワーから見るか?」
リサ「そうだね。ちょっと見てみたい」
愛原「こっちだよ」
4階の奥、階段側のすぐ近くだ。
元々は6畳間があった所を、最初の住人が半分潰して、3畳分をトイレと洗面所に造り換えた。
本当は残りの3畳分もシャワールームにしたかったそうなのだが、予算の都合で頓挫し、ただの納戸になってしまっていた。
しかし倉庫や収納は他にもあるので、せいぜい掃除用具入れ程度の用途しかなく、殆どデッドスペースになっていた。
それをようやく予算が確保できた現在の住人である私が、満を持して増設に漕ぎ付けたという次第だ。
愛原「こんな感じかな」
リサ「ほおほお」
シャワーブースが1畳分、脱衣スペースを1畳分として、残りの1畳分については、脱衣カゴなど置く棚を半畳分、もう半畳分を掃除用具入れとした。
もちろん、スペース配分を分かりやすく説明するのに畳の広さを例えにしただけで、本当にピッタリ畳1枚分がそのままシャワーブースなどというわけではないので念の為。
照明は暖色のLED電球が1つ、その隣に小さな換気扇がある。
出入口の扉は折り戸になっていて、中はシャワーが1つと壁に固定されている扇形の椅子があった。
リサ「……何か、藤野の施設のシャワーブースみたいだね」
愛原「あっ、やっぱりそう思うか?」
業務用のボイラーからお湯が供給されると思われる施設のシャワーブースには、個別の温度設定調節のパネルが無い。
しかし、ここは家庭用。
3階のキッチンや風呂と同様、ここもボイラーの電源ボタンや温度設定を調節するパネルが付いていた。
それはまあ、前からあった洗面所でお湯を出す時に使用していたが。
愛原「いつでも使っていいからな?」
リサ「分かった。でも、今日は湯船に浸かりたい」
愛原「分かったよ。温泉の素もあるから、それで温泉気分を味わってくれ」
リサ「わーい」
愛原「それじゃ、俺は下にいるから、ちゃんと荷物整理しろよ?」
リサ「ちょっと待って」
愛原「何だ?」
リサは私の手を掴んだ。
リサ「わたしの部屋から、先生の匂いがするんだけど、わたしの部屋に入った?」
愛原「入ったというか、無理やり入れられたというか……。鼻が鋭いな?換気してファブリーズしたのに……」
リサ「そんなことしなくていいのに……」
愛原「オマエの部屋から、寄生虫が変化した手のお化けが出て来たんだ」
リサ「手のオバケ???」
リサは首を傾げた。
愛原「やっぱ知らないか。お前の分身とも言うべき感じでさ、手を握ってみたら、オマエと握手しているのと同じ感覚だったよ」
リサ「こんな感じ?」
リサは私の手を握って来た。
柔らかい手の感触がゾワゾワと伝わって来る。
鬼型BOWらしく、爪は長くて尖っているが、今は殺気は無い。
愛原「そうそう。オマエは知らないんだ?」
リサ「うーん……知らないねぇ……。でも、夢には出て来たよ」
愛原「そうなのか!?」
リサ、部屋の中に入ると、自分のベッドにダイブする。
残念ながらスカートではないので、それでスカートが捲れて……ということはない。
リサ「……うん、先生の匂いが僅かにする。わたしのベッドで寝たんだぁ?」
愛原「オマエの分身達が、ここで寝ろってうるさくて!ほら、証拠!」
私は手達が書いたメモを渡した。
よく見たら、リサの字とそっくりである。
リサ「はー、なるほど……。で、その手達は?」
愛原「それが、いつの間にかいなくなってたんだ。一組は家で留守番してもらってたんだけど……」
リサ「仕事をサボるなんて、困ったもんだねぇ……。まあ、いいや。で、布団洗ったんだ?」
愛原「オッサンの臭い付きなんて嫌だろ?」
リサ「先生の匂いだったら、別にいいのにぃ…… そうだ!今度はわたしが、先生のベッドで寝て、わたしの匂い、付けてあげるねぇ……」
愛原「いや、ちゃんと自分の部屋で寝るんだ」
リサ「えー……」
と、そこへ私のスマホにLINEの着信があった。
愛原「おっと!LINEだ!……なになに?高橋からだな。……夕食の買い出しに行ってきますだってよ」
リサ「もー!」
愛原「じゃ、俺は下にいるから」
私はリサの部屋をあとにすると、階段で3階に向かった。
エレベーターにしなかったのは、途中で私の部屋に寄ることで、扉の施錠を確認する為であった。
車は無事に事務所の前に到着した。
2トントラックが1台通れれば良いくらいの道幅で、一方通行である。
高橋「ちょっと待っててくれ。今、シャッター開けて来る」
佐元「うっス」
高橋は助手席から降りると、シャッター横の玄関を開けて中に入り、そこからガレージに移動した。
そして、中から電動シャッターを開ける。
愛原「いいよ、入って」
佐元「お邪魔しまーす」
佐元君はバックで、車をガレージの中に入れた。
佐元「はい、到着っス」
愛原「ありがとう」
リサ「わたし、荷物降ろすね」
先にリサが車を降りた。
高橋はエレベーターを呼んでくれていて、リサがハッチを開けて自分のキャリーケースを降ろしている。
愛原「今日、休みだったの?」
佐元「今日は休みです」
愛原「休みだったのに申し訳ないね」
佐元「大丈夫っス。ちょうど車、ガソリン入れるところだったんで」
愛原「そうだつたのか。これ、少ないけど、チップとして」
佐元「あざーっス!」
愛原「結局、往復乗せてもらって悪いねぇ……」
私は佐元氏に1000円札を1枚渡した。
佐元「マサの頼みなんで、問題無いっス。それじゃまた、工事の御用命は佐元工務店へヨロシクお願いします」
愛原「ああ、了解」
高橋「あっ、先生。俺、サムと話があるんで、先に上がっててもらえますか?」
愛原「そうか?じゃあ、お先に」
高橋「はい!」
私とリサはエレベーターに乗り込んだ。
ドアが閉まると、ドアの窓から高橋が佐元氏に何か話し掛けて行くのが見えた。
愛原「まずは洗濯物を出さないとな」
リサ「一応、洗濯ならしたよ」
愛原「そうなのか?あのコインランドリーで?」
リサ「善場さんが洗濯しなさいってうるさくて……」
愛原「そういうことか」
リサ「ゴメンねぇ。美少女BOW女子高生の使用済み下着、あげられなくて……」
愛原「いや、いいんだよ。こういうのは脱ぎたての方がいい……」
リサ「えっ?!」
愛原「えっ?」
リサ「今、何て言ったの!?」
愛原「な、何でもないよ」
リサ「ねぇ!今何て言ったの!?」
愛原「さあ、エレベーターが着くぞ」
リサ「もう!」
出す洗濯物は無いということで、3階ではなく、4階まで上った。
愛原「リサ、先にできたてホヤホヤのシャワーから見るか?」
リサ「そうだね。ちょっと見てみたい」
愛原「こっちだよ」
4階の奥、階段側のすぐ近くだ。
元々は6畳間があった所を、最初の住人が半分潰して、3畳分をトイレと洗面所に造り換えた。
本当は残りの3畳分もシャワールームにしたかったそうなのだが、予算の都合で頓挫し、ただの納戸になってしまっていた。
しかし倉庫や収納は他にもあるので、せいぜい掃除用具入れ程度の用途しかなく、殆どデッドスペースになっていた。
それをようやく予算が確保できた現在の住人である私が、満を持して増設に漕ぎ付けたという次第だ。
愛原「こんな感じかな」
リサ「ほおほお」
シャワーブースが1畳分、脱衣スペースを1畳分として、残りの1畳分については、脱衣カゴなど置く棚を半畳分、もう半畳分を掃除用具入れとした。
もちろん、スペース配分を分かりやすく説明するのに畳の広さを例えにしただけで、本当にピッタリ畳1枚分がそのままシャワーブースなどというわけではないので念の為。
照明は暖色のLED電球が1つ、その隣に小さな換気扇がある。
出入口の扉は折り戸になっていて、中はシャワーが1つと壁に固定されている扇形の椅子があった。
リサ「……何か、藤野の施設のシャワーブースみたいだね」
愛原「あっ、やっぱりそう思うか?」
業務用のボイラーからお湯が供給されると思われる施設のシャワーブースには、個別の温度設定調節のパネルが無い。
しかし、ここは家庭用。
3階のキッチンや風呂と同様、ここもボイラーの電源ボタンや温度設定を調節するパネルが付いていた。
それはまあ、前からあった洗面所でお湯を出す時に使用していたが。
愛原「いつでも使っていいからな?」
リサ「分かった。でも、今日は湯船に浸かりたい」
愛原「分かったよ。温泉の素もあるから、それで温泉気分を味わってくれ」
リサ「わーい」
愛原「それじゃ、俺は下にいるから、ちゃんと荷物整理しろよ?」
リサ「ちょっと待って」
愛原「何だ?」
リサは私の手を掴んだ。
リサ「わたしの部屋から、先生の匂いがするんだけど、わたしの部屋に入った?」
愛原「入ったというか、無理やり入れられたというか……。鼻が鋭いな?換気してファブリーズしたのに……」
リサ「そんなことしなくていいのに……」
愛原「オマエの部屋から、寄生虫が変化した手のお化けが出て来たんだ」
リサ「手のオバケ???」
リサは首を傾げた。
愛原「やっぱ知らないか。お前の分身とも言うべき感じでさ、手を握ってみたら、オマエと握手しているのと同じ感覚だったよ」
リサ「こんな感じ?」
リサは私の手を握って来た。
柔らかい手の感触がゾワゾワと伝わって来る。
鬼型BOWらしく、爪は長くて尖っているが、今は殺気は無い。
愛原「そうそう。オマエは知らないんだ?」
リサ「うーん……知らないねぇ……。でも、夢には出て来たよ」
愛原「そうなのか!?」
リサ、部屋の中に入ると、自分のベッドにダイブする。
残念ながらスカートではないので、それでスカートが捲れて……ということはない。
リサ「……うん、先生の匂いが僅かにする。わたしのベッドで寝たんだぁ?」
愛原「オマエの分身達が、ここで寝ろってうるさくて!ほら、証拠!」
私は手達が書いたメモを渡した。
よく見たら、リサの字とそっくりである。
リサ「はー、なるほど……。で、その手達は?」
愛原「それが、いつの間にかいなくなってたんだ。一組は家で留守番してもらってたんだけど……」
リサ「仕事をサボるなんて、困ったもんだねぇ……。まあ、いいや。で、布団洗ったんだ?」
愛原「オッサンの臭い付きなんて嫌だろ?」
リサ「先生の匂いだったら、別にいいのにぃ…… そうだ!今度はわたしが、先生のベッドで寝て、わたしの匂い、付けてあげるねぇ……」
愛原「いや、ちゃんと自分の部屋で寝るんだ」
リサ「えー……」
と、そこへ私のスマホにLINEの着信があった。
愛原「おっと!LINEだ!……なになに?高橋からだな。……夕食の買い出しに行ってきますだってよ」
リサ「もー!」
愛原「じゃ、俺は下にいるから」
私はリサの部屋をあとにすると、階段で3階に向かった。
エレベーターにしなかったのは、途中で私の部屋に寄ることで、扉の施錠を確認する為であった。