[9月1日14:00.天候:雨 東北工科大学・研究棟 敷島孝夫&平賀太一]
「敷島さん、エミリーは何の制御も掛かっていません。このままでは……」
「遠隔でシャットダウン操作は?」
「それもできません。何しろ、何の制御も掛かっていないので……」
〔「何でそんなことになったのよ!?だいたい、何で何の制御も掛けてないワケ!?」〕
PCの画面からは、憤慨したアリスが抗議の声を上げている。
「エミリーなら……もう暴走することはないと思ったからだ……」
平賀は苦しそうに言った。
「シンディの分析では、エミリーの行動パターンから、何らかの目的で行動しているようです。暴走はしても、破壊活動はしないかもです」
「そんな不確かな分析は信用できませんよ」
「とにかく、シンディやアルエットが全力で捜索していますから」
その時、通信機に着信があった。
シンディからだ。
すぐに敷島はPCのキーボードを叩いた。
「シンディか。何かあったか?」
{「いや、別に。むしろそっちで何か無いかなーって」}
「あるわけないだろ!」
{「ちょっと気になることがあるんだけどォ……」}
「何だ?」
{「アタシ、姉さんにキールを撃ったことがバレたみたいなのよ」}
「そうなのか」
{「殴られはしなかったけど、思いっ切り睨まれたね。2〜3発、ぶん殴られるかなって思ってたけど」}
「……おいおい、まさかキールを捜しに行ったとか?」
{「可能性は無くない?姉さん、キールにベタ惚れだったし。面と向かって社長達に『キールを捜しに行きたい』って言ったところで、止められるのがオチでしょお?」}
「う……」
「そりゃ、許可できるわけないだろうが」
{「もう1度、キールが倒れた所から捜してみるわ。いいでしょ?」}
「ああ、頼む。まず、手掛かりが必要だからな」
そこで通信を切った敷島。
「そういえばキールを仕留め損ねていたんでしたなぁ、シンディはァ……」
「キールを逃がしてしまったわけですからね」
「この鍵、一体どこの鍵なんでしょ?」
シンディが持って来たKR団関係と思われる鍵。
「ケンショーレンジャーでも締め上げて、吐かせるのが手ですが、誰かが既に全滅させていたんですよねぇ……」
「そう……のようですね」
[同日14:15.宮城県仙台市青葉区・台原森林公園 3号機のシンディ&8号機のアルエット]
雨が降り出していたが、ロイド達には関係無い。
むしろ外側から体が冷却できるので、好都合なくらいだ。
残骸などは既に撤去された後だったが、ここからどのような行動を取ったかは把握することができる。
公園内にあるカメラの映像をジャックして……。
「アタシが駆け付けた時には既にいなかったけども、恐らく遠くへは逃げていないはずね。あの時、もう少し捜してみるべきだったわ」
右腕をやられたキールだったが、それだけで足はやられていない。
まだ走れるうちに、急いで離れたらしい。
それでシンディが駆け付けた時、慌てて逃げ出したような感じになっていたのだろう。
因みに公園のカメラはネットに接続されているわけではなかったので、ジャックはできなかった。
代わりにしたのが、周囲へのスキャン。
ロイドが使用しているオイルは漏れ出しただろうから、その痕を追ってみることにした。
シンディの左目は緑色にボウッと光るが、それでオイルの痕を辿って行ける。
「よし、行こう」
「うん!」
アルエットのような新型になると、オイルの成分分析までできるが、そこまではする必要なし。
こんな所でオイル垂らしながら移動していたの、キールくらいしかいないからだ。
そこから30分くらい歩いた所、人けの無い場所までやってきた。
「ここだ、ここ。ここにキールは倒れていたんだ。で、姉さんをここにおびき寄せて、その後、どこかへ飛んだか」
「どうして分かるの?」
と、アルエット。
「まず、ここにオイルが溜まった痕がある。オイルが垂れている状態で、ここに留まった証拠。で、アタシや姉さんが搭載しているジェットエンジンで離陸した痕がそこにあるから。なるほど。……やっぱり、オトコに騙されたままなんだね、姉さん?……社長、キールは姉さんを誑かせてどこへ連れて行ったと思う?」
シンディは通信機を使って、敷島と交信した。
{「そりゃあ、キールも早く自分の体を直したいだろうからな。何の疑いも無くキールを直してくれるところなんざ、KR団の本部くらいしかないだろうさ」}
「というと……?」
{「鷲田警視達が強制捜査に入ろとした、新興宗教の施設だな。今、その場所の座標を送ろう」}
「ちょっと待って。KR団の本部へ行くんなら、例の鍵を持っていた方がいいよね?」
{「おー、そうだな。じゃ、一旦大学に戻ってきてくれ」}
「了解」
[同日15:00.天候:曇 埼玉県さいたま市大宮区・KR団本部施設 1号機のエミリー&キール・ブルー]
「こんな・宗教施設の・地下に・研究所が・あった・とは……」
「皆にはナイショだよ?まさか人間達も、新興宗教団体の地下がこんなことになっているとは思うまい」
「オウム真理教も・似た施設を・持っていた・が?」
「街に程近い場所の地下に作るという発想、普通は無いからね」
「ドクター十条伝助に・会わせて・くれるの?」
「ああ。……ああ、ちょっと待って」
キールの通信機に、着信があったのはエミリーも分かった。
だが周波数が違う為に、その内容までは分からない。
「……ええっ?でもそれは……。……分かりました。では……」
キールは通信を切ると、申し訳無さそうな顔をした。
「ゴメン。ドクターはキミとは会えないそうだ」
「そう・なの」
「ほら、キミも危ない物を持ってるからね」
キールはエミリーの右手を指さした。
今は普通の手の形をしているが、いざとなれば、ショットガンやマグナムに変形させることができる。
「ボクの修理が終わるまでの間、こっちで休んでいるように、とのことだ」
キールに案内されてやってきた部屋は、まるで独房のよう。
「充電とかはできるから、それで適当に待ってて」
確かに充電用のケーブルやコンセントは備え付けられていたが。
「じゃ、修理に行ってくるね」
「あ……うん」
キールが出て行くと、ドアは内側からは開けられなかった。
ほとんど監禁だ。
試しに通信リンクをシンディ達に繋げてみようとしたが、やはり圏外で通じなかった。
無機質な寝台の上に座って俯く。
(シンディ……ゴメン……。私、“姉”失格……。正に・MEIKOの・言う通り)
これからエミリーはどうなるのだろうか。
「敷島さん、エミリーは何の制御も掛かっていません。このままでは……」
「遠隔でシャットダウン操作は?」
「それもできません。何しろ、何の制御も掛かっていないので……」
〔「何でそんなことになったのよ!?だいたい、何で何の制御も掛けてないワケ!?」〕
PCの画面からは、憤慨したアリスが抗議の声を上げている。
「エミリーなら……もう暴走することはないと思ったからだ……」
平賀は苦しそうに言った。
「シンディの分析では、エミリーの行動パターンから、何らかの目的で行動しているようです。暴走はしても、破壊活動はしないかもです」
「そんな不確かな分析は信用できませんよ」
「とにかく、シンディやアルエットが全力で捜索していますから」
その時、通信機に着信があった。
シンディからだ。
すぐに敷島はPCのキーボードを叩いた。
「シンディか。何かあったか?」
{「いや、別に。むしろそっちで何か無いかなーって」}
「あるわけないだろ!」
{「ちょっと気になることがあるんだけどォ……」}
「何だ?」
{「アタシ、姉さんにキールを撃ったことがバレたみたいなのよ」}
「そうなのか」
{「殴られはしなかったけど、思いっ切り睨まれたね。2〜3発、ぶん殴られるかなって思ってたけど」}
「……おいおい、まさかキールを捜しに行ったとか?」
{「可能性は無くない?姉さん、キールにベタ惚れだったし。面と向かって社長達に『キールを捜しに行きたい』って言ったところで、止められるのがオチでしょお?」}
「う……」
「そりゃ、許可できるわけないだろうが」
{「もう1度、キールが倒れた所から捜してみるわ。いいでしょ?」}
「ああ、頼む。まず、手掛かりが必要だからな」
そこで通信を切った敷島。
「そういえばキールを仕留め損ねていたんでしたなぁ、シンディはァ……」
「キールを逃がしてしまったわけですからね」
「この鍵、一体どこの鍵なんでしょ?」
シンディが持って来たKR団関係と思われる鍵。
「ケンショーレンジャーでも締め上げて、吐かせるのが手ですが、誰かが既に全滅させていたんですよねぇ……」
「そう……のようですね」
[同日14:15.宮城県仙台市青葉区・台原森林公園 3号機のシンディ&8号機のアルエット]
雨が降り出していたが、ロイド達には関係無い。
むしろ外側から体が冷却できるので、好都合なくらいだ。
残骸などは既に撤去された後だったが、ここからどのような行動を取ったかは把握することができる。
公園内にあるカメラの映像をジャックして……。
「アタシが駆け付けた時には既にいなかったけども、恐らく遠くへは逃げていないはずね。あの時、もう少し捜してみるべきだったわ」
右腕をやられたキールだったが、それだけで足はやられていない。
まだ走れるうちに、急いで離れたらしい。
それでシンディが駆け付けた時、慌てて逃げ出したような感じになっていたのだろう。
因みに公園のカメラはネットに接続されているわけではなかったので、ジャックはできなかった。
代わりにしたのが、周囲へのスキャン。
ロイドが使用しているオイルは漏れ出しただろうから、その痕を追ってみることにした。
シンディの左目は緑色にボウッと光るが、それでオイルの痕を辿って行ける。
「よし、行こう」
「うん!」
アルエットのような新型になると、オイルの成分分析までできるが、そこまではする必要なし。
こんな所でオイル垂らしながら移動していたの、キールくらいしかいないからだ。
そこから30分くらい歩いた所、人けの無い場所までやってきた。
「ここだ、ここ。ここにキールは倒れていたんだ。で、姉さんをここにおびき寄せて、その後、どこかへ飛んだか」
「どうして分かるの?」
と、アルエット。
「まず、ここにオイルが溜まった痕がある。オイルが垂れている状態で、ここに留まった証拠。で、アタシや姉さんが搭載しているジェットエンジンで離陸した痕がそこにあるから。なるほど。……やっぱり、オトコに騙されたままなんだね、姉さん?……社長、キールは姉さんを誑かせてどこへ連れて行ったと思う?」
シンディは通信機を使って、敷島と交信した。
{「そりゃあ、キールも早く自分の体を直したいだろうからな。何の疑いも無くキールを直してくれるところなんざ、KR団の本部くらいしかないだろうさ」}
「というと……?」
{「鷲田警視達が強制捜査に入ろとした、新興宗教の施設だな。今、その場所の座標を送ろう」}
「ちょっと待って。KR団の本部へ行くんなら、例の鍵を持っていた方がいいよね?」
{「おー、そうだな。じゃ、一旦大学に戻ってきてくれ」}
「了解」
[同日15:00.天候:曇 埼玉県さいたま市大宮区・KR団本部施設 1号機のエミリー&キール・ブルー]
「こんな・宗教施設の・地下に・研究所が・あった・とは……」
「皆にはナイショだよ?まさか人間達も、新興宗教団体の地下がこんなことになっているとは思うまい」
「オウム真理教も・似た施設を・持っていた・が?」
「街に程近い場所の地下に作るという発想、普通は無いからね」
「ドクター十条伝助に・会わせて・くれるの?」
「ああ。……ああ、ちょっと待って」
キールの通信機に、着信があったのはエミリーも分かった。
だが周波数が違う為に、その内容までは分からない。
「……ええっ?でもそれは……。……分かりました。では……」
キールは通信を切ると、申し訳無さそうな顔をした。
「ゴメン。ドクターはキミとは会えないそうだ」
「そう・なの」
「ほら、キミも危ない物を持ってるからね」
キールはエミリーの右手を指さした。
今は普通の手の形をしているが、いざとなれば、ショットガンやマグナムに変形させることができる。
「ボクの修理が終わるまでの間、こっちで休んでいるように、とのことだ」
キールに案内されてやってきた部屋は、まるで独房のよう。
「充電とかはできるから、それで適当に待ってて」
確かに充電用のケーブルやコンセントは備え付けられていたが。
「じゃ、修理に行ってくるね」
「あ……うん」
キールが出て行くと、ドアは内側からは開けられなかった。
ほとんど監禁だ。
試しに通信リンクをシンディ達に繋げてみようとしたが、やはり圏外で通じなかった。
無機質な寝台の上に座って俯く。
(シンディ……ゴメン……。私、“姉”失格……。正に・MEIKOの・言う通り)
これからエミリーはどうなるのだろうか。
答え2011年9月w46年以上走り回ってたことになりますねwww
電車にしては長命ですね。
うちのロイド達のボディ交換の時期については、103系を参考にしたりしています。
いかに頑丈なのかが分かるというものですね。
インドネシアで大事に使われているのだから、素晴らしいではありませんか。
茜オバハンが大嫌いなAKBの姉妹グループ、JKT48も日本からやってきた103系でライブに赴いているということを考えると夢を感じますよ。
茜オバハンからは、「キモッ」と書かれるでしょうがね。