[8月12日10:54.天候:晴 宮城県仙台市青葉区新川字竹山 JR奥新川駅→愛原公一の旧宅]
仙台駅を出発して1時間と経たずに、電車は目的地へと近づいた。
〔まもなく奥新川、奥新川。お出口は、左側です〕
電車の乗客数は、確かに仙台駅発車時よりは少なくなった。
とはいうものの、そんなに少ないというわけでもない。
ここに乗っている乗客達は、殆どが県境を越えて山形県に行こうという者達だ。
山形県に入れば山寺駅(立石寺)という観光地があるし、都市間輸送は高速バスに取られつつあるとはいえ、まだまだ県境越えの需要はあるということだ。
高橋:「すっげぇ山奥ですね」
愛原:「だろ?これなら、冬は雪が積もっていてもおかしくはない」
高橋:「確かに……」
そして、電車は奥新川駅のホームに停車した。
仙山線は全線単線だが、所々に上下線離合の設備が設けられている。
この駅も、そうだった。
しかし、上り列車との待ち合わせは無いようである。
車掌:「ありがとうございました」
そして、無人駅の為、車掌がホームに降りて、乗客達のキップを回収している。
仙山線はワンマン運転を行っていない為、こういう無人駅では車掌がキップの回収を行う。
意外なことに……いや、このシーズンだと意外でもないか。
下車したのは、私達だけではなかった。
ハイカーと思わしき男女のグループが数人と、三脚やカメラを持った撮り鉄と思しき男が2人。
シーズン中でも、この程度の利用客である。
そしてウィキペディアによれば、冬の利用客はほぼ0とのこと。
この駅周辺に住んでいるという数世帯の住民だけだろうか?
愛原:「はい、どうも」
私達も車掌にキップを渡して下車した。
無人駅でも駅舎はあり、中に入るとベンチやゴミ箱があった。
そして驚くことに、かつては有人駅であったらしい。
今はカーテンが引かれて閉鎖されているが、キップ売り場と思しき窓口があった。
愛原:「凄い所だねぇ……」
高橋:「マジで、どこにでも人は住めるもんですね」
愛原:「オマエ、住んでみるか?」
高橋:「カンベンしてくださいよ」
ハイカー達は先に駅舎の外に出て、ハイキングコースへと向かって行った。
しかし、撮り鉄達はホーム上で撮影の準備を始めている。
今日は何か、珍しい列車がこの線路を走るのだろうか?
確かに、駅前には何も無かった。
因みにトイレもあるのだが、駅の外側ではなく、内側にある。
待合室とホームの間。
だが、恐らく利用しにくいだろうと思い、トイレは列車内で済ませるのが良いだろう。
特に、リサは。
高橋:「で、場所はどこなんです?」
愛原:「この近くなんだよ」
私は取りあえず、駅前に出た。
一応、駅前広場はあるのだが、ここに至る道が狭い為、路線バスの停留所などは存在しない。
また、ここから車で行ける場所など無いに等しいので、タクシーが客待ちしているなどということもない。
一応、狭いながらも舗装された車道はあるのだが、それを進むと作並方面に戻ってしまうので。
私達が向かったのは、逆方向。
舗装が無くなった、林道のような道。
一応、これもハイキングコースか何からしい。
先ほどのハイカー達が行った様子は無いが……。
高橋:「先生、クマ出没注意ですって」
道の脇には、そのような看板が立てられていた。
愛原:「だろうな。ツキノワグマくらい、いたっておかしくない」
高橋:「クマに襲われても、銃を使っちゃいけないんですよね?」
愛原:「あくまで、クリーチャー対策用に許可されてるだけだからな。だが、心配無い。ここには、ツキノワグマはもちろん、それより凶暴なヒグマですら食い殺せる鬼がいるから」
リサ:「むふー!任せて!」
高橋:「そりゃ頼もしいことで」
少し歩いて、駅前広場が見えなくなった辺りだ。
ここに、ポツンと一軒家が現れた。
愛原:「ここだよ」
高橋:「古いですけど、誰かが住んでいそうな感じは……しませんね」
2階建ての家である。
築何十年も経っているのだが、不思議と朽ちている感じはしない。
古いボロ屋であることは確かなのだが、廃墟感が小さいのは、やはりしばらくの間は日本アンブレラがここを使っていたからだろう。
愛原:「カードキーの読取機がある」
高橋:「マジっスか」
門扉は閉められており、チェーンが巻かれていたが、それは持って来たチェーンカッターで切り落とす。
それで門扉を開け、草がぼうぼうに生えている中を玄関に向かって進んだ。
その玄関のドアには、伯父さんの旧宅時代には無かったであろう、カードキーの読取機があった。
しかし、福島のそれと違い、こちらは通電していないのか、ランプが消えている。
そこで、手持ちの鍵で玄関のドアを開けた。
開けたからといって、何か警報が鳴るわけではない。
試しに玄関の照明スイッチを操作してみたが、照明が点灯することは無かった。
不思議なものだ。
福島の施設は朽ちていながらも通電していたのに、こちらはさほど朽ちていないにも関わらず、通電していないのだから。
高橋:「案外、広い家ですね」
愛原:「そうなんだ。案外、広い家だったんだよ」
人の気配はおろか、虫や化け物の気配すら無い。
家の構造は、私が熟知している。
日本アンブレラの手に渡ったにしては、そんなに構造が変わっているということはなかった。
確かに和室が洋室に変えられ、事務机が置かれて、事務所のようになっているということはあったのだが。
実験施設としては、使っていなかったのだろうか?
愛原:「ここだな……」
私の記憶で、伯父さんが開け閉めしていた金庫があった部屋。
こちらは特に手が入れられていることはなく、和室のままだった。
和室というか、仏間だ。
しかし、今の新宅となった実家と違い、床の間と兼用はされていない。
旧宅は仏間と床の間が別となっていた豪華仕様だったのだ。
愛原:「仏壇の下に、金庫がある」
私は仏壇の下の観音扉を開けた。
愛原:「うわっ!」
開けた途端、大きな蜘蛛が飛び出して来た。
但し、それはクリーチャーとしての蜘蛛ではなく、元々大きさいサイズのジョロウグモか何かであった。
リサ:「あーむっ!」
第1形態の鬼姿に戻ったリサは、起用にその蜘蛛を捕まえて食べてしまった。
愛原:「うへぇ……」
案の定、金庫の周りは蜘蛛の巣だらけだった。
それを手持ちのショットガンの筒先で掃い、ようやく金庫に手が伸ばせるほどになった。
愛原:「俺が見た金庫はこれだ。やっぱりあれは、昔の実家じゃなく、この家での出来事だったんだ」
この金庫は鍵式。
実家にあったのは、見た目は同じだが、ダイヤル式。
私は筒の中にあった鍵を使い、それで金庫を開けた。
中には何があったと思う?
A:何も無かった。
B:書類の入った封筒。
C:アンプルが数本。
D:ダイナマイトと手榴弾
E:鍵とメモ。
F:SDメモリカード。
仙台駅を出発して1時間と経たずに、電車は目的地へと近づいた。
〔まもなく奥新川、奥新川。お出口は、左側です〕
電車の乗客数は、確かに仙台駅発車時よりは少なくなった。
とはいうものの、そんなに少ないというわけでもない。
ここに乗っている乗客達は、殆どが県境を越えて山形県に行こうという者達だ。
山形県に入れば山寺駅(立石寺)という観光地があるし、都市間輸送は高速バスに取られつつあるとはいえ、まだまだ県境越えの需要はあるということだ。
高橋:「すっげぇ山奥ですね」
愛原:「だろ?これなら、冬は雪が積もっていてもおかしくはない」
高橋:「確かに……」
そして、電車は奥新川駅のホームに停車した。
仙山線は全線単線だが、所々に上下線離合の設備が設けられている。
この駅も、そうだった。
しかし、上り列車との待ち合わせは無いようである。
車掌:「ありがとうございました」
そして、無人駅の為、車掌がホームに降りて、乗客達のキップを回収している。
仙山線はワンマン運転を行っていない為、こういう無人駅では車掌がキップの回収を行う。
意外なことに……いや、このシーズンだと意外でもないか。
下車したのは、私達だけではなかった。
ハイカーと思わしき男女のグループが数人と、三脚やカメラを持った撮り鉄と思しき男が2人。
シーズン中でも、この程度の利用客である。
そしてウィキペディアによれば、冬の利用客はほぼ0とのこと。
この駅周辺に住んでいるという数世帯の住民だけだろうか?
愛原:「はい、どうも」
私達も車掌にキップを渡して下車した。
無人駅でも駅舎はあり、中に入るとベンチやゴミ箱があった。
そして驚くことに、かつては有人駅であったらしい。
今はカーテンが引かれて閉鎖されているが、キップ売り場と思しき窓口があった。
愛原:「凄い所だねぇ……」
高橋:「マジで、どこにでも人は住めるもんですね」
愛原:「オマエ、住んでみるか?」
高橋:「カンベンしてくださいよ」
ハイカー達は先に駅舎の外に出て、ハイキングコースへと向かって行った。
しかし、撮り鉄達はホーム上で撮影の準備を始めている。
今日は何か、珍しい列車がこの線路を走るのだろうか?
確かに、駅前には何も無かった。
因みにトイレもあるのだが、駅の外側ではなく、内側にある。
待合室とホームの間。
だが、恐らく利用しにくいだろうと思い、トイレは列車内で済ませるのが良いだろう。
特に、リサは。
高橋:「で、場所はどこなんです?」
愛原:「この近くなんだよ」
私は取りあえず、駅前に出た。
一応、駅前広場はあるのだが、ここに至る道が狭い為、路線バスの停留所などは存在しない。
また、ここから車で行ける場所など無いに等しいので、タクシーが客待ちしているなどということもない。
一応、狭いながらも舗装された車道はあるのだが、それを進むと作並方面に戻ってしまうので。
私達が向かったのは、逆方向。
舗装が無くなった、林道のような道。
一応、これもハイキングコースか何からしい。
先ほどのハイカー達が行った様子は無いが……。
高橋:「先生、クマ出没注意ですって」
道の脇には、そのような看板が立てられていた。
愛原:「だろうな。ツキノワグマくらい、いたっておかしくない」
高橋:「クマに襲われても、銃を使っちゃいけないんですよね?」
愛原:「あくまで、クリーチャー対策用に許可されてるだけだからな。だが、心配無い。ここには、ツキノワグマはもちろん、それより凶暴なヒグマですら食い殺せる鬼がいるから」
リサ:「むふー!任せて!」
高橋:「そりゃ頼もしいことで」
少し歩いて、駅前広場が見えなくなった辺りだ。
ここに、ポツンと一軒家が現れた。
愛原:「ここだよ」
高橋:「古いですけど、誰かが住んでいそうな感じは……しませんね」
2階建ての家である。
築何十年も経っているのだが、不思議と朽ちている感じはしない。
古いボロ屋であることは確かなのだが、廃墟感が小さいのは、やはりしばらくの間は日本アンブレラがここを使っていたからだろう。
愛原:「カードキーの読取機がある」
高橋:「マジっスか」
門扉は閉められており、チェーンが巻かれていたが、それは持って来たチェーンカッターで切り落とす。
それで門扉を開け、草がぼうぼうに生えている中を玄関に向かって進んだ。
その玄関のドアには、伯父さんの旧宅時代には無かったであろう、カードキーの読取機があった。
しかし、福島のそれと違い、こちらは通電していないのか、ランプが消えている。
そこで、手持ちの鍵で玄関のドアを開けた。
開けたからといって、何か警報が鳴るわけではない。
試しに玄関の照明スイッチを操作してみたが、照明が点灯することは無かった。
不思議なものだ。
福島の施設は朽ちていながらも通電していたのに、こちらはさほど朽ちていないにも関わらず、通電していないのだから。
高橋:「案外、広い家ですね」
愛原:「そうなんだ。案外、広い家だったんだよ」
人の気配はおろか、虫や化け物の気配すら無い。
家の構造は、私が熟知している。
日本アンブレラの手に渡ったにしては、そんなに構造が変わっているということはなかった。
確かに和室が洋室に変えられ、事務机が置かれて、事務所のようになっているということはあったのだが。
実験施設としては、使っていなかったのだろうか?
愛原:「ここだな……」
私の記憶で、伯父さんが開け閉めしていた金庫があった部屋。
こちらは特に手が入れられていることはなく、和室のままだった。
和室というか、仏間だ。
しかし、今の新宅となった実家と違い、床の間と兼用はされていない。
旧宅は仏間と床の間が別となっていた豪華仕様だったのだ。
愛原:「仏壇の下に、金庫がある」
私は仏壇の下の観音扉を開けた。
愛原:「うわっ!」
開けた途端、大きな蜘蛛が飛び出して来た。
但し、それはクリーチャーとしての蜘蛛ではなく、元々大きさいサイズのジョロウグモか何かであった。
リサ:「あーむっ!」
第1形態の鬼姿に戻ったリサは、起用にその蜘蛛を捕まえて食べてしまった。
愛原:「うへぇ……」
案の定、金庫の周りは蜘蛛の巣だらけだった。
それを手持ちのショットガンの筒先で掃い、ようやく金庫に手が伸ばせるほどになった。
愛原:「俺が見た金庫はこれだ。やっぱりあれは、昔の実家じゃなく、この家での出来事だったんだ」
この金庫は鍵式。
実家にあったのは、見た目は同じだが、ダイヤル式。
私は筒の中にあった鍵を使い、それで金庫を開けた。
中には何があったと思う?
A:何も無かった。
B:書類の入った封筒。
C:アンプルが数本。
D:ダイナマイトと手榴弾
E:鍵とメモ。
F:SDメモリカード。
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