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報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「八王子へ向かう」 2

2024-10-02 21:02:14 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月13日17時20分 天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅・中央線ホーム→中央快速線1793T電車2号車内]

 

〔まもなく、1番線に、当駅止まりの、電車が、参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。折り返し、17時28分発、中央特快、高尾行きとなります〕

 私達は中央線ホームに移動し、そこで電車を待った。
 やってきたのは、中央快速線で絶賛運用中のE233系。
 来年には、2階建てグリーン車を連結して運行する予定とのこと。
 来年にも藤野に行く機会があるとすれば、乗ってみる価値はありそうだ。

〔とうきょう、東京。本日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 ここまでの乗客がぞろぞろと降りて行く。
 ドア数の違う特急も発着するせいか、中央線ホームにはホームドアが設置されていない。
 後ろからの車両に乗り込むと、私達は連結器横の3人席に腰かけた。

 

 リサのボストンバッグは、背の高いレイチェルがヒョイと網棚に乗せてくれた。
 因みにリサが同行する場合は、基本的に先頭車か最後尾の車両に乗らなければならない決まりがあるのだが、例外もある。
 中間の指定席車やグリーン車に乗る時など、事前にその旨連絡しなければならないことになっている。
 それ以外だと、BSAAの隊員が直接同行している場合も例外とされる。
 レイチェルは武器持ちなので、仮に監視中のBOWが暴走したとしても、すぐに発砲対処できるし、HQへの連絡も速やかにされるからだと。
 これはかなり後で知ったことなのだがね。
 レイチェルは、ただ単に私やリサが好きで先頭や最後尾に乗っているものだと思っていたらしい。

 レイチェル「……Yes.Car number 2.It’s the second car from the back.……」

 レイチェルは片耳に着けたインカムで、乗車車両をHQに報告していた。
 なるほど。
 BSAAの隊員がいなければ、それができない。
 いない状態でリサが列車内で暴走した場合、BSAAは外部から攻撃することになる。
 この時、列車の編成が長いと、どの車両か分からないので、攻撃目標を定めやすいよう、先頭車か最後尾に乗れとBSAAは言ってきているのだ。
 この車両に乗った理由は簡単。
 先頭車と最後尾はこの部分は優先席になるが、中間車の場合は一般席もあるからだ。

〔この電車は、中央線、中央特快、高尾行きです〕
〔「ご案内致します。この電車は17時28分発、中央線、中央特快、高尾行きです。停車駅は神田、御茶ノ水、四ツ谷、新宿、中野、三鷹、国分寺、立川と、立川から先の各駅に止まります。途中の三鷹で青梅線の青梅行きに、国分寺で各駅停車の高尾行きに、豊田で各駅停車の甲府行きに接続しております。発車までご乗車になり、お待ちください」〕

[同日17時28分 天候:晴 JR中央快速線1793T電車2号車内]

 発車の時間になり、ホームに高いテンションの発車メロディが流れる。
 総武線のホームとかでも流れる汎用タイプだ。

〔1番線の、中央線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 車両のドアが閉まる。
 同じタイプの電車が京浜東北線にも走っているが、そちらと違ってドア横に半自動ドアボタンが付いている。
 しかし、中央快速線内の『電車』と呼ばれる区間では使わない。
 駆け込み乗車は無かったようで、電車のドアは1回で閉まり切り、すぐに発車した。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、中央線、中央特快、高尾行きです。停車駅は神田、御茶ノ水、四ツ谷、新宿、中野、三鷹、国分寺、立川と、立川から先の各駅です。次は神田、神田。お出口は、右側です〕

 平日であれば夕方のラッシュの時間であるが、土曜日なので、そこまで混んではいない。
 ただ、普段の快速よりも速い特快である為か、客は多く、既に満席且つ立ち客ありの状態で発車している。

 リサ「んー……今から発車ってことは、向こうに着くのは、6時過ぎるよねぇ?」
 愛原「まあ、八王子まで50分弱だな。1時間も掛からんよ」
 リサ「じゃあ、夕ご飯は……」
 愛原「ホテルに着いたら、荷物を置いて、それから食べに行くぞ」
 リサ「おー!」
 愛原「ただ、ステーキは昼間食ったから、それ以外な」
 リサ「ですよねー」

 この時点では私も少しだけ落ち着きを取り戻しており、食欲も少し戻った感がある。
 さすがにステーキや焼き肉を食べたい気分ではないが、さっぱりした物なら、そこそこ食べれそうな感じはあった。
 とはいえ、肉好きのリサを不機嫌にさせないようにし、協力してくれているレイチェルへの報酬も兼ねて、何かいい物は……。

 愛原「レイチェルは焼き鳥が好きだったな?」
 レイチェル「この前、八王子に行った時も、それを食べましたね」
 愛原「おっ、そうだったな。あの時は……東横インに泊まったんだっけか。で、そのすぐ近くの焼き鳥屋に行った記憶があるなー」
 レイチェル「そうです」
 愛原「焼き鳥ならステーキや焼き肉よりも、サッパリしてるかもな。よし、今日の夕食はそこにしよう」
 レイチェル「HQ.今日のディナーはYakitoriです!」
 愛原「お、おい。焼き鳥屋に軍隊呼ぶなよ?」
 レイチェル「リサが暴走しなければ大丈夫です」
 愛原「……だってさ」
 リサ「う、うん。“鬼ころし”は持って来てる」

 リサは頭上の網棚を指さした。

 リサ「それにしても、京王ライナーと違ってWiFiが無いのが気になる」
 愛原「あっちと違って、何の特別料金も要らない、ただの通勤電車だからな。ホテルとか、焼き鳥屋に行けばWiFiくらいあるんじゃないかな?」
 リサ「なるほど……。まあ、それでいいか」
 愛原「恐らく居酒屋系だろうから、私服には着替えてくれよ?持って来てるよな?」
 リサ「もち。修学旅行仕様」
 レイチェル「持って来ています」

 2人の女子高生は多く頷いた。
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“私立探偵 愛原学” 「八王子へ向かう」

2024-10-02 15:06:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月13日17時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家→日本交通車内]

 リサ「タクシー来たよ」
 愛原「ああ」

 デイライトの白峰氏が退出した後、私達は急いで出発の準備を行った。
 高橋とパールの部屋に行くと、もぬけの殻となっていた。
 ただ、部屋が荒れている。
 これは恐らく、高橋が連行される時に抵抗したりしたのだろう。
 白峰氏が持って来た映像データにも、それは記録されていた。
 あの暴れ振りは公務執行妨害モノだが、『病気だから』という理由で立件はされないかもしれない。
 いずれはここも、家宅捜索とかされるのだろうか。
 リサは制服を着ていた。
 明後日の月曜日、宿泊先から直接学校へ向かう為である。
 戸締りを確認した後、私は大きなキャリーケースを、リサはボストンバッグを手に家を出た。

 

 愛原「愛原です」
 運転手「愛原様ですね。どうぞー」

 運転手が降りてきて、リアドアとハッチを開けてくれる。
 私とリサは、後ろにキャリーケースとボストンバッグを乗せた。
 それから、タクシーに乗り込む。

 愛原「東京駅の丸の内南口まで、お願いします」
 運転手「かしこまりました」

 タクシーが走り出す。

 リサ「今日は中央線で行くんだ?」
 愛原「ああ。向こうの宿泊先が、京王よりJRの方が近いもんでね。レイチェルも、東京駅まで来てもらうことになった」
 リサ「中目黒から東京駅までかぁ……」
 愛原「霞ケ関か、銀座で丸ノ内線に乗り換えればいいんだよ」
 リサ「そうかぁ……」

 目当ての“京王ライナー”の席が取れなかったというのは内緒。
 まあ、たまにはJRで行くのも悪くないだろう。

 リサ「ミキから連絡があってね」
 愛原「秋田の太平山美樹か」
 リサ「そう。無事に帰ったらしいんだけど、『東京にも鬼がいる』と話したら、向こうの家の人達、大騒ぎになったんだって」
 愛原「え、何で?」
 リサ「まさか、東京にもいるとは思ってなかったみたいだよ」
 愛原「鬼どころか、様々な魑魅魍魎が人の姿に化けて暮らしてるかもしれん町だぞ?」
 リサ「まあ、それは有り得ると思う。でね、ミキが東京の大学に行きたいって言ったら、それでOKになったんだって」
 愛原「リサをダシにして、東京の大学に通わせてもらうとは……」
 リサ「だから、今度はわたしが進学先を決めないと」
 愛原「絵恋は死んでしまった。今度はミキと仲良くして、東京中央学園に行ったら?」
 リサ「うーん……」
 愛原「どっちみち、レイチェルは高校を卒業したら、アメリカに帰国することになる。お前もお前で、監視強化期間を外れる」

 18歳を過ぎたら、リサは暴走の危険性が低下したと見なされ、監視役が『常時1人以上』から『常時遠隔監視』に緩和される。
 今現在では単独行動が許されている通学以外、プライベートでは私が、学校ではレイチェルがリサを監視することになる。
 デイライトの職員でもOK。
 それが10月の誕生日を迎えて18歳になると、正式にはBSAAのアプリによる監視のみで良くなる。
 実際はデイライトが、『来年3月31日まで延長』という取り決めにしているが。
 BSAA的には今年の10月1日でOKということだ。
 リサの人間としての誕生日は不明であるが、リサが日本版リサ・トレヴァー『2番』として生まれたのが10月1日という記録が残っている為、便宜上、今のリサの誕生日を10月1日としている。

 愛原「つまり、大学生になれば、更に自由の身ということだ。ミキは陽キャみたいだが、悪ささえしなければ、別にいいよ」
 リサ「そうだねぇ……。むしろ、わたしがミキを監視した方がいいかもね」
 愛原「ん?どういうことだ?」
 リサ「私は元人間。ミキは……生粋の鬼だってことだよ」
 愛原「元人間という点は、上野利恵も変わらないはずだが……」
 リサ「違う違う。そうじゃないの」

 結局リサは、詳しいことについては教えてくれなかった。

 リサ「確証はまだ無いから」

 という理由で。

[同日17時15分 天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR(東日本)東京駅・丸の内南口]

 タクシーは無事に東京駅丸の内南口に着いた。
 私はデイライトからもらったタクシーチケットで、タクシー料金を支払った。
 その間、リサが先に降りて、ハッチから荷物を下ろしている。
 ボストンバッグはプライベート用ではなく、学校用のものだ。
 何か大きな荷物を運搬するのに使う用らしいが、修学旅行では使わなかった。
 逆に今、使っている。

 運転手「ありがとうございました」
 愛原「どうもお世話様ー」

 私達はタクシーを降りると、それぞれ荷物を持って、東京駅の中に入って行った。

 レイチェル「愛原センセイ、リサ、こんにちは」
 愛原「何か、写真撮ってたな?」
 レイチェル「はい。ステンドグラスが素敵です」
 愛原「ああ。ちょうどこの辺りは、東京ステーションホテルがあるんだったか。ちょっとしたオペラハウスみたいだな」
 リサ「泊まれるの?」
 愛原「泊まれるけど、クッソ高いぞ。まだ、これから泊まるホテルの方が安いかもな?」
 リサ「そんなに!?」

 私はキップ売り場の方に行くと、そこで3人分のキップを買い求めた。
 もちろん、八王子までだ。

 リサ「キップなんだ?」
 愛原「デイライトさんが、費用は全部持ってくれるって言ったろ?」

 領収証ボタンを押して、領収証を発行する。
 もっとも、領収証もキップと同じ券面に印刷されたものだった。
 先ほどのタクシーチケットの控えと領収証と同様、後でデイライトに提出して精算することになる。

 愛原「それじゃ行くか。トイレとか大丈夫?」
 リサ「うん、大丈夫」
 レイチェル「大丈夫です」

 喫煙者がいないから、喫煙時間の確保とか無いから楽だな。
 私達は改札口を通過して、中央線ホームに向かった。
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