[10月8日05:30.天候:晴 東京都千代田区霞ヶ関・警視庁]
敷島:「私ゃ、シンディに宝石泥棒を命じた記憶はありませんがね?“身元引受人”として来たのに、どうして私まで取り調べを受けなきゃならんのです?だいたい……」
鷲田:「ああ、分かってる!おおかたその後に続く言葉は、『タクシーをかっ飛ばして来たんだ。冗談じゃない!』とか何とかだろ?」
敷島:「何言ってるんですか。『始発の有楽町線で来た』ですよ」
鷲田:「お前もそこそこの会社の社長なんだから、タクシーくらい乗れよ。……まあいい。シンディの確保用件は、不法侵入だ。宝石の窃盗ではない」
敷島はシンディの夜中の行動に対するメモリーを確認した。
敷島:「確かに勝手に入ってるから、これはシンディの行き過ぎですね。分かりました。よく叩き聞かせておきますので……」
鷲田:「その前に言い聞かせるという段階が無いのかね、キミには……。それより、動画の提供を受けたことで、新たなことが分かったぞ」
敷島:「何でしょう?」
鷲田は数枚の写真を机の上に置いた。
それはシンディのメモリー画像を印刷したもの。
その1枚は警備服を着たヤスのものだった。
鷲田:「こいつは偽警備員だ。あの美術館の警備員の制服じゃない。それに、本物の警備員は催眠スプレーで眠されていやがった」
敷島:「催眠スプレー?どこかで聞いたような手口ですな?」
鷲田:「多摩地区の工場の事件だよ。あのフランケンを脱走させた野郎、工場に侵入する際に警備員を催眠スプレーで眠らせやがったからな」
敷島:「では、やはり一連の事件はKR団の生き残りのしわざ!?」
鷲田:「ようやく見えてきたって感じだな。……悔しいがシンディは返してやる。メモリーの提供も受けたことだしな」
敷島:「もしかして、最初からそれが目的だったのでは?」
鷲田:「なワケないだろう!もしあの時シンディが抵抗でもしやがったら、ヤツは破壊処分、お前も使用者責任でしょっ引くところだったんだからな!」
敷島:「怖い怖い。日本の警察も、なかなかの謀略集団ですなぁ……」
更に別の写真を見ると、ほんの僅かだが、大男の姿があった。
敷島:「これがフランケンですか。なるほど。確かに完成予想図の通り、大きな体だ。バージョン4.0よりも大きいけど、400よりは小さいかな」
鷲田:「日生劇場の監視カメラに映っていたのを見たが、かなりの化け物だぞ。いいか?不法侵入のシンディを釈放してやる以上、失敗は許されないからな?」
敷島:「分かりました。例え図体のデカいヤツでも、シンディらマルチタイプの手に掛かれば、あっという間に鉄塊となるでしょう」
[同日06:30.天候:晴 東京都千代田区内 タクシー車内]
しかし帰りはタクシーに乗る敷島。
もちろん、隣にはシンディを連れている。
シンディ:「社長、とんだご迷惑を……」
敷島:「何度も聞いたよ。もういいから。むしろ、鷲田さん達にヘタに抵抗しなかったその判断を褒めてやるよ。それより、ルカを真っ二つにしたヤツとガチ勝負して勝てるか?」
シンディ:「御命令頂ければ勝ちます」
敷島:「場所が都内に集中しているだけに、エミリーを呼ぶのもなぁ……。かといって、アルエットを使うのも気が引けるし……」
シンディ:「大丈夫です、社長。私、絶対に勝ちますから」
敷島:「まあ、頼んだぞ」
[同日09:30.天候:晴 都内某所]
ボス:「ガッハハハハハハ!よくやった!これで俺達はモノホンの大金持ちだ!あー?早速これを用意していた密売ルートに流すんだ。奥日光の御隠居さんも、まさか俺がここまで稼ぐたぁ思わなかっただろう。今頃、叫喚地獄の底で文字通り喚いているだろうよ。ウッハハハハハハハハハ!!」
手下A:「親分、アッシらも分け前に預かりたいもんで」
手下B:「異議なーし!」
手下C:「異議なーし!」
手下D:「異議なーし!」
ボス:「バカヤロウ!欲張りな奴らめ!慌てなくても、ちゃんと平等に分けてやる。まず、これが俺の分。で、これが私の分。で、これがワシの分。で、これが僕の分。で、これが小生の分。で、これが拙者の分。で、これが某の分。で、これが手前の分。【中略】で、これがお前の分。で、これがキミの分。で、これが貴様の分。で、これがテメェの分。これが、お前の分。【中略】というわけで、これで平等だ。文句あっか?あー?」
手下A:「親分、それでは分け前が少な過ぎませんで」
ボス:「そうか。オメェは反対か。それじゃ、もう少し出してやる」
パーンッ!(←ボスから手下Aに放たれた一発の弾)
ボス:「俺から愛の鉛弾だ。これ以上の報酬があるか?あ?他に欲しいヤツぁいるか?」
残った手下一同、無言で首を横にブンブン振る。
ボス:「よーし。これで決まりだな。誰か1人忘れてるような気がするが、まあ、細けぇこたぁどうでもいい。次の仕事の準備に取り掛かるぞ」
その忘れられているような1人がヤスであったが、彼はフランケンの相手に夢中であった。
ヤスはまるで車を洗うかのように、毛先の柔らかいブラシでフランケンの体を洗ってやっている。
ヤス:「いやあ、オメェのおかげで俺は幸せモンだ。おかげで俺はボスから目を掛けてくれるようになったし、お前自身もなかなか話せるヤツじゃねーか、え?段々俺はオメェを気に入って来たぜ」
ヤスは脚立を登って、フランケンの口元に近づく。
ヤス:「よし。口開けな。歯ぁ磨いてやる」
フランケンは口を開けた。
シャカシャカとブラシで洗うヤス。
そして、辺りをキョロキョロと見回し、誰もいないのを確認した。
ヤス:「ところで、俺の分は確保しててくれたか?」
と、小声でフランケンに問いかける。
フランケン:「アー」
フランケンは奥歯に隠していたダイヤモンドを1個、ヤスに手渡した。
状態からして1カラット、2カラットどころの数字では無さそうだ。
それ以上は間違いなくある。
ヤス:「サンキュ!こりゃ役得だぁ!」
ヤスは大喜びで自分の服のポケットに、ダイヤモンドをしまい込んだのだった。
ヤス:「次の仕事も一緒に頑張ろうな!」
フランケン:「アー!」
敷島:「私ゃ、シンディに宝石泥棒を命じた記憶はありませんがね?“身元引受人”として来たのに、どうして私まで取り調べを受けなきゃならんのです?だいたい……」
鷲田:「ああ、分かってる!おおかたその後に続く言葉は、『タクシーをかっ飛ばして来たんだ。冗談じゃない!』とか何とかだろ?」
敷島:「何言ってるんですか。『始発の有楽町線で来た』ですよ」
鷲田:「お前もそこそこの会社の社長なんだから、タクシーくらい乗れよ。……まあいい。シンディの確保用件は、不法侵入だ。宝石の窃盗ではない」
敷島はシンディの夜中の行動に対するメモリーを確認した。
敷島:「確かに勝手に入ってるから、これはシンディの行き過ぎですね。分かりました。よく叩き聞かせておきますので……」
鷲田:「その前に言い聞かせるという段階が無いのかね、キミには……。それより、動画の提供を受けたことで、新たなことが分かったぞ」
敷島:「何でしょう?」
鷲田は数枚の写真を机の上に置いた。
それはシンディのメモリー画像を印刷したもの。
その1枚は警備服を着たヤスのものだった。
鷲田:「こいつは偽警備員だ。あの美術館の警備員の制服じゃない。それに、本物の警備員は催眠スプレーで眠されていやがった」
敷島:「催眠スプレー?どこかで聞いたような手口ですな?」
鷲田:「多摩地区の工場の事件だよ。あのフランケンを脱走させた野郎、工場に侵入する際に警備員を催眠スプレーで眠らせやがったからな」
敷島:「では、やはり一連の事件はKR団の生き残りのしわざ!?」
鷲田:「ようやく見えてきたって感じだな。……悔しいがシンディは返してやる。メモリーの提供も受けたことだしな」
敷島:「もしかして、最初からそれが目的だったのでは?」
鷲田:「なワケないだろう!もしあの時シンディが抵抗でもしやがったら、ヤツは破壊処分、お前も使用者責任でしょっ引くところだったんだからな!」
敷島:「怖い怖い。日本の警察も、なかなかの謀略集団ですなぁ……」
更に別の写真を見ると、ほんの僅かだが、大男の姿があった。
敷島:「これがフランケンですか。なるほど。確かに完成予想図の通り、大きな体だ。バージョン4.0よりも大きいけど、400よりは小さいかな」
鷲田:「日生劇場の監視カメラに映っていたのを見たが、かなりの化け物だぞ。いいか?不法侵入のシンディを釈放してやる以上、失敗は許されないからな?」
敷島:「分かりました。例え図体のデカいヤツでも、シンディらマルチタイプの手に掛かれば、あっという間に鉄塊となるでしょう」
[同日06:30.天候:晴 東京都千代田区内 タクシー車内]
しかし帰りはタクシーに乗る敷島。
もちろん、隣にはシンディを連れている。
シンディ:「社長、とんだご迷惑を……」
敷島:「何度も聞いたよ。もういいから。むしろ、鷲田さん達にヘタに抵抗しなかったその判断を褒めてやるよ。それより、ルカを真っ二つにしたヤツとガチ勝負して勝てるか?」
シンディ:「御命令頂ければ勝ちます」
敷島:「場所が都内に集中しているだけに、エミリーを呼ぶのもなぁ……。かといって、アルエットを使うのも気が引けるし……」
シンディ:「大丈夫です、社長。私、絶対に勝ちますから」
敷島:「まあ、頼んだぞ」
[同日09:30.天候:晴 都内某所]
ボス:「ガッハハハハハハ!よくやった!これで俺達はモノホンの大金持ちだ!あー?早速これを用意していた密売ルートに流すんだ。奥日光の御隠居さんも、まさか俺がここまで稼ぐたぁ思わなかっただろう。今頃、叫喚地獄の底で文字通り喚いているだろうよ。ウッハハハハハハハハハ!!」
手下A:「親分、アッシらも分け前に預かりたいもんで」
手下B:「異議なーし!」
手下C:「異議なーし!」
手下D:「異議なーし!」
ボス:「バカヤロウ!欲張りな奴らめ!慌てなくても、ちゃんと平等に分けてやる。まず、これが俺の分。で、これが私の分。で、これがワシの分。で、これが僕の分。で、これが小生の分。で、これが拙者の分。で、これが某の分。で、これが手前の分。【中略】で、これがお前の分。で、これがキミの分。で、これが貴様の分。で、これがテメェの分。これが、お前の分。【中略】というわけで、これで平等だ。文句あっか?あー?」
手下A:「親分、それでは分け前が少な過ぎませんで」
ボス:「そうか。オメェは反対か。それじゃ、もう少し出してやる」
パーンッ!(←ボスから手下Aに放たれた一発の弾)
ボス:「俺から愛の鉛弾だ。これ以上の報酬があるか?あ?他に欲しいヤツぁいるか?」
残った手下一同、無言で首を横にブンブン振る。
ボス:「よーし。これで決まりだな。誰か1人忘れてるような気がするが、まあ、細けぇこたぁどうでもいい。次の仕事の準備に取り掛かるぞ」
その忘れられているような1人がヤスであったが、彼はフランケンの相手に夢中であった。
ヤスはまるで車を洗うかのように、毛先の柔らかいブラシでフランケンの体を洗ってやっている。
ヤス:「いやあ、オメェのおかげで俺は幸せモンだ。おかげで俺はボスから目を掛けてくれるようになったし、お前自身もなかなか話せるヤツじゃねーか、え?段々俺はオメェを気に入って来たぜ」
ヤスは脚立を登って、フランケンの口元に近づく。
ヤス:「よし。口開けな。歯ぁ磨いてやる」
フランケンは口を開けた。
シャカシャカとブラシで洗うヤス。
そして、辺りをキョロキョロと見回し、誰もいないのを確認した。
ヤス:「ところで、俺の分は確保しててくれたか?」
と、小声でフランケンに問いかける。
フランケン:「アー」
フランケンは奥歯に隠していたダイヤモンドを1個、ヤスに手渡した。
状態からして1カラット、2カラットどころの数字では無さそうだ。
それ以上は間違いなくある。
ヤス:「サンキュ!こりゃ役得だぁ!」
ヤスは大喜びで自分の服のポケットに、ダイヤモンドをしまい込んだのだった。
ヤス:「次の仕事も一緒に頑張ろうな!」
フランケン:「アー!」
因みに鷲田警視のモデルは、“鉄腕アトム”に出てくる田鷲警部です。
ロボットが人間を超えて活躍することを望まない、ロボットに不信感を抱いているという所がモデルになっています。
村中課長のモデルは、同じく“鉄腕アトム”の中村課長。
こちらはまだロボットに対して信頼を置いており、温厚な人物として描かれています。
……が、その代わり、何か影が薄いような……?
日蓮正宗法華講は自分の人生の前進に何の役にも立たなかったが、目処がついたところで人生の更なる一歩へと進み出して行こうと思う。