報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「抗争の始まり」

2022-09-15 20:49:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月26日14:00.天候:晴 新潟県新潟市北区 ドライブイン“はんごろし”]

 マスター:「マサ、極東の連中はどうしてる?」
 高橋:「東京じゃ、おとなしくしてるっスね。まあ、俺が一応足を洗ったことにはなってるし、極東本部も俺どころじゃないんだと思います」

 昼食を食べ終わると、愛煙家達はもくもくと火力発電を行っている。
 マスターも一服しながら、高橋達と話していた。
 リサはトイレに行っている。

 愛原:「その、『極東』ってのは何だい?」
 高橋:「あ、サーセン。勝手に内輪話やっちゃって……」
 愛原:「いいよ。ここでは俺の方がアウェイなんだから」
 高橋:「『極東』ってのは、『極東戦線』のことです。それは俺達、『越後羅洲』と敵対している上、『新潟連合』にも加盟したがらない連中なんです」
 愛原:「よくある話だな。どんな連中なんだ?」

 まあ、高橋達と大して変わらないだろうが……。

 高橋:「新潟を含めてその近県にいくつか支部を持つ、広域VIPカー愚連隊です。その支部は4つ。その支部長達で四天王を組んでいるイタい連中ですよ」
 愛原:「まあ、確かにイタいな」

 高橋はブーメランを投げていることに気づかない。
 VIPカー愚連隊とは、型落ちした中古の高級乗用車を暴走族仕様に改造し、走り回る暴走族のことである。
 因みに私が乗せられたチェイサーも3ナンバーのセダンだが、これはVIPカーには入らない(作者の友人である元・走り屋談)。
 それこそ現役時代は、上級国民が乗るような車種のセダンがこれに当たる。
 チェイサーは中級国民が乗る車だったので、該当しないわけだ。

 愛原:「四天王って、どんな奴らなんだ?」
 高橋:「簡単に言えば在日ですよ。この辺りを仕切ってるのが、新潟支部の金田正孝ってヤツです」
 愛原:「本名はキム・ジョンなんとか……かな?漢字だと、金正孝」
 高橋:「……と、思います。あとは木下哲彦」
 愛原:「本名、パク・チョルオン(朴哲彦)かな」
 高橋:「よく分かりますね。3人目が黄海治夫です」
 愛原:「多分、名字は黄(ホン)だな。下の名前は知らんが、こいつも在日だ。黄海という名字は、『海を渡ってきた黄』さんからなんだ。ただ、こいつは朝鮮というよりは中国系かもな」
 高橋:「先生、凄いですね。最後は渡辺雄二です」
 愛原:「朝鮮人のピョンなんとかだな。全員、生粋の日本人じゃねーじゃん」
 高橋:「さすが先生です」
 愛原:「通名使って日本人に成り済ましやがって、この野郎!徹底的にやるか!」
 高橋:「やりますか!」
 佐藤:()
 西川:()

 と、そこへリサが戻って来た。

 リサ:「もー、ちゃんとトイレットペーパー補充してよね!」
 マスター:「あ、サーセン。忘れてました」
 リサ:「おまけに使用済みのゴム落ちてるし!」
 マスター:「それは知らないな……って、おい!誰だ!?便所でセックスしやがったヤツ!?」
 西川:「た、確かにこの前、クロのヤツが女連れて来てましたよね?それじゃないっスか」
 佐藤:「確かにあいつ、ちょっとの間、行方不明になってたな!」
 マスター:「集会バックレて女とヤッてたのかよ……。しかも俺の店の便所で……」
 西川:「ヤリ部屋ならサーさんとこの民泊使いやいいのによォ、あのバカ」
 愛原:「色々いるなぁ、高橋のチーム……」

 私はマスターに食後のコーヒーを入れてもらいながら言った。

 愛原:「いくら?」
 マスター:「あ、これは奢りなんでいいっス」
 愛原:「ありがとう」
 マスター:「それより、あの中g……もとい、女子高生とヤるんでしたら、色々とグッズありますんで、いつでも言ってください」

 マスターはそう言って、ピンクローターとかローションとか取り出した。

 愛原:「ローション以外は間に合ってるからいいや」
 マスター:「さすがっスねぇ……!さすがは、マサに首輪付けられた御方っス」
 愛原:「いや、別に大したことじゃない。それより、御宅のトイレでエッチしたというメンバーいるのかい?」
 マスター:「クロっスか?……あ、黒田っていうんスけどね。うちのチームじゃ、マサに次いで女誑し込むのが上手いヤツなんですよ」

 マスターは店内を見渡した。

 マスター:「おい、ニッシー!クロは今日来てるのか?」
 西川:「クロっすか?……いや、今日はいてないみたいっスね」
 マスター:「ちょっとLINEしてここに呼べや。マサのセンセーが御指名だぞ」
 西川:「うっス。もしかしたら、また女とヤッてる最中かもしれないっスよ?」
 マスター:「いいからさっさとLINEしろ!マサのセンセーだぞ!」
 西川:「うっス」

 西川がスマホを取り出した時だった。

 リサ:「! な、なに、この感じ……?」

 リサも出されたオレンジジュースを飲みながら、スマホをイジって寛いでいたのだが、突然顔を上げた。
 そして、鼻をヒクつかせ、耳を澄ましたり、瞳の色を金色に光らせたりしている。

 愛原:「何か……来るのか?」
 西川:「ダメだ!既読すら付きゃしねぇ!あのバカ!」
 高橋:「もう直接電話しろや」
 西川:「はい……」

 西川は直接黒田というメンバーに電話した。

 西川:「あ、もっしー。俺だけど、オマエ今何して……あ?オメ、誰だ!?」

 どうやら電話に出たのは黒田メンバー以外の人物らしい。
 そして、西川の顔が青ざめて行く。

 西川:「ま、マジか……!」
 高橋:「どうした?まさかクロのヤツ、おまわりにパクられたとか?」
 マスター:「何度目だよ、あいつ……」
 西川:「ち、違うっス!ヤバいっス!!」
 愛原:「警察じゃなくて、ヤクザさんに捕まったの?」
 西川:「い、いや、まだヤーさんの方がマシっつーか……」
 高橋:「はっきり言えよ!クロのヤツどうしたんだ!?」
 西川:「極東の連中に捕まってボコされてます!!」
 高橋:「はああっ!?」
 マスター:「な、なにいっ!?」
 西川:「しかも極東の連中、クロにここの場所吐かせて、こっちに向かってます!」
 高橋:「おう、オメーラ!戦争の準備だ!早くしろ!!……先生は危険ですので、裏から逃げてください」
 マスター:「いや、ダメだ。ヘタに逃げると捕まる。奥に隠れてた方がいい」
 高橋:「そ、そうっスね。先生、取りあえず奥のヤリ部屋へ隠れてください……」
 愛原:「ヤリ部屋あるんかーい!……てか、リサも一緒に行こう」
 高橋:「こいつは逆に戦力になりそうなんで、むしろこっち側にいてもらいたいんスけど……」
 愛原:「アホか!こいつに無双させたら、『流血の惨を見る事、必至であります』!」
 高橋:「まあ、リサがいなくても俺達で何とかします!リサは先生の護衛を頼む!」
 リサ:「承知!」
 マスター:「あ、あのコ、強いのか?」
 高橋:「昨夜、ロシアから来た船のバイオハザード事件で、ゾンビ無双していたヤツですよ」
 マスター:「ええーっ!?」
 リサ:「お兄ちゃん、気をつけてね」
 高橋:「分かってる!」

 リサはまだ何か言いたそうにしていたが、私達は取りあえず店の奥へ隠れた。
 と、同時に店の外から改造車や改造バイクの爆音が幾重にも鳴り響いて来た。
コメント (1)
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“私立探偵 愛原学” 「越後羅洲の人々」

2022-09-15 15:01:37 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月26日13:00.天候:晴 新潟県新潟市北区某所 国道7号線(新新バイパス)→ドライブイン“はんごろし”]

 スーパー銭湯をあとにした私達は、何故か北区に向かっていた。
 昼食を食べ損なった私達の為に、高橋の先輩の1人が経営するドライブインで奢ってくれるという。
 それに、うかうかしていたら警察が来てしまうので。
 高橋の後輩達が乗って来た車は、やはりというべきか、【走り屋仕様】だった。
 しかし、“イニシャルD”のあれと違い、もっと暴走族っぽい見た目である。
 共同危険行為型の暴走族が乗る車は、とにかく爆音が出て目立つ派手なデザインであることを良しとする。
 しかし、“イニシャルD”に出て来る走り屋達は、スピード重視である。
 高橋の後輩達のは、それらのいいとこ取りをしようとした車であった。
 また、車だけとは限らない。
 バイクに乗っている後輩達もいた。
 バイク乗りのは、どちらかというと旧車會タイプである。
 一応ヘルメットは被り、信号も守るのだが、それ以外は【お察しください】。
 私達は、そんな後輩達の1人が運転する車のリアシートに座っていた。
 車種は古いタイプのチェイサー。
 当然マフラーは改造されていて、加速する度に爆音が出るようになっている。
 ギアアップする度に、『ボヒュウッ!』という音が響く。
 先頭にはバイクが2台。
 後ろには車が2台と更にバイクが2台と、まるでVIPの輸送である。
 運転しているのは、スーパー銭湯内で私の胸倉を掴み、高橋に腹パンされてノビた男である。
 肥満体の為に力自慢なのだろうが、頭は坊主にしていて、体のあちこちにピアスを入れている。
 鼻にもピアスをしていて、そこからチェーンを伸ばしていた。
 クチャクチャとガムを噛んでいる。
 名前を西川と言った。
 助手席に乗っているのは、逆にやせ型であるが、髪をソフトモヒカンにして赤く染めている。
 で、やはり耳やら鼻やらにピアスを着けていた。
 こちらはサングラスを掛けて、タバコを吸っている。
 名前を佐藤と言った。

 愛原:「な、何か、本当にいいのかな……」
 高橋:「いいんですよ。寛いでください、先生」

 私は高橋とリサに挟まれるようにして座っている。
 高橋が助手席の後ろ、リサは運転席の後ろに座っていた。
 リサはまるで遊園地のアトラクションに乗っているかのようなテンションで、窓の外を見ている。
 佐藤はタバコを吸い終えると、後ろを振り向いて言った。

 佐藤:「それにしてもボス……いや、先輩、さすがっスね」
 高橋:「何がだ」

 高橋もまた、後ろでタバコを吸っている。
 一応、窓は開けてもらっているが、こりゃ私の服にもタバコの臭いが染み付きそうだ。
 佐藤はリサをいやらしい目で見ながら答えた。
 因みに高橋は一応、ここの組織を卒業しているので、もうボスやら総長ではない。
 それにしても、この世界ではOBも尊敬されるのだ。

 佐藤:「こんなかわいいコ、どこで見っけて来たんスか?」
 リサ:「ええっ?」

 リサは『かわいい』と言われて、少し照れた笑いを浮かべた。
 確かに、見た目は美少女なのだよ、見た目は。

 高橋:「こいつは俺の女じゃねーよ。強いて言えば、先生の女だ。言葉と態度には気を付けろ」
 佐藤:「えっ!?先生の!?いや、マズいんじゃないんスか!?こんな中学生のコ、誑し込んで……」
 リサ:「あぁ?」

 リサは両目を金色に光らせて、佐藤を睨み付けた。

 リサ:「何言ってんだ、テメェ……!?」
 愛原:「リサ、落ち着け!」
 高橋:「こいつは中学生じゃねーよ。見た目はそうだけど、これでも高2だぜ?」
 佐藤:「ま、マジっすか!?サーセン!見た目、若いっスね!?」
 リサ:「若い、ねぇ………」

 リサは伸ばし掛けた爪を引っ込めた。

 佐藤:「既に先生好みのメス豚に?ヘッヘヘヘヘ!」
 愛原:「キミねぇ……」
 リサ:「うーん……わたしは調教されたいんだけどねぇ……」
 愛原:「やめなさい」
 佐藤:「何だったら、俺らが調教してあげてもいいよ?ウェヘヘヘヘ!」
 リサ:「いいけど、明日にはゾンビになってるからね?」

 その時、車が新新バイパスを降りた。

 西川:「バイパスを降りたら、すぐなんで」
 愛原:「どこだ、この辺りは?」
 西川:「豊栄辺りっス」
 愛原:「豊栄。白新線だな」
 西川:「うっス。でも、店は旧道沿いなんて、駅からは離れてるっス」
 愛原:「そうなの?」

 車は県道3号線に入った。
 この道は、旧国道7号線である。
 高速道路並みの規格を誇るバイパスと比べ、こちらは“ベタな地方国道の法則”通りの規格だ。
 バイパスができたことで衰退したとは思うが、それでも街中を通るということもあり、その辺りは生活道路として、それなりの賑わいがある。
 しかし、街からは離れると……。

 西川:「到着っス。お疲れさまっしたー」
 愛原:「えっ、ここ!?」

 それは、見た目は潰れたドライブインであった。
 旧道化した国道には、たまに見かける代物である。
 バイパスができたことで交通量が減少し、それまでのドライブインは経営が成り立たなくなって廃業するということはよくある。
 そして、建物は廃墟として残ることもままある。
 この建物もそうだった。
 造りも古い建物で、そこの駐車場に佇んでいると、どこからともなく菅原文太が運転する『トラック野郎一番星』や、愛川欽也が運転する『ヤモメのジョナサン』がやって来そうな雰囲気である。
 しかし、実際は営業しているのだろう。
 建物の中は明かりが点いている。
 しかし、建物などは暴走族の落書きだらけで、一般客は誰も入ろうとしないだろう。
 よく見ると、看板もそれまでの店の名前の上から赤いスプレーで、『はんごろし』と書かれている。
 本当に正規の営業なのだろうか。

 マスター:「いらっしゃいませー」

 しかし、中の造りは普通だった。
 とはいうものの、建物が古ければ中も古い。
 まるで、昭和時代にタイムスリップしたかのようなカフェだった。
 30代くらいのマスターもまた、茶髪にピアスと、けして柄の良い恰好をしているわけではない。

 マスター:「おお、マサじゃん!」
 高橋:「センパイ、お久しぶりっス」

 どうやらここは、高橋の先輩が経営する店のようだ。

 マスター:「何だ?昔が恋しくて戻ってきたのか?」
 高橋:「いや、そんなカッコ悪いもんじゃないっス。仕事で来ただけなんで、ちょっと寄ってみただけで……」
 マスター:「仕事?何の?」
 高橋:「探偵っス!」
 マスター:「探偵!?オマエが!?」
 高橋:「うっス!」
 マスター:「へーえ!世の中、分からんね!で、そこにいるのが……」
 高橋:「名探偵の愛原先生っス!俺を冤罪の泥沼から助けてくれた上、霧生市のバイオハザードを生き延びた猛者っス!」
 マスター:「そりゃパネェ!どうぞ、こちらに」
 愛原:「あ、ああ……」

 私達はカウンター席に横並びに座った。

 リサ:「お腹空いたー」
 マスター:「このコも探偵?」
 高橋:「センパイ。ハードボイルドな探偵には、女が付き物っス!」
 マスター:「それもそうだな。ってか、まだJCだよね?」
 リサ:「JKだっつーの!」
 愛原:「まあまあ、まあまあ」
 マスター:「JK!?……あっ、そう?年齢詐称じゃなくて?」
 リサ:「ガチの16歳です!」
 マスター:「ふーん……。13歳か14歳くらいに見えるけどねぇ……」
 高橋:「それよりセンパイ、こいつ腹空かせたままにするとヤバいんスよ。何か、大盛り飯でも出してやってくれませんか?」
 マスター:「ああ、分かった。センセイは何にします?酒もありますよ?」

 店内はカフェなのに、食事メニューは節操が無い。
 町の食堂みたいなメニューだ。

 愛原:「仕事中なんで、飲み物はウーロン茶で。あとは、サッと出せて量が多い物とかありますか?」
 マスター:「それならチャーハンはどうっスか?」
 愛原:「あっ、いいね。それにしよう。リサは?」
 リサ:「わたしもチャーハン!大盛りで!」
 高橋:「俺もそれでお願いします。あと、俺もウーロン茶で」
 マスター:「OK。で、センセー、うちはキャッシュ・オン・デリバリー方式で、カードとかも使えないんスけど、いいっスか?」
 愛原:「ああ、大丈夫」
 高橋:「先生、ここは俺が!」
 愛原:「いいのか?」

 よく見たら料金書いてないんだけど、もしかして『時価』かな?
 マスターは厨房に向かうと、まずはウーロン茶を持って来た。
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