[7月19日18:03.天候:晴 山梨県甲府市 JR身延線4009M列車1号車内→甲府駅]
特急“ふじかわ”9号は、順調に身延線を走行している。
種別は特急ながら、身延線内における最高速度は時速85キロである。
東海道本線の時速110キロ運転を除けば、同じJR東海の飯田線を走る特急“伊那路”と同じく、『日本で最も遅い特急』と言われる。
もちろん、全区間を時速85キロで走るわけではなく、線形の悪い所はもっとゆっくりと走る。
線形が悪い故の低速度である為、例え種別を急行から特急へ上げ、車両も特急仕様にしたところで、所要時間は急行時代と変わらぬのだそうだ。
さり気なく急行時代には停車していた西富士宮駅を特急になってから通過しているが、少しでも評定速度を上げたかったのだろうし、創価学会が日蓮正宗から切り離されたことで、大石寺参詣者の利用が見込めなくなったから切り捨てたか。
とにかく、特急にしてはのんびりと走る列車であるから、例え景色の良い所を走るとはいえ……。
マリア:「」
眠くなるのは必然である。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。ご乗車、ありがとうございました。まもなく終点、甲府です。中央線は、お乗り換えです〕
〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、甲府、終点、甲府です。4番線に到着致します。お出口は、右側です。到着の際、列車が左右に揺れますので、ご注意ください。お乗り換えのご案内を致します。中央線下り、普通列車の小淵沢行きは、18時9分に1番線から発車致します。その後、特急“あずさ”41号、松本行きは18時29分に、1番線から発車致します。中央線上り、普通列車、高尾行きは18時9分、その後の特急“あずさ”50号、千葉行きは18時35分、いずれも2番線から発車致します。車内にお忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください。ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、甲府です」〕
車内放送でマリアは目を覚ました。
他の寝ていた乗客も、同じくそのようにしている。
車内チャイムはオリジナルのオルゴールだが、良い目覚ましになっている。
勇太:「おはよう。もうすぐ到着だよ」
マリア:「あ、あー……。いつの間にか寝てしまった」
勇太:「まあ、眠くなりそうなスピードと、インバータの音だからね」
因みに新幹線もそうだが、在来線においても、あまり車内放送で『JR東海』とは言わないのがJR東海である。
何かあるのだろうか?
勇太:「荷物を降ろそう」
マリア:「うん」
マリアは脱いでいた魔道士のローブを羽織った。
電車の中というと、たまに冷房が効き過ぎて寒いということがままあるが、この373系電車にあっては、そういうことはない。
デッキのドアが無い上、乗降ドアの半自動機能は使用しないので、駅に停車中は冷房がダダ洩れしてしまうのである。
甲府駅はJR東日本が管理している。
ここでは4番線と5番線がJR東海専用ホームで、それ以外がJR東日本である。
つまり、身延線は4番線と5番線ということだ。
そのうち、特急は4番線に到着する。
〔「ご乗車ありがとうございました。終点、甲府、終分、甲府です。……」〕
ドアが開くと、勇太達は列車を降りた。
勇太:「やっぱり山梨も暑いなぁ……」
今夜は熱帯夜のようである。
ここでは、身延線が付属のような感じだ。
改札階に行くには、中央線上りの1番線を通らないといけない。
で、改札階に上がると……。
勇太:「やった!駅弁売ってる!ここで夕食の駅弁が買えるぞ!」
マリア:「それは良かった。……お土産は売ってる?」
勇太:「売ってる!甲府のお土産らしく、“桔梗信玄餅”売ってるよ!」
マリア:「ワインは?」
勇太:「ある!」
マリア:「よし。ここで師匠へのお土産をゲットだ」
他にもNEWDAYSがあり、そこでもお土産は買える。
駅弁はだいぶ残っているし、営業時間もまだ余裕があるので、先にNEWDAYSに行った。
駅のコンビニとして、これから必要な物を購入する為だ。
勇太:「ここで全部調達できるとはね!さすがは、県庁所在地の駅だ」
ここでマリアは“信州おとなの牛めし”を、勇太は“鰈の西京焼き弁当”を購入した。
あとは飲み物として、お茶のペットボトル。
勇太:「こんな所でいいか」
マリア:「うん。こんなところだね」
あとは、中央本線下りの2番線に向かう。
2番線は下り本線で、3番線は副線。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の2番線の列車は、18時29分発、特急“あずさ”41号、松本行きです。……〕
ATOSと略称される、東京圏輸送管理システムならではの言い回しの放送が流れる。
中央本線では、この甲府駅が導入駅の最東端である。
尚、あくまでもこのシステムはJR東日本のオリジナルである為、JR東海の身延線ホームでは流れない。
JR東日本ではこのように、放送で『JR東日本』とよく言うのだが、JR東海は何故かそのようなアピールをしない。
マリア:「12号車って、1番後ろ?」
勇太:「いや、1番前」
マリア:「狙ったの?」
勇太:「いや、JR東海の券売機じゃ狙えなかった。……から、偶然だね。因みに“ふじかわ”は、あの先頭車だけが指定席だったから」
マリア:「そうか……」
[同日18:29.天候:晴 JR甲府駅→中央本線5041M列車12号車内]
〔まもなく2番線に、特急“あずさ”41号、松本行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。この列車は、9両です。……〕
12号車があるのに9両編成というのは、基本編成のみの編成であり、附属編成である3両編成(1号車から3号車)が連結されていないという意味である。
マリア:「新宿駅からはよく乗ったけど、ここから乗るのは初めてだな」
勇太:「そうだね。で、この駅も発着しているはずなんだけど、よく覚えてないっていうね」
マリア:「確かに。だいたいこの辺りだと、寝てるもんな」
そんなことを話しているうちに、列車がやってくる。
そこそこの乗車人数が乗っていたが、甲府駅でぞろそろと降りて来た。
“かいじ”と合わせて、特急が賑わうのはここまでのようである。
が、そこはさすがに本線を走る特急。
身延線のようなローカル線を走る特急の3倍の車両が連結され、グリーン車も連結されているということもあり、賑わいは別格だった。
車内に入り、指定されている席に向かう。
座席のシートピッチは広いとは言えないが、座席の形状はJR東日本の新幹線の普通車のものによく似ていた。
今度は進行方向左側に座り、テーブルを出して駅弁と飲み物を置く。
停車時間は僅か1分なので、そうしているうちに列車が走り出す。
〔♪♪♪♪。この列車は、特急“あずさ”41号、松本行きです。停車駅は韮崎、小淵沢、富士見、茅野、上諏訪、下諏訪、岡谷、塩尻、終点松本の順に停車致します。……〕
勇太:「先生には途中経過を報告しなくて大丈夫だろうか?」
マリア:「大丈夫だろう。一応、今日の予定は師匠に伝えてあるし、何かアクシデントがあった時だけ報告すれば」
勇太:「そうか」
冬ならもう真っ暗という時間帯だが、真夏の今はまだ明るい。
西日が眩しいくらいだ。
列車は西に向かって走っているので、正に『夕日に向かってダッシュ!』といったところか。
2人の魔道士は、夕食である駅弁を楽しみながら帰宅の旅を続けた。
特急“ふじかわ”9号は、順調に身延線を走行している。
種別は特急ながら、身延線内における最高速度は時速85キロである。
東海道本線の時速110キロ運転を除けば、同じJR東海の飯田線を走る特急“伊那路”と同じく、『日本で最も遅い特急』と言われる。
もちろん、全区間を時速85キロで走るわけではなく、線形の悪い所はもっとゆっくりと走る。
線形が悪い故の低速度である為、例え種別を急行から特急へ上げ、車両も特急仕様にしたところで、所要時間は急行時代と変わらぬのだそうだ。
さり気なく急行時代には停車していた西富士宮駅を特急になってから通過しているが、少しでも評定速度を上げたかったのだろう
とにかく、特急にしてはのんびりと走る列車であるから、例え景色の良い所を走るとはいえ……。
マリア:「」
眠くなるのは必然である。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。ご乗車、ありがとうございました。まもなく終点、甲府です。中央線は、お乗り換えです〕
〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、甲府、終点、甲府です。4番線に到着致します。お出口は、右側です。到着の際、列車が左右に揺れますので、ご注意ください。お乗り換えのご案内を致します。中央線下り、普通列車の小淵沢行きは、18時9分に1番線から発車致します。その後、特急“あずさ”41号、松本行きは18時29分に、1番線から発車致します。中央線上り、普通列車、高尾行きは18時9分、その後の特急“あずさ”50号、千葉行きは18時35分、いずれも2番線から発車致します。車内にお忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください。ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、甲府です」〕
車内放送でマリアは目を覚ました。
他の寝ていた乗客も、同じくそのようにしている。
車内チャイムはオリジナルのオルゴールだが、良い目覚ましになっている。
勇太:「おはよう。もうすぐ到着だよ」
マリア:「あ、あー……。いつの間にか寝てしまった」
勇太:「まあ、眠くなりそうなスピードと、インバータの音だからね」
因みに新幹線もそうだが、在来線においても、あまり車内放送で『JR東海』とは言わないのがJR東海である。
何かあるのだろうか?
勇太:「荷物を降ろそう」
マリア:「うん」
マリアは脱いでいた魔道士のローブを羽織った。
電車の中というと、たまに冷房が効き過ぎて寒いということがままあるが、この373系電車にあっては、そういうことはない。
デッキのドアが無い上、乗降ドアの半自動機能は使用しないので、駅に停車中は冷房がダダ洩れしてしまうのである。
甲府駅はJR東日本が管理している。
ここでは4番線と5番線がJR東海専用ホームで、それ以外がJR東日本である。
つまり、身延線は4番線と5番線ということだ。
そのうち、特急は4番線に到着する。
〔「ご乗車ありがとうございました。終点、甲府、終分、甲府です。……」〕
ドアが開くと、勇太達は列車を降りた。
勇太:「やっぱり山梨も暑いなぁ……」
今夜は熱帯夜のようである。
ここでは、身延線が付属のような感じだ。
改札階に行くには、中央線上りの1番線を通らないといけない。
で、改札階に上がると……。
勇太:「やった!駅弁売ってる!ここで夕食の駅弁が買えるぞ!」
マリア:「それは良かった。……お土産は売ってる?」
勇太:「売ってる!甲府のお土産らしく、“桔梗信玄餅”売ってるよ!」
マリア:「ワインは?」
勇太:「ある!」
マリア:「よし。ここで師匠へのお土産をゲットだ」
他にもNEWDAYSがあり、そこでもお土産は買える。
駅弁はだいぶ残っているし、営業時間もまだ余裕があるので、先にNEWDAYSに行った。
駅のコンビニとして、これから必要な物を購入する為だ。
勇太:「ここで全部調達できるとはね!さすがは、県庁所在地の駅だ」
ここでマリアは“信州おとなの牛めし”を、勇太は“鰈の西京焼き弁当”を購入した。
あとは飲み物として、お茶のペットボトル。
勇太:「こんな所でいいか」
マリア:「うん。こんなところだね」
あとは、中央本線下りの2番線に向かう。
2番線は下り本線で、3番線は副線。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の2番線の列車は、18時29分発、特急“あずさ”41号、松本行きです。……〕
ATOSと略称される、東京圏輸送管理システムならではの言い回しの放送が流れる。
中央本線では、この甲府駅が導入駅の最東端である。
尚、あくまでもこのシステムはJR東日本のオリジナルである為、JR東海の身延線ホームでは流れない。
JR東日本ではこのように、放送で『JR東日本』とよく言うのだが、JR東海は何故かそのようなアピールをしない。
マリア:「12号車って、1番後ろ?」
勇太:「いや、1番前」
マリア:「狙ったの?」
勇太:「いや、JR東海の券売機じゃ狙えなかった。……から、偶然だね。因みに“ふじかわ”は、あの先頭車だけが指定席だったから」
マリア:「そうか……」
[同日18:29.天候:晴 JR甲府駅→中央本線5041M列車12号車内]
〔まもなく2番線に、特急“あずさ”41号、松本行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。この列車は、9両です。……〕
12号車があるのに9両編成というのは、基本編成のみの編成であり、附属編成である3両編成(1号車から3号車)が連結されていないという意味である。
マリア:「新宿駅からはよく乗ったけど、ここから乗るのは初めてだな」
勇太:「そうだね。で、この駅も発着しているはずなんだけど、よく覚えてないっていうね」
マリア:「確かに。だいたいこの辺りだと、寝てるもんな」
そんなことを話しているうちに、列車がやってくる。
そこそこの乗車人数が乗っていたが、甲府駅でぞろそろと降りて来た。
“かいじ”と合わせて、特急が賑わうのはここまでのようである。
が、そこはさすがに本線を走る特急。
身延線のようなローカル線を走る特急の3倍の車両が連結され、グリーン車も連結されているということもあり、賑わいは別格だった。
車内に入り、指定されている席に向かう。
座席のシートピッチは広いとは言えないが、座席の形状はJR東日本の新幹線の普通車のものによく似ていた。
今度は進行方向左側に座り、テーブルを出して駅弁と飲み物を置く。
停車時間は僅か1分なので、そうしているうちに列車が走り出す。
〔♪♪♪♪。この列車は、特急“あずさ”41号、松本行きです。停車駅は韮崎、小淵沢、富士見、茅野、上諏訪、下諏訪、岡谷、塩尻、終点松本の順に停車致します。……〕
勇太:「先生には途中経過を報告しなくて大丈夫だろうか?」
マリア:「大丈夫だろう。一応、今日の予定は師匠に伝えてあるし、何かアクシデントがあった時だけ報告すれば」
勇太:「そうか」
冬ならもう真っ暗という時間帯だが、真夏の今はまだ明るい。
西日が眩しいくらいだ。
列車は西に向かって走っているので、正に『夕日に向かってダッシュ!』といったところか。
2人の魔道士は、夕食である駅弁を楽しみながら帰宅の旅を続けた。