[8月16日14:00.天候:曇→雨 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
リサ:「ウゥウ……!ガゥウウ……!!」
高橋:「オマエは野獣か!」
殆ど昼食抜きにされ、物凄く機嫌の悪いリサ。
第1形態に戻ってしまい、恐ろしい形相の鬼と化している。
で、高橋に丸めた新聞紙でペシッと叩かれた。
愛原:「まあまあ。リサ、腹減っただろ?焼肉弁当買っておいたから、冷蔵庫の中にあるから」
リサ:「焼肉!?」
リサ、脱兎の如く、給湯室の冷蔵庫に向かう。
もしもそれを邪魔する者が現れたら、鋭く長く伸びた爪で引き裂かれることだろう。
リサ:「早く食べたい……!」
しかし、電子レンジでチンするくらいの理性はまだ残っているもよう。
愛原:「主任、リサ達の検査はこれで終わりですか?」
善場:「そうですね。あとはデータを持ち帰って調べるだけとなります」
愛原:「なるほど。特異菌、見つかりそうですか?」
善場:「……で、なければ困ります」
善場主任はそう言って、事務所をあとにした。
高橋:「何かいいモン、見つかりますかね?」
愛原:「どうだかなぁ……」
絵恋:「何がですか?」
絵恋さんが不機嫌そうな顔でやってきた。
広いおでこに、明らかに怒筋が浮かんでいる。
これではまるで、絵恋さんも鬼化しそうな勢いだ。
愛原:「あ、いや、何でもない」
高橋:「それより用が済んだんだから、とっとと帰りやがれ」
絵恋:「私の分のお弁当も入ってましたけど?」
高橋:「う……」
絵恋:「それに、ゲリラ豪雨が降ってきたので、雨宿りさせて頂けませんこと?」
絵恋さんの言葉に合わせるようにして、外から雷鳴が聞こえて来た。
愛原:「変な雲が出て来たと思ったら、やっぱり降って来やがったか……」
絵恋:「そういうことです。いいですよね?」
愛原:「しょうがないな。いいよ」
絵恋:「やった!ありがとうございます!」
高橋:「い、いいんスか?こいつ……」
愛原:「どうせゲリラ豪雨だろ?1時間もすれば止むって」
高橋:「うー……」
と、そこへ電話が掛かって来た。
愛原:「ほら、仕事だぞ」
高橋:「へーい……。もしもし?愛原学探偵事務所……」
リサと絵恋さんは給湯室のテーブルで、遅くなった昼食を食べていた。
愛原:「悪いね、キミ達。弁当屋の弁当で……」
リサ:「別にいい。お弁当美味しい」
絵恋:「私もリサさんと食べるお弁当、最高ですぅ!」
愛原:「そりゃあ良かった」
絵恋:「まだ、雨止みそうに無いですよね?」
愛原:「そうだな」
絵恋:「それじゃ、リサさんと一緒に夏休みの宿題の続き、やっていいですかぁ?」
リサ:「え?まだ終わってないの?」
絵恋:「もーちょっと!もーちょっとで終わるの!リサさんの頭でないと解けない数学の宿題がぁぁ!」
リサ:「自分でやれよ」
絵恋:「お願い!ちょっとだけ教えて!」
リサ:「ヤダ」
絵恋:「ファミマのロールケーキ3つ!」
リサ:「……やる!」
愛原:「やるんかーい!」
チョロBOW。
高橋:「先生、ちょっといいっスか?」
愛原:「ん?何だ?」
高橋に手招きされ、私は事務室に戻った。
高橋:「大手町中央ビル防災センターの熊谷って人から電話です」
愛原:「な、何だってー!?」
私は急いで、保留中の電話の受話器を取った。
愛原:「も、もしもし!お電話かわりました!愛原です!」
熊谷:「おーい、愛原氏ー?もしかしてエレベーター・キー、持ってってなーい?」
愛原:「さ、サーセン。持って行っちゃいました……」
し、しまったーっ!
こっそり戻すの忘れてたーっ!!
熊谷:「やっぱりなぁ。返してよ」
愛原:「す、すぐっ……!すぐ返しに行きます!すいません!」
熊谷:「いいよ。幸い今日、隊長は休みで、他はみんな俺の後輩しかいないから。俺が上手く誤魔化しといてやるよ」
愛原:「ほ、ホントすいません!」
熊谷:「いいよ、返してくれれば」
愛原:「ついでに複製しちゃいました」
熊谷:「ん?何か言った?」
私は急いで電話を切った。
愛原:「悪い!急用ができた!ちょっと出かけて来るから留守番シクヨロ!」
高橋:「あっ、先生!俺が車出しますよ?」
愛原:「いいからオマエは、リサ達を見てろ!」
高橋:「電車で行くんスか?」
愛原:「急ぎだからタクシーで行く!」
高橋:「この雨で拾えるかどうか分かんないんで、アプリで呼びますか?」
愛原:「っ、あー!そうだな!頼む!」
その間に私は準備をすればいいんだ。
エレベーターの鍵は、私の鞄の中に入れっ放しであった。
複製した鍵は、しっかりと机の中に入っている。
高橋:「先生!5分後に来ます。日本交通っス」
愛原:「よっしゃ!桜にNのマークな!」
私が慌ただしく準備をしていると、リサが給湯室から戻って来た。
さすがに昼食にありつけたことで、だいぶ機嫌は直ったようだ。
第1形態の鬼姿から、第0形態の人姿になっている。
リサ:「どこか行くの?」
愛原:「あーっと……!」
高橋:「先生はクライアントに急に呼ばれたんだ。オマエはお呼びじゃねぇ」
リサ:「兄ちゃんも?」
高橋:「俺はここで留守番だ。電話掛かって来るかもしれねーし、オマエを1人にするわけにはいかねぇ」
絵恋:「私もいますけど?」
高橋:「そういう問題じゃねぇ!事務所にJKしかいねぇっていう異常事態を避ける為だ!」
リサ:「確かにその通り」
高橋:「分かったら、給湯室でおとなしくしてろ!」
愛原:「じゃ高橋、あとはシクヨロ!」
高橋:「あっ、行ってらっしゃいっス!」
リサ:「行ってらっしゃい」
私は事務所を出ると、急いでエレベーターに乗り込んだ。
そして、駐車場側に来た予約のタクシーに乗り込んだのだった。
愛原:「大手町の大手町中央ビルまでお願いします!」
運転手:「はい、大手町中央ビルですね」
車はスーッと走り出した。
ハイブリット車なので、音は静かである。
響くのは、ゲリラ豪雨の強い雨の音。
そして、規則正しく動くワイパーの音だった。
ほんと、気のいい熊谷さんで良かった。
後で、また菓子折りを持って行こう。
リサ:「ウゥウ……!ガゥウウ……!!」
高橋:「オマエは野獣か!」
殆ど昼食抜きにされ、物凄く機嫌の悪いリサ。
第1形態に戻ってしまい、恐ろしい形相の鬼と化している。
で、高橋に丸めた新聞紙でペシッと叩かれた。
愛原:「まあまあ。リサ、腹減っただろ?焼肉弁当買っておいたから、冷蔵庫の中にあるから」
リサ:「焼肉!?」
リサ、脱兎の如く、給湯室の冷蔵庫に向かう。
もしもそれを邪魔する者が現れたら、鋭く長く伸びた爪で引き裂かれることだろう。
リサ:「早く食べたい……!」
しかし、電子レンジでチンするくらいの理性はまだ残っているもよう。
愛原:「主任、リサ達の検査はこれで終わりですか?」
善場:「そうですね。あとはデータを持ち帰って調べるだけとなります」
愛原:「なるほど。特異菌、見つかりそうですか?」
善場:「……で、なければ困ります」
善場主任はそう言って、事務所をあとにした。
高橋:「何かいいモン、見つかりますかね?」
愛原:「どうだかなぁ……」
絵恋:「何がですか?」
絵恋さんが不機嫌そうな顔でやってきた。
広いおでこに、明らかに怒筋が浮かんでいる。
これではまるで、絵恋さんも鬼化しそうな勢いだ。
愛原:「あ、いや、何でもない」
高橋:「それより用が済んだんだから、とっとと帰りやがれ」
絵恋:「私の分のお弁当も入ってましたけど?」
高橋:「う……」
絵恋:「それに、ゲリラ豪雨が降ってきたので、雨宿りさせて頂けませんこと?」
絵恋さんの言葉に合わせるようにして、外から雷鳴が聞こえて来た。
愛原:「変な雲が出て来たと思ったら、やっぱり降って来やがったか……」
絵恋:「そういうことです。いいですよね?」
愛原:「しょうがないな。いいよ」
絵恋:「やった!ありがとうございます!」
高橋:「い、いいんスか?こいつ……」
愛原:「どうせゲリラ豪雨だろ?1時間もすれば止むって」
高橋:「うー……」
と、そこへ電話が掛かって来た。
愛原:「ほら、仕事だぞ」
高橋:「へーい……。もしもし?愛原学探偵事務所……」
リサと絵恋さんは給湯室のテーブルで、遅くなった昼食を食べていた。
愛原:「悪いね、キミ達。弁当屋の弁当で……」
リサ:「別にいい。お弁当美味しい」
絵恋:「私もリサさんと食べるお弁当、最高ですぅ!」
愛原:「そりゃあ良かった」
絵恋:「まだ、雨止みそうに無いですよね?」
愛原:「そうだな」
絵恋:「それじゃ、リサさんと一緒に夏休みの宿題の続き、やっていいですかぁ?」
リサ:「え?まだ終わってないの?」
絵恋:「もーちょっと!もーちょっとで終わるの!リサさんの頭でないと解けない数学の宿題がぁぁ!」
リサ:「自分でやれよ」
絵恋:「お願い!ちょっとだけ教えて!」
リサ:「ヤダ」
絵恋:「ファミマのロールケーキ3つ!」
リサ:「……やる!」
愛原:「やるんかーい!」
チョロBOW。
高橋:「先生、ちょっといいっスか?」
愛原:「ん?何だ?」
高橋に手招きされ、私は事務室に戻った。
高橋:「大手町中央ビル防災センターの熊谷って人から電話です」
愛原:「な、何だってー!?」
私は急いで、保留中の電話の受話器を取った。
愛原:「も、もしもし!お電話かわりました!愛原です!」
熊谷:「おーい、愛原氏ー?もしかしてエレベーター・キー、持ってってなーい?」
愛原:「さ、サーセン。持って行っちゃいました……」
し、しまったーっ!
こっそり戻すの忘れてたーっ!!
熊谷:「やっぱりなぁ。返してよ」
愛原:「す、すぐっ……!すぐ返しに行きます!すいません!」
熊谷:「いいよ。幸い今日、隊長は休みで、他はみんな俺の後輩しかいないから。俺が上手く誤魔化しといてやるよ」
愛原:「ほ、ホントすいません!」
熊谷:「いいよ、返してくれれば」
愛原:「ついでに複製しちゃいました」
熊谷:「ん?何か言った?」
私は急いで電話を切った。
愛原:「悪い!急用ができた!ちょっと出かけて来るから留守番シクヨロ!」
高橋:「あっ、先生!俺が車出しますよ?」
愛原:「いいからオマエは、リサ達を見てろ!」
高橋:「電車で行くんスか?」
愛原:「急ぎだからタクシーで行く!」
高橋:「この雨で拾えるかどうか分かんないんで、アプリで呼びますか?」
愛原:「っ、あー!そうだな!頼む!」
その間に私は準備をすればいいんだ。
エレベーターの鍵は、私の鞄の中に入れっ放しであった。
複製した鍵は、しっかりと机の中に入っている。
高橋:「先生!5分後に来ます。日本交通っス」
愛原:「よっしゃ!桜にNのマークな!」
私が慌ただしく準備をしていると、リサが給湯室から戻って来た。
さすがに昼食にありつけたことで、だいぶ機嫌は直ったようだ。
第1形態の鬼姿から、第0形態の人姿になっている。
リサ:「どこか行くの?」
愛原:「あーっと……!」
高橋:「先生はクライアントに急に呼ばれたんだ。オマエはお呼びじゃねぇ」
リサ:「兄ちゃんも?」
高橋:「俺はここで留守番だ。電話掛かって来るかもしれねーし、オマエを1人にするわけにはいかねぇ」
絵恋:「私もいますけど?」
高橋:「そういう問題じゃねぇ!事務所にJKしかいねぇっていう異常事態を避ける為だ!」
リサ:「確かにその通り」
高橋:「分かったら、給湯室でおとなしくしてろ!」
愛原:「じゃ高橋、あとはシクヨロ!」
高橋:「あっ、行ってらっしゃいっス!」
リサ:「行ってらっしゃい」
私は事務所を出ると、急いでエレベーターに乗り込んだ。
そして、駐車場側に来た予約のタクシーに乗り込んだのだった。
愛原:「大手町の大手町中央ビルまでお願いします!」
運転手:「はい、大手町中央ビルですね」
車はスーッと走り出した。
ハイブリット車なので、音は静かである。
響くのは、ゲリラ豪雨の強い雨の音。
そして、規則正しく動くワイパーの音だった。
ほんと、気のいい熊谷さんで良かった。
後で、また菓子折りを持って行こう。