報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「魔道師の年末」 3

2019-01-05 19:14:00 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月30日16:30.天候:晴 東京都豊島区某所 日蓮正宗正証寺・集会室]

〔「全く。顕正会員を取り逃がして八つ当たりされても困るんですけどね!」〕

 藤谷:「えー、このように、顕正会員の卑劣さは日を追う毎に増しております。我が正証寺においても、御登山の際には十分に注意して頂きたく、このような動画を制作したものです。皆さんもこの動画の内容を心肝に染め、顕正会員の下らぬ揚げ足取りに引っ掛からぬよう、お願い致します。もちろん、私も特に気をつけます」

 シーンと静まり返る集会室内。
 その雰囲気は明らかに白けたものだった。

 藤谷:「動画撮影協力は大石寺塔中の報恩坊様とその御住職様以下、講頭さんや総代さん方であります。この場をお借りして、厚く御礼を申し上げます」

 いや、だからうちはまだ支部認証受けてないから講頭職も総代職も無いって!(byトチロ〜さん)

 鈴木:「顕正会の体験発表のシーンは、自分が顕正会時代だったものを流用しています。あんなものパソコンで簡単に作り変えられますんで」
 稲生:(やっぱり鈴木君のせいか)

 稲生もすっかり呆れていた。

 藤谷:「それでは本日の『顕正会対策臨時集会』を終了致します。皆様のご参加、真にありがとうございました」

 疎らな拍手。
 明らかにこの集会はスベっていた。
 集会室から出て行く信徒達。

 稲生:「あの、藤谷班長……」
 藤谷:「おお、稲生君も参加してくれたか。ということは、マリアンナさんも御一緒かな?」
 稲生:「マリアさんは外で待たせてあります」
 藤谷:「外で!?こんな寒い中……」
 稲生:「あ、いや、もちろんカフェでですよ」
 藤谷:「何だ、そうか」

 取りあえず片付けだけは手伝う稲生。
 実は藤谷が行う臨時集会というのは、ジャイアンのリサイタル並みに不評であることが多い。
 それでいて憎まれないのは、会場設営と撤収は他人の手を借りないところである。
 従って今、片付けをしているのは藤谷と鈴木と稲生の3人だ。

 稲生:「班長、これ、イリーナ先生からです」

 稲生は二つ折りにしたメモ用紙を渡した。

 藤谷:「おおっ、ありがとう!」

 そこには藤谷が馬券を購入する中山金杯の予想が書いてあるはずだ。
 いや、予想ではなく予知である。

 藤谷:「ふむふむ……なるほど……。そういうことか」
 稲生:「報酬は賞金の半額とのことです」
 藤谷:「マジか!1000万円以上出すと大騒ぎになるからな……」
 稲生:「でも、御自分で予想するよりは先生の予知は確実ですよ?そんじょそこらの予想屋さんとはワケが違います。半分は良心的かと」
 藤谷:「そ、それもそうだな」
 稲生:「この内容に不満が無ければ、この契約書にサインして欲しいとのことです」
 藤谷:「了解だ。……って、もしかして稲生君、今日ここに来たのは集会ではなく、これかい?」
 稲生:「ま、そう思われても仕方が無いですねぇ……」
 藤谷:「キミというヤツは……。分かったよ。契約書にサインするよ」

 藤谷はボールペンを用意した。

 稲生:「イリーナ先生はゆるふわな御方ですから、阿漕な内容にはなっていないと思いますが、一応よく読んだ方がいいと思いますよ?」
 藤谷:「少しくらいボられてもいいよ。イリーナ先生には世話になってるからな」

 魔道師も契約社会。
 中には明らかにおかしい内容の契約を盛り込んだ書類を差し出してくる者もいる。
 1番多いのが数字のマジックだ。
 まだ、言語によっては言い回しを曖昧にしてしまうパターンもある。
 曖昧な表現の多い日本語での契約書の場合は、但し書きが多い。
 魔道師の掟として、言語は相手の母国語または公用語に合わせることになっている。
 この場合は日本語で書かれているはずだ。
 弟子である稲生でさえ、イリーナの契約書を勝手に見ることは許されなかった。

 藤谷:「……よし、これでいいだろう」

 藤谷がサインすると、契約書が青白い光を帯びた。

 稲生:「ありがとうございます。これが控えです」
 藤谷:「ま、大騒ぎにならない程度にドカッと稼ぐさ。その半分をイリーナ先生に渡せばいいわけだな?」
 稲生:「そういうことです」

 稲生は大きく頷いた。

 藤谷:「よし。夕勤行に参加するだろ?その後で家まで送ってあげよう」
 稲生:「ああ、どうもすいません。ただ、今日は家族で外食することになっているんですよ」
 藤谷:「そうなのか?」
 稲生:「さいたま新都心のホテルメトロポリタンのレストランです」
 藤谷:「おお、あの高級ホテルの。さすがは稲生君の御両親だ。イリーナ先生への接待かい?」
 稲生:「そうですね」
 藤谷:「俺もやっといた方がいいかな」
 稲生:「契約が満了した時でいいんじゃないですか?どうせ、勝った馬券は現金で出て来るわけでしょう?」
 藤谷:「それもそうだな。その現金を先生の所に持って行くから、それでいいか」
 稲生:「そうですね。その方がいいでしょう」

[同日17:40.天候:晴 東京都豊島区某所 某カフェ]

 夕刻の勤行が終わった後で、稲生はマリアを迎えに行った。

 稲生:「お待たせしました」
 マリア:「ああ、お疲れ」
 藤谷:「よお、マリアンナさん。お久しぶり」
 マリア:「Ah...ミスター藤谷」
 稲生:「班長が送ってくれるそうですので、一緒に行きましょう」
 マリア:「それは助かる」

 マリアは席を立った。

 藤谷:「そこのコインパーキングに車止めてるから、会計済ませたら来てくれや。先に行ってるから」
 稲生:「分かりました」

 といっても、会計などすぐに終わるものだ。

 稲生:「Suicaで払います」
 店員:「はい、お願いします」

 ピピッ♪

 店員:「ありがとうございました」
 稲生:「どうも」
 マリア:「いいのか?」
 稲生:「連れて来たのは僕ですから」
 マリア:「ありがとう。紅茶だけでなく、ケーキまで食べた後だったのに」
 稲生:「別にいいですって」

 カフェの外に出ると、駐車場から藤谷のベンツが出て来るところだった。
 前は型落ちのEクラスだったが、今は現行車種のGクラスになっている。

 藤谷:「じゃ、乗ってくれい」
 稲生:「お願いします」

 稲生とマリアはリアシートに乗り込んだ。

 藤谷:「さいたま新都心なら、首都高をひたすら走れば着けるな」
 稲生:「そうですね」

 既に日も暮れて暗くなった池袋の街を、大きなSUV車が突き進んで行った。
コメント (8)
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雲羽百三の初夢 2019

2019-01-05 10:13:13 | 日記
[年月日不明 時刻不明(多分、午前中) 天候:晴 日蓮正宗大石寺・登山事務所]

 私の名前は雲羽百三。
 趣味で小説を書いているものだ。
 日蓮正宗報恩坊にはトチロ〜さんの紹介で、11月11日に御勧誡した。
 ゾロ目で覚えやすいからとか、ゾロ目で縁起がいいからとか、そんな理由だ。
 それはさておき、今日は添書登山をさせて頂くべく、添書を持って登山事務所にやってきた。

 添書って……誰もその画像をアップしてないけど、ダメなんだろうな、きっと。
 アップしようものなら、それを元に偽造するアホが出てくるからかな?
 まあ、いいや。
 早速、受付に向かう。
 受付には係の御僧侶がいた。

 御僧侶:「それでは2000円の御開扉御供養をお願いします」
 雲羽:「了解です」

 私は財布を取り出した。
 創価学会在りし頃、こういった手続きはATMのような機械で行われ、御開扉料も今よりは安かったという。
 ようつべの動画で見たことがあるが、何ともまあ味気の無い光景だった。
 その時に使用されていたと思しき機械が旧・常来坊に放置されていて、トマソンのようになっていたのを覚えている。
 今は常来坊も建て替えがなされ、旧坊舎は取り壊されてしまった。
 恐らくあの機械もさすがに廃棄処分となったと思われるが、1台くらいはどこかに静態保存しておいてもらいたかったものだ。
 宝物殿なんかいいんじゃないかな。
 あそこは日蓮正宗の歴史を今に伝える展示方法を取っているし、『創価学会がもたらした日蓮正宗の黒歴史展』なんかで使ってみては如何かな?
 何しろ、宝物殿自体が【お察しください】。
 私がそんなことを考えている時だった。

 雲羽:「あっ、すいません!大きいのしか無いんですが……」
 御僧侶:「大丈夫です。お釣り出します」
 雲羽:「じゃあ、1万円で……」

 私が諭吉先生1人分を差し出した時だった。

 ガラガラッ!……バーンッ!!(←登山事務所入口の引き戸が乱暴に開けられた音)

 あ?うっせーな。
 もっと静かに入って来い!
 私が訝し気に大きな音のした方を見た時だった。

 カシャカシャカシャカシャ!(カメラのシャッターの音)

 雲羽:「な?な?な!?」
 御僧侶:「!!!」

 突然乱入してきた男に、いきなりカメラを向けられた。

 顕正会員:「撮ったどー!宗門の堕落している決定的瞬間!!」

 はあ?何言ってんだ、コイツ?

 妙観講員A:「いたぞー!顕正会のスパイ!!」

 な、何だってー!!

 妙観講員B:「待てっ!待てーっ!!」
 顕正会員:「うひょひょひょひょ!これも無二の師匠、浅井先生の為!!」
 妙観講員C:「浅井教の信者め!!」
 顕正会員:「黙れ!堕落した宗門が!!」
 妙観講員D:「そっちに逃げたぞーっ!!」
 妙観講員E:「捕まえろ!カメラを没収するんだ!!」

 バタバタと登山事務所からバスターミナルの方へ逃げて行く顕正会員と妙観講員達。
 事務所内にいた私達は、ただ呆気に取られているしか無かったのである。
 いつもなら、『流血の惨を見る事、必至であります』対応を取らせて頂くのだが、こう想定外のことがいきなり発生させられちゃなぁ……。
 私もまだまだ全然修行が足らんなぁ……。
 それにしても、『無二の御本仏、日蓮大聖人』ではなく、『無二の師匠、浅井先生』が先に出て来るとは……。

[年月日不明 時刻不明(多分、夕方ないし夜) 天候:不明 大宮ソニックシティ]

 司会者:「男子部●隊、鈴木組長!」
 鈴木:「はい!」

 今の司会者はさすがにアデランスではないみたいだね。

 鈴木:「私は平成○×年4月、ポテンヒット班長の折伏により、素直に入信させて頂きました。入信前の私は【中略】。そして私は、宗門の堕落ぶりを目の当たりにすることとなったのです。と、言いますのは【また中略。要は(本当は故意にスパイに行っただけなのだが)たまたま大石寺に行って境内を見学していたところ……】法華講員が不敬の御開扉に率先して与し、しかも坊主に1万円もの大金を支払っている姿でした(雲羽はお釣りをもらうところだったんだが……)。私はその模様を夢中でカメラのフィルムに収めましたところ、凶悪な妙観講員がたった1人でいる私を多人数で取り囲み!悪口雑言を垂れ流す、正にその姿は悪鬼そのものでありました!私は浅井先生並びに顕正会の同士達にこの実態を何としてでもお伝えしたく、(本当は無傷で逃げ切ったんだけど)満身創痍の中、何とかカメラを死守することができました!さればかのような堕落ぶりを目の当たりにした時、細井管長の悪臨終ぶりが如何なるものであったかは想像に難くなく、正しく広宣流布を実現できるのは顕正会ただ1つであることを実感し、【あとはほぼテンプレートなので以下略】」

[年月日不明 正午前後? 天候:晴 大石寺報恩坊]

 雲羽:「あ、ヤベ。やっぱり顕正新聞に載っちゃいましたよ、俺。一応、目線は入ってますけど……」

 『不敬の御開扉に加担する法華講員。坊主が御開扉料と称して1万円もの大金を徴収している所だとすぐに分かる』

 御住職:「今、上層部が動いてますから」
 トチロ〜:「顕正新聞はいつからスクープ記事重視になったんだ……!?」
 いおなずん:「一応、こちらから大白法と慧妙送ってやりますか?」
 御住職:「それはもうやっておきました。顕正会員が登山事務所のドアを壊したので、それで警察に被害届を出しましたので」
 雲羽:「あ、やっぱあれブッ壊してたんスね!」
 総代:「雲羽さん、さっき妙観講から電話が掛かってきて、『雲羽にも顕正会のスパイ疑惑が掛かっている。事情聴取をするから、荻窪の本部に来い』ということなんですが……」
 雲羽:「何で私がスパイなんですか!私も被害者ですよ!?」
 総代:「いや、だから『何かの間違いだ。それでも事情を聴きたいのなら、そっちが報恩坊まで来い』と言っておきましたから」
 雲羽:「全く。顕正会員を取り逃がした八つ当たりされても困るんですよね!」

 2019年は、勇躍前進の年。
 勇躍と書いて、『ハードボイルド』と読む……かどうかは【お察しください】。
コメント (9)
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