[1月3日16:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 稲生家]
マリア:「おかしいな。本には『爆発に注意』なんて書いてなかったぞ?……おかげで、量が半分以下になってしまった。これじゃ、勇太1人分しか無いじゃない。まあ、いいか。取りあえず、味見だけしてみよう」
マリアは鍋の中に残った物を味見してみた。
すると!
マリア:「!!?!!?!?!?!?!?」(←声にならない叫び)
バァン!(キッチンへのドアを思いっきり開ける音)
稲生:「マリアさん!何かありましたか!?」
バターン!(マリア、派手に倒れる)
稲生:「わーっ!マリアさん、しっかしてーっ!」
マリア:「…………」(←顔面蒼白&口から泡吹いてる)
エレーナ:「自爆か」
そこへエレーナ、ホウキで舞い降りて来る。
エレーナ:「裏口から失礼するぜ」
リリアンヌ:「フヒヒ……失礼します」
稲生:「マリアさんが大変なことになったんだ!何とかしてくれ!」
エレーナ:「ポーションなら1個1000円だ」
稲生:「魔界じゃ10ゴッズ(日本円にして約100円)で販売してたぞ!?」
エレーナ:「じゃあ、マリアンナにはしばらく地獄を探検してもらおう。リリィ、帰るぞ」
リリアンヌ:「フフフ……」
稲生:「分かった!1000円払う!」
エレーナ:「毎度ありー」(* ̄▽ ̄)
稲生:「それより、マリアさんをベッドに運ばないと……」
エレーナ:「人んち荒らす所は、さすがに魔女だな」
稲生:「エレーナ!笑ってないで手伝ってくれ!」
エレーナ:「はいはい。素直にカネ払ってくれた礼に、これだけはサービスしてやるよ。リリィ、マリアンナの足持て」
リリアンヌ:「は、はい」
3人でマリアを抱え上げる。
エレーナ:「こいつ重いな。太ったんじゃないのか?」
稲生:「いや、そんなことないよ」
リリアンヌ:「ま、ままマリアンナ先輩は本来、かか、体付きは良い人だそうです……」
エレーナ:「ふーん……。この体型じゃ、信じられないよな」
稲生:「てか、何でリリィがそんなこと知ってるの?」
リリアンヌ:「フヒーッ!?」
エレーナ:「こいつ、悪魔と話すことが得意なんだ。黒魔術って言うの?本来、黒魔術と黒魔法は別物なんだけど、どうもリリィは魔法より魔術の方が得意になりつつある」
稲生:「へえ……」
稲生達、どうにかマリアを客間のベッドに寝かせることに成功する。
稲生:「あとは台所の片付けだ」
エレーナ:「さて、私達は帰るとするか。なあ、リリィ?」
リリアンヌ:「は、はい」
エレーナ:「まあ、魚心あれば水心って言うけどなぁ?なあ、稲生氏?」(/ω・\)チラッ
稲生:「5000円のクオカードあげるよ」
エレーナ:「ダメだ。円で払え、円で」
稲生:「ほら、5000円……」
エレーナ:「おおっ!」
稲生:「……の商品券」
エレーナ:「じゃあな。掃除は全部稲生氏1人でやれよ。バイバイ」
リリアンヌ:「フフフ……」
稲生:「分かった!樋口先生1人分あげる!」
エレーナ:「最初からそう言えばいいんだよ。リリィ、やるぞ」
リリアンヌ:「は、はい!」
[同日18:00.天候:晴 稲生家]
マリア:「う……」
マリアは意識を回復した。
マリア:「ここは……?何があった……?」
と、そこへ……。
稲生:「マリアさん、具合はどうですか?」
稲生がやってきた。
マリア:「勇太。わ、私は……」
稲生:「これ、ポーションです。これ飲んで元気出してください」
マリア:「あ、ありがとう。わ、私は……」
稲生:「台所の片付けならしておきましたから。そのポーションで回復したら、夕食食べてくださいよ。母さん達が帰って来たんで、作ってもらいましたから」
マリア:「ご、ゴメン……。ほんとゴメン!私……私……!」
稲生:「いいんですよ、気にしないでください」
マリア:「勇太に美味しいディナーを食べてもらいたくて……!それなのに……!」
稲生:「その気持ちだけで十分ですよ。ほら、早く飲んでください」
マリア:「う、うん……」
[同日21:38.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅→埼京線2108K電車10号車内]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。19番線に停車中の電車は、21時38分発、りんかい線直通、各駅停車、新木場行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕
稲生達の帰りの交通手段は夜行バスである。
それが出発するバスタ新宿まで行くべく、埼京線に乗ることにした。
父親が車で大宮駅まで送ってくれた為、ここから乗ることになった。
大宮駅始発なので、ちょうど良かっただろう。
新宿駅新南口へ行くには前方の車両の方が便利である。
稲生はホイホイと先頭車に乗り込んだ。
〔この電車は埼京線、各駅停車、新木場行きです〕
〔This is the Saikyo line train for Shinkiba.〕
空いている座席に座るが、マリアはずっと塞ぎ込んだままだ。
〔「21時38分発、埼京線、りんかい線直通の各駅停車、新木場行きです。途中の武蔵浦和駅におきまして、後から参ります快速、新宿行きとの待ち合わせがございます。お待たせ致しました。まもなく発車致します」〕
ローテンションのマリアを他所に、アップテンポな曲調の発車メロディが地下ホームに響き渡った。
〔19番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕
電車のドアが2点チャイムを3回鳴らしながら閉まる。
駆け込み乗車が常習的な駅だが、今回それは無かったようだ。
すぐに電車が発車する。
〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は埼京線、各駅停車、新木場行きです。次は北与野、北与野。お出口は、右側です。……〕
稲生:「マリアさん、気を取り直してくださいよ。次は上手く行きますって」
マリア:「……よし、決めた」
稲生:「え、何がですか?」
マリア:「このままでは済まない。屋敷に帰ったら、今度こそ美味しい料理を作ってあげる」
稲生:「ええっ!?」
マリア:「リベンジだ!」
稲生:「いや、あの、そんな、無理はしなくても……」
マリア:「屋敷では日本料理は食べられないだろ?だったら私が作ってあげる」
稲生:「え、ええ〜……」
今度は稲生が塞ぎ込む番となった。
[同日22:21.天候:晴 東京都新宿区 JR新宿駅]
〔まもなく新宿、新宿。お出口は、右側です。山手線、中央快速線、中央・総武線、京王線、小田急線、地下鉄丸ノ内線、都営地下鉄新宿線と都営地下鉄大江戸線はお乗り換えです〕
新宿駅接近を知らせる自動放送が車内に流れると、マリアは降りる準備を始めた。
マリア:「勇太、降りる駅ここだろ?」
稲生:「はい……」
稲生は頭を抱えていた。
〔「新宿でお降りのお客様、ご乗車ありがとうございました。1番線に到着致します。お出口は、右側です。この電車は埼京線、りんかい線直通の各駅停車、新木場行きです。新宿を出ますと渋谷、恵比寿、大崎の順に停車致します。……」〕
バスタ新宿ができる前、JRバスの発着場であった場所。
その横に1番線がある。
埼京線の池袋〜大崎間は元々貨物線。
まるで荷捌き場みたいな雰囲気の旧ターミナルであったことから、もしかしたら、本当に1番線には貨物列車が横付けして荷降ろしをしていたのかもしれない。
〔しんじゅく〜、新宿〜。ご乗車、ありがとうございます。次は、渋谷に止まります〕
ここで電車を降りる乗客達は多い。
稲生達もその波に乗った。
稲生達以外にも、大勢の旅行客の姿が見えた。
マリア:「バスターミナルに行く前にトイレに行きたい」
稲生:「どうぞ」
トイレ増設工事が行われたらしいが、シーズンによってはそれでも捌き切れないと思われ、駅のトイレが空いていればそちらに行った方が得策である。
マリアがトイレに行っている間、稲生はスマホを手にした。
すると、イリーナから掛かって来る。
内容は他愛も無いもので、ちゃんとマリアと仲良くやっているかというものである。
稲生:「……はい、先生。御心配いりません。ただ……なるべく早く帰って来て頂きたいですね。……はい。僕の安全が脅かされておりまして……いえ、あの……詳しくはここでは話せないんですが……」
今回の帰省は、『終わり良ければ全て良し』というわけにはいかなかったようである。
マリア:「おかしいな。本には『爆発に注意』なんて書いてなかったぞ?……おかげで、量が半分以下になってしまった。これじゃ、勇太1人分しか無いじゃない。まあ、いいか。取りあえず、味見だけしてみよう」
マリアは鍋の中に残った物を味見してみた。
すると!
マリア:「!!?!!?!?!?!?!?」(←声にならない叫び)
バァン!(キッチンへのドアを思いっきり開ける音)
稲生:「マリアさん!何かありましたか!?」
バターン!(マリア、派手に倒れる)
稲生:「わーっ!マリアさん、しっかしてーっ!」
マリア:「…………」(←顔面蒼白&口から泡吹いてる)
エレーナ:「自爆か」
そこへエレーナ、ホウキで舞い降りて来る。
エレーナ:「裏口から失礼するぜ」
リリアンヌ:「フヒヒ……失礼します」
稲生:「マリアさんが大変なことになったんだ!何とかしてくれ!」
エレーナ:「ポーションなら1個1000円だ」
稲生:「魔界じゃ10ゴッズ(日本円にして約100円)で販売してたぞ!?」
エレーナ:「じゃあ、マリアンナにはしばらく地獄を探検してもらおう。リリィ、帰るぞ」
リリアンヌ:「フフフ……」
稲生:「分かった!1000円払う!」
エレーナ:「毎度ありー」(* ̄▽ ̄)
稲生:「それより、マリアさんをベッドに運ばないと……」
エレーナ:「人んち荒らす所は、さすがに魔女だな」
稲生:「エレーナ!笑ってないで手伝ってくれ!」
エレーナ:「はいはい。素直にカネ払ってくれた礼に、これだけはサービスしてやるよ。リリィ、マリアンナの足持て」
リリアンヌ:「は、はい」
3人でマリアを抱え上げる。
エレーナ:「こいつ重いな。太ったんじゃないのか?」
稲生:「いや、そんなことないよ」
リリアンヌ:「ま、ままマリアンナ先輩は本来、かか、体付きは良い人だそうです……」
エレーナ:「ふーん……。この体型じゃ、信じられないよな」
稲生:「てか、何でリリィがそんなこと知ってるの?」
リリアンヌ:「フヒーッ!?」
エレーナ:「こいつ、悪魔と話すことが得意なんだ。黒魔術って言うの?本来、黒魔術と黒魔法は別物なんだけど、どうもリリィは魔法より魔術の方が得意になりつつある」
稲生:「へえ……」
稲生達、どうにかマリアを客間のベッドに寝かせることに成功する。
稲生:「あとは台所の片付けだ」
エレーナ:「さて、私達は帰るとするか。なあ、リリィ?」
リリアンヌ:「は、はい」
エレーナ:「まあ、魚心あれば水心って言うけどなぁ?なあ、稲生氏?」(/ω・\)チラッ
稲生:「5000円のクオカードあげるよ」
エレーナ:「ダメだ。円で払え、円で」
稲生:「ほら、5000円……」
エレーナ:「おおっ!」
稲生:「……の商品券」
エレーナ:「じゃあな。掃除は全部稲生氏1人でやれよ。バイバイ」
リリアンヌ:「フフフ……」
稲生:「分かった!樋口先生1人分あげる!」
エレーナ:「最初からそう言えばいいんだよ。リリィ、やるぞ」
リリアンヌ:「は、はい!」
[同日18:00.天候:晴 稲生家]
マリア:「う……」
マリアは意識を回復した。
マリア:「ここは……?何があった……?」
と、そこへ……。
稲生:「マリアさん、具合はどうですか?」
稲生がやってきた。
マリア:「勇太。わ、私は……」
稲生:「これ、ポーションです。これ飲んで元気出してください」
マリア:「あ、ありがとう。わ、私は……」
稲生:「台所の片付けならしておきましたから。そのポーションで回復したら、夕食食べてくださいよ。母さん達が帰って来たんで、作ってもらいましたから」
マリア:「ご、ゴメン……。ほんとゴメン!私……私……!」
稲生:「いいんですよ、気にしないでください」
マリア:「勇太に美味しいディナーを食べてもらいたくて……!それなのに……!」
稲生:「その気持ちだけで十分ですよ。ほら、早く飲んでください」
マリア:「う、うん……」
[同日21:38.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅→埼京線2108K電車10号車内]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。19番線に停車中の電車は、21時38分発、りんかい線直通、各駅停車、新木場行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕
稲生達の帰りの交通手段は夜行バスである。
それが出発するバスタ新宿まで行くべく、埼京線に乗ることにした。
父親が車で大宮駅まで送ってくれた為、ここから乗ることになった。
大宮駅始発なので、ちょうど良かっただろう。
新宿駅新南口へ行くには前方の車両の方が便利である。
稲生はホイホイと先頭車に乗り込んだ。
〔この電車は埼京線、各駅停車、新木場行きです〕
〔This is the Saikyo line train for Shinkiba.〕
空いている座席に座るが、マリアはずっと塞ぎ込んだままだ。
〔「21時38分発、埼京線、りんかい線直通の各駅停車、新木場行きです。途中の武蔵浦和駅におきまして、後から参ります快速、新宿行きとの待ち合わせがございます。お待たせ致しました。まもなく発車致します」〕
ローテンションのマリアを他所に、アップテンポな曲調の発車メロディが地下ホームに響き渡った。
〔19番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕
電車のドアが2点チャイムを3回鳴らしながら閉まる。
駆け込み乗車が常習的な駅だが、今回それは無かったようだ。
すぐに電車が発車する。
〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は埼京線、各駅停車、新木場行きです。次は北与野、北与野。お出口は、右側です。……〕
稲生:「マリアさん、気を取り直してくださいよ。次は上手く行きますって」
マリア:「……よし、決めた」
稲生:「え、何がですか?」
マリア:「このままでは済まない。屋敷に帰ったら、今度こそ美味しい料理を作ってあげる」
稲生:「ええっ!?」
マリア:「リベンジだ!」
稲生:「いや、あの、そんな、無理はしなくても……」
マリア:「屋敷では日本料理は食べられないだろ?だったら私が作ってあげる」
稲生:「え、ええ〜……」
今度は稲生が塞ぎ込む番となった。
[同日22:21.天候:晴 東京都新宿区 JR新宿駅]
〔まもなく新宿、新宿。お出口は、右側です。山手線、中央快速線、中央・総武線、京王線、小田急線、地下鉄丸ノ内線、都営地下鉄新宿線と都営地下鉄大江戸線はお乗り換えです〕
新宿駅接近を知らせる自動放送が車内に流れると、マリアは降りる準備を始めた。
マリア:「勇太、降りる駅ここだろ?」
稲生:「はい……」
稲生は頭を抱えていた。
〔「新宿でお降りのお客様、ご乗車ありがとうございました。1番線に到着致します。お出口は、右側です。この電車は埼京線、りんかい線直通の各駅停車、新木場行きです。新宿を出ますと渋谷、恵比寿、大崎の順に停車致します。……」〕
バスタ新宿ができる前、JRバスの発着場であった場所。
その横に1番線がある。
埼京線の池袋〜大崎間は元々貨物線。
まるで荷捌き場みたいな雰囲気の旧ターミナルであったことから、もしかしたら、本当に1番線には貨物列車が横付けして荷降ろしをしていたのかもしれない。
〔しんじゅく〜、新宿〜。ご乗車、ありがとうございます。次は、渋谷に止まります〕
ここで電車を降りる乗客達は多い。
稲生達もその波に乗った。
稲生達以外にも、大勢の旅行客の姿が見えた。
マリア:「バスターミナルに行く前にトイレに行きたい」
稲生:「どうぞ」
トイレ増設工事が行われたらしいが、シーズンによってはそれでも捌き切れないと思われ、駅のトイレが空いていればそちらに行った方が得策である。
マリアがトイレに行っている間、稲生はスマホを手にした。
すると、イリーナから掛かって来る。
内容は他愛も無いもので、ちゃんとマリアと仲良くやっているかというものである。
稲生:「……はい、先生。御心配いりません。ただ……なるべく早く帰って来て頂きたいですね。……はい。僕の安全が脅かされておりまして……いえ、あの……詳しくはここでは話せないんですが……」
今回の帰省は、『終わり良ければ全て良し』というわけにはいかなかったようである。