報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「帰り道」

2019-01-22 19:00:21 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月3日16:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 稲生家]

 マリア:「おかしいな。本には『爆発に注意』なんて書いてなかったぞ?……おかげで、量が半分以下になってしまった。これじゃ、勇太1人分しか無いじゃない。まあ、いいか。取りあえず、味見だけしてみよう」

 マリアは鍋の中に残った物を味見してみた。
 すると!

 マリア:「!!?!!?!?!?!?!?」(←声にならない叫び)

 バァン!(キッチンへのドアを思いっきり開ける音)

 稲生:「マリアさん!何かありましたか!?」

 バターン!(マリア、派手に倒れる)

 稲生:「わーっ!マリアさん、しっかしてーっ!」
 マリア:「…………」(←顔面蒼白&口から泡吹いてる)
 エレーナ:「自爆か」

 そこへエレーナ、ホウキで舞い降りて来る。

 エレーナ:「裏口から失礼するぜ」
 リリアンヌ:「フヒヒ……失礼します」
 稲生:「マリアさんが大変なことになったんだ!何とかしてくれ!」
 エレーナ:「ポーションなら1個1000円だ」
 稲生:「魔界じゃ10ゴッズ(日本円にして約100円)で販売してたぞ!?」
 エレーナ:「じゃあ、マリアンナにはしばらく地獄を探検してもらおう。リリィ、帰るぞ」
 リリアンヌ:「フフフ……」
 稲生:「分かった!1000円払う!」
 エレーナ:「毎度ありー」(* ̄▽ ̄)
 稲生:「それより、マリアさんをベッドに運ばないと……」
 エレーナ:「人んち荒らす所は、さすがに魔女だな」
 稲生:「エレーナ!笑ってないで手伝ってくれ!」
 エレーナ:「はいはい。素直にカネ払ってくれた礼に、これだけはサービスしてやるよ。リリィ、マリアンナの足持て」
 リリアンヌ:「は、はい」

 3人でマリアを抱え上げる。

 エレーナ:「こいつ重いな。太ったんじゃないのか?」
 稲生:「いや、そんなことないよ」
 リリアンヌ:「ま、ままマリアンナ先輩は本来、かか、体付きは良い人だそうです……」
 エレーナ:「ふーん……。この体型じゃ、信じられないよな」
 稲生:「てか、何でリリィがそんなこと知ってるの?」
 リリアンヌ:「フヒーッ!?」
 エレーナ:「こいつ、悪魔と話すことが得意なんだ。黒魔術って言うの?本来、黒魔術と黒魔法は別物なんだけど、どうもリリィは魔法より魔術の方が得意になりつつある」
 稲生:「へえ……」

 稲生達、どうにかマリアを客間のベッドに寝かせることに成功する。

 稲生:「あとは台所の片付けだ」
 エレーナ:「さて、私達は帰るとするか。なあ、リリィ?」
 リリアンヌ:「は、はい」
 エレーナ:「まあ、魚心あれば水心って言うけどなぁ?なあ、稲生氏?」(/ω・\)チラッ
 稲生:「5000円のクオカードあげるよ」
 エレーナ:「ダメだ。円で払え、円で」
 稲生:「ほら、5000円……」
 エレーナ:「おおっ!」
 稲生:「……の商品券」
 エレーナ:「じゃあな。掃除は全部稲生氏1人でやれよ。バイバイ」
 リリアンヌ:「フフフ……」
 稲生:「分かった!樋口先生1人分あげる!」
 エレーナ:「最初からそう言えばいいんだよ。リリィ、やるぞ」
 リリアンヌ:「は、はい!」

[同日18:00.天候:晴 稲生家]

 マリア:「う……」

 マリアは意識を回復した。

 マリア:「ここは……?何があった……?」

 と、そこへ……。

 稲生:「マリアさん、具合はどうですか?」

 稲生がやってきた。

 マリア:「勇太。わ、私は……」
 稲生:「これ、ポーションです。これ飲んで元気出してください」
 マリア:「あ、ありがとう。わ、私は……」
 稲生:「台所の片付けならしておきましたから。そのポーションで回復したら、夕食食べてくださいよ。母さん達が帰って来たんで、作ってもらいましたから」
 マリア:「ご、ゴメン……。ほんとゴメン!私……私……!」
 稲生:「いいんですよ、気にしないでください」
 マリア:「勇太に美味しいディナーを食べてもらいたくて……!それなのに……!」
 稲生:「その気持ちだけで十分ですよ。ほら、早く飲んでください」
 マリア:「う、うん……」

[同日21:38.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅→埼京線2108K電車10号車内]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。19番線に停車中の電車は、21時38分発、りんかい線直通、各駅停車、新木場行きです。発車まで、しばらくお待ちください〕

 稲生達の帰りの交通手段は夜行バスである。
 それが出発するバスタ新宿まで行くべく、埼京線に乗ることにした。
 父親が車で大宮駅まで送ってくれた為、ここから乗ることになった。
 大宮駅始発なので、ちょうど良かっただろう。
 新宿駅新南口へ行くには前方の車両の方が便利である。
 稲生はホイホイと先頭車に乗り込んだ。

〔この電車は埼京線、各駅停車、新木場行きです〕
〔This is the Saikyo line train for Shinkiba.〕

 空いている座席に座るが、マリアはずっと塞ぎ込んだままだ。

〔「21時38分発、埼京線、りんかい線直通の各駅停車、新木場行きです。途中の武蔵浦和駅におきまして、後から参ります快速、新宿行きとの待ち合わせがございます。お待たせ致しました。まもなく発車致します」〕

 ローテンションのマリアを他所に、アップテンポな曲調の発車メロディが地下ホームに響き渡った。

〔19番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車のドアが2点チャイムを3回鳴らしながら閉まる。
 駆け込み乗車が常習的な駅だが、今回それは無かったようだ。
 すぐに電車が発車する。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は埼京線、各駅停車、新木場行きです。次は北与野、北与野。お出口は、右側です。……〕

 稲生:「マリアさん、気を取り直してくださいよ。次は上手く行きますって」
 マリア:「……よし、決めた」
 稲生:「え、何がですか?」
 マリア:「このままでは済まない。屋敷に帰ったら、今度こそ美味しい料理を作ってあげる」
 稲生:「ええっ!?」
 マリア:「リベンジだ!」
 稲生:「いや、あの、そんな、無理はしなくても……」
 マリア:「屋敷では日本料理は食べられないだろ?だったら私が作ってあげる」
 稲生:「え、ええ〜……」

 今度は稲生が塞ぎ込む番となった。

[同日22:21.天候:晴 東京都新宿区 JR新宿駅]

〔まもなく新宿、新宿。お出口は、右側です。山手線、中央快速線、中央・総武線、京王線、小田急線、地下鉄丸ノ内線、都営地下鉄新宿線と都営地下鉄大江戸線はお乗り換えです〕

 新宿駅接近を知らせる自動放送が車内に流れると、マリアは降りる準備を始めた。

 マリア:「勇太、降りる駅ここだろ?」
 稲生:「はい……」

 稲生は頭を抱えていた。

〔「新宿でお降りのお客様、ご乗車ありがとうございました。1番線に到着致します。お出口は、右側です。この電車は埼京線、りんかい線直通の各駅停車、新木場行きです。新宿を出ますと渋谷、恵比寿、大崎の順に停車致します。……」〕

 バスタ新宿ができる前、JRバスの発着場であった場所。
 その横に1番線がある。
 埼京線の池袋〜大崎間は元々貨物線。
 まるで荷捌き場みたいな雰囲気の旧ターミナルであったことから、もしかしたら、本当に1番線には貨物列車が横付けして荷降ろしをしていたのかもしれない。

〔しんじゅく〜、新宿〜。ご乗車、ありがとうございます。次は、渋谷に止まります〕

 ここで電車を降りる乗客達は多い。
 稲生達もその波に乗った。
 稲生達以外にも、大勢の旅行客の姿が見えた。

 マリア:「バスターミナルに行く前にトイレに行きたい」
 稲生:「どうぞ」

 トイレ増設工事が行われたらしいが、シーズンによってはそれでも捌き切れないと思われ、駅のトイレが空いていればそちらに行った方が得策である。
 マリアがトイレに行っている間、稲生はスマホを手にした。
 すると、イリーナから掛かって来る。
 内容は他愛も無いもので、ちゃんとマリアと仲良くやっているかというものである。

 稲生:「……はい、先生。御心配いりません。ただ……なるべく早く帰って来て頂きたいですね。……はい。僕の安全が脅かされておりまして……いえ、あの……詳しくはここでは話せないんですが……」

 今回の帰省は、『終わり良ければ全て良し』というわけにはいかなかったようである。
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“大魔道師の弟子” 「魔女の料理」 2

2019-01-22 10:17:12 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月3日15:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 上落合公園]

 稲生:「そ、それで……?一体、どういうことなんだ?」
 エレーナ:「実は昔……まだマリアンナが見習だった頃、あの屋敷で集会が行われたことがある。もちろん、今建っている場所とは別の場所だったかな」

 今は長野県北部の山中だが、稲生が初めてマリアの屋敷を訪れた時は南部にあった。
 今はJR大糸線で向かうが、当時は飯田線で向かったと記憶している。
 どちらもヘタしたら遭難フラグが簡単に立つような場所だ。

 エレーナ:「まだその時はポーリン先生とイリーナ先生のケンカもそれほどでも無かったから、私も代表でお呼ばれしたんだが……」

 その時、マリアが全員分の料理を用意したのだという。
 当時はまだ人形を操る魔法が完璧ではなかった為。

 エレーナ:「稲生氏、例えばカレーを作るとしよう」
 稲生:「う、うん」
 エレーナ:「カレーは作ったことがあるか?」
 稲生:「いや、無いな。自分で作ろうとすると、どうしてもボンカレーになる」
 エレーナ:「まあ、それは置いといてだ。作り方は分かる?」
 稲生:「一応ね。肉と野菜を炒めて鍋に水を入れ、ある程度煮込んだらカレールーを入れるんだろ?で、そのルーが融け切るまでまた煮込むんだ」
 エレーナ:「うん、まあ、だいたいそんなところだろうな。恐らく稲生氏が作る方が、まだフツーに食えるカレーができるだろう」
 稲生:「マリアさんはそうして作らなかったの?」
 エレーナ:「それが不思議なんだ。あいつも作り方は分かっていて、その通りに作り、材料もこっちの世界にある物だけを使ったはずなのに……」
 稲生:「なのに?」
 エレーナ:「いざ完成してみたら、この世の物とは思えない物が出来上がっていたんだ」
 稲生:「ええっ!?」
 エレーナ:「稲生氏、これはウソじゃないぜ?本当の話だ。後でポーリン先生が試食してみたら、『誰だ!?私が研究中の秘薬を完成させたのは!?』って驚いてたよ」
 稲生:「カレーを作ってて、魔法の秘薬ができたぁ!?」
 エレーナ:「だから本当なんだって!これは悪魔に誓って言えるからな?」

 いつの間にかエレーナの背後にいる強欲の悪魔、マモンが大きく頷いた。
 彼はキリスト教“7つの大罪の悪魔”の1人であり、エレーナの契約悪魔である。

 エレーナ:「その魔法薬は体にいい物なんかじゃない。むしろ、サブウェポンとして使えそうなものだった。そんなもの口にしたら、【お察しください】」
 稲生:「ほ、本当に?」
 エレーナ:「だから即刻中止させろ。オマエとオマエの両親の無事を確保したければ!」
 稲生:「わ、分かった!」

 稲生は急いで家に向かった。

 リリアンヌ:「え、エレーナ先輩……」
 エレーナ:「イリーナ先生は先に出発したとか言ってたな。……逃げたな。弟子、ほっぽり出して」
 リリアンヌ:「フヒヒ……」

[同日15:15.天候:晴 同地区 稲生家]

 稲生は急いで近所の公園から家に舞い戻った。
 すると!

 稲生:「うっ!」

 玄関から既に、異様な臭いが漂っていた。

 稲生:「こ、この世のものとは思えない……」

 稲生は口にハンカチを当てながらキッチンを目指した。
 まるで火災の時、煙の中を避難するかのようだ。
 で、ようやくキッチンに出るドアの前に辿り着く。
 するとドアの向こうから……。

 マリア:「Fuck!全然、柔らかくならないじゃない!」

 とか、

 マリア:「Shit!水の量が足りない!追加追加!」

 とか、終いには……。

 マリア:「Oh、no!何か変だと思ってたら、(料理本)1ページ飛ばしてたんだわ!」

 とか聞こえて来た。

 稲生:「だーっ!」

 さすがに最後のセリフが聞こえて来た時、稲生はズッコケた。

 稲生:(さ、最初は、どうせエレーナが『女子会の噂』を僕にタレ込んだだけだと思ってたけど……。どうやら、噂は本当だったっぽいぞ……。どうする?あの一生懸命なマリアさんをヘタに止めたら、僕が殺される。どうしたら、マリアさんの機嫌を損ねず中止させることができる……?と、取りあえず……)

 稲生はキッチンの中に入った。
 猛烈な臭いの源となっている場所にいるにも関わらず、マリアは全く気にする様子が無い。

 マリア:「うーむ……。ここからどうしよう……」
 稲生:「あ、あの、マリアさん……。もし良かったら、僕も手伝いますよ?悪戦苦闘されているようですし……ハハハハ……」

 するとマリア、稲生をキッと睨みつける。

 マリア:「『男子、厨房に入るべからず』でしょ!いいから、勇太は部屋でネットサーフィンでもやってて!!」

 そして、凄い剣幕で稲生をキッチンから追い出した。

 稲生:「は、はいーっ!(こあいよぉぉ……)」

 というかマリア、よくそんな格言を知っているな。
 ここは素直に従わなければ、死亡フラグが立ってしまう。
 稲生は急いで2Fの自室に避難した。
 臭いは2Fまで漂っていたが、稲生はエアコンと空気清浄機をフル稼働させて対応した。

 稲生:「しょ、しょうがない。ネットで動画でも観るか……。えーと……何がいいかな?そ、そうだ。“アンドロイドマスター”でも……」

〔狂科学者:「ふははははは!ついに完成したぞ!あのマルチタイプに勝てる新型兵器が!これを稼働させれば、あの人型殺人兵器もスクラップ同然よ!山田君、早速このスーパーロックマンの電源を入れるのだ!」
 山田:「はい、博士!」〕

 稲生:「魔法と仏法漬けの生活だったからなぁ。たまには、こういうSFものでも観ておかないと……」

〔山田:「博士!準備ができました!」
 狂科学者:「よろしい!それではスーパーロックマン、稼働!」〕

 狂科学者がガチャンとレバースイッチをONにした。

〔ドカーン!〕

 稲生:「ん?」

〔山田:「は、博士!漏電です!」
 狂科学者:「このバカモノ!」〕

 稲生:「はははははは!」

 ドカーン!

 稲生:「んんっ!?」

 今度は部屋の外から爆発音が聞こえて来た。

 稲生:「何だ何だ!?」

 家の外からではない。
 家の中からだ!
 しかも下から!
 稲生は急いで部屋の外に出ると、階段を飛び下りるように駆け下りた。
 そこで稲生が見た光景とは……!

 1:ガス爆発でキッチン全体が吹き飛んだ。
 2:鍋が爆発していた。
 3:マリアついにブチギレ、イオナズン発動!
 4:一発逆転のパルプンテでまさかの自爆!
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