[2016年12月31日22:00.天候:晴 埼玉県さいたま市 敷島家]
敷島とアリス、自宅マンションで年末特番を観るの図。
敷島:「あーあ……うちのボカロは、いつになったら紅白出れるんだろう?」
アリス:「何か圧力でも掛かってるの?タカオのグランパに頼んでみたら?」
敷島:「バカ言え。また変な注文言いつけられるのがオチだぞ。要は、業界の爺さん達、皆が皆、うちの最高顧問みたいにぶっちゃけた人ばかりじゃないってことさ。『機械に歌わせるとは何事だ!』『ロボットの分際で、人間のアイドルの頂点に立とうとするなんて!』『ロボットのくせに、おこがましいにも程がある』ってな。NHKなんかそうだよ。それに、四季エンタープライズで既に枠取っちゃってるからな、会社名は違えど、同じグループ企業が更に参加枠を取るわけには行かないってさ」
アリス:「何だか難しい話だねぇ……」
孝夫:「その代わり、正月特番はガッツリ頂いたぞ!」
トニー:「MaMa!」
アリス:「Ok,ok.Tony,come here!」
孝夫:「どうでもいいけど、日本国籍なんだから、日本語喋れるようにしような?てか、起きちゃったのか……」
キッチンでは二海に代わり、シンディが何かを作っている。
シンディ:「よし、完成」
シンディは丼をお盆に乗せて、敷島達のいるリビングに持って行った。
シンディ:「お待たせしました。年越しソバです」
孝夫:「おっ、来た来た」
アリス:「トニーにも少し分けて」
孝夫:「まだ1歳だぞ?大丈夫か?」
アリス:「大丈夫大丈夫。その代わり、十分冷ましてね」
孝夫:「それはもちろん」
シンディ:「はい、お坊ちゃま。どうぞ、こちらへ」
シンディに抱っこされると喜ぶトニー。
シンディにとっては、自分を敷島夫婦の次に相続してくれる大事な跡継ぎである。
ロイド達にとって、自分の持ち主を失うことは、大きな死活問題ということだ。
アリス:「ところで、お正月休みの間、どこにも行かないの?」
敷島:「初詣くらい行くさ。着物着たいんだろ?」
アリス:「マジで着れるの!?」
敷島:「シンディ、お前もな」
シンディ:「はい、お坊ちゃま。熱いから気をつけてください。……はい?何か言いました?」
敷島:「お前も初詣には護衛として来てもらうが、お前の分の着物も用意した。それ着て、一緒に着てもらうぞ?」
シンディ:「御冗談でしょう?護衛が着物着てたら、いざという時、動きにくいですよ」
敷島:「心配するな。いざという時は、それまでのマシンガンと替わって、新搭載のレーザーガンがあるじゃないか」
シンディ:「はあ、ですが……」
敷島:「それに、テロリストも正月三ヶ日は休みだ」
シンディ:「それはどうですかねぇ……」
敷島:「ボーカロイド達が振袖だの紋付き袴だの着たグラビアが大人気だったのは、お前も知ってるだろう?」
シンディ:「ええ」
敷島:「今じゃシンディやエミリーも、知る人ぞ知る有名機だぞ?『振袖着ないんですか?』という問い合わせが多かったんだ」
シンディ:「しかし、私の主用途は会社では秘書兼護衛、ここではメイドやナース(ベビーシッター)ですよ?グラビアなど、ボーカロイドの行う仕事は用途外です」
敷島:「何もグラビアの仕事しろって言ってるんじゃない。どうせ明日は、マスコミが張ってたりするだろう。そんな時、お前が着物を着て出たら、会社の宣伝になる」
アリス:「シンディ、深くは考えないで、着るだけ着てみたら?きっと似合うよ」
シンディ:「はあ……。博士がそう仰るのでしたら……。ご命令なら、仕方が無いですね」
シンディは渋々承知した。
[2017年1月1日00:00.天候:晴 敷島家]
シンディ:「明けまして、おめでとうございます。今年も、よろしくお願い致します」
二海:「明けまして、おめでとうございます。今年も、よろしくお願い致します」
敷島:「ああ、こちらこそよろしく。今年も沢山働いてくれよ」
アリス:「今年もよろしくね」
敷島:「と、いうわけで、さすがにそろそろ風呂入って寝るか」
アリス:「初日の出は!?」
敷島:「なに、見るのか?」
アリス:「当たり前でしょ。シンディ、日の出の予想は?」
シンディ:「あ、はい。6時……」
アリス:「その頃に起こしてね」
シンディ:「かしこまりました」
敷島:「何だよ、寝正月決め込もうかと思ってたのに……」
シンディ:「私に着物着せてまで初詣に行く御予定だと聞いたんですが?」
アリス:「そうよ。シンディ、タカオも同じ時間に起こすのよ?」
シンディ:「かしこまりました」
敷島:「それより、おせち料理とか食いたいんだがな?」
シンディ:「二海が用意してますよ。明日の朝食には出せる予定です」
敷島:「そうか。それでお前は、代わりに年越しソバ用意してくれたってわけか」
シンディ:「そういうことです」
アリス:「メイドが2人もいると楽だねぇ」
敷島:「とにかく、風呂入ってもう寝るぞ」
アリス:「タカオ、一緒に入ろう」
敷島:「マジかよ。もう夜遅いぞ」
アリス:「いいじゃない。トニーはもう眠っちゃったんだし」
敷島:「俺の『仕事始め』、元旦からかよ……」
オーナーとユーザーの夫婦が浴室に行ったのを確認すると、シンディは後片付けを始めた。
シンディ:「アタシ、代わろうか?バッテリーの交換がまだでしょう?」
二海:「大丈夫です。あともう少しで出来上がります。メイド長こそ、お先にお休みください」
シンディ:「オーナー達より先に寝てるわけにはいかないからね。とにかく、片付けは私がやってるから、あなたはお節料理の方に集中して」
二海:「了解しました」
味見はできないロイド達だが、レシピ通りに寸分違わず作れる強みはあるので、基本的にハズレは無い。
シンディ:「姉さんも姉さんで、振袖を着るみたいだね。社長も平賀博士も、考えることは変わらないね」
二海:「エミリー様が記念館から出られるのですか?」
シンディ:「アタシと同じで、年末年始だけは博士の家で過ごせるんだってさ。姉さん的には、それでもまだ不満だろうけど」
二海:「?」
シンディ:(本当はアタシと、この立ち位置を交替しろってことだろうね)
エミリーは敷島にオーナー登録してもらいたいと思っている。
敷島に仕えたいと強く願っているのだ。
もし平賀に初詣に連れて行かれたら、それを願うつもりだろうか。
敷島とアリス、自宅マンションで年末特番を観るの図。
敷島:「あーあ……うちのボカロは、いつになったら紅白出れるんだろう?」
アリス:「何か圧力でも掛かってるの?タカオのグランパに頼んでみたら?」
敷島:「バカ言え。また変な注文言いつけられるのがオチだぞ。要は、業界の爺さん達、皆が皆、うちの最高顧問みたいにぶっちゃけた人ばかりじゃないってことさ。『機械に歌わせるとは何事だ!』『ロボットの分際で、人間のアイドルの頂点に立とうとするなんて!』『ロボットのくせに、おこがましいにも程がある』ってな。NHKなんかそうだよ。それに、四季エンタープライズで既に枠取っちゃってるからな、会社名は違えど、同じグループ企業が更に参加枠を取るわけには行かないってさ」
アリス:「何だか難しい話だねぇ……」
孝夫:「その代わり、正月特番はガッツリ頂いたぞ!」
トニー:「MaMa!」
アリス:「Ok,ok.Tony,come here!」
孝夫:「どうでもいいけど、日本国籍なんだから、日本語喋れるようにしような?てか、起きちゃったのか……」
キッチンでは二海に代わり、シンディが何かを作っている。
シンディ:「よし、完成」
シンディは丼をお盆に乗せて、敷島達のいるリビングに持って行った。
シンディ:「お待たせしました。年越しソバです」
孝夫:「おっ、来た来た」
アリス:「トニーにも少し分けて」
孝夫:「まだ1歳だぞ?大丈夫か?」
アリス:「大丈夫大丈夫。その代わり、十分冷ましてね」
孝夫:「それはもちろん」
シンディ:「はい、お坊ちゃま。どうぞ、こちらへ」
シンディに抱っこされると喜ぶトニー。
シンディにとっては、自分を敷島夫婦の次に相続してくれる大事な跡継ぎである。
ロイド達にとって、自分の持ち主を失うことは、大きな死活問題ということだ。
アリス:「ところで、お正月休みの間、どこにも行かないの?」
敷島:「初詣くらい行くさ。着物着たいんだろ?」
アリス:「マジで着れるの!?」
敷島:「シンディ、お前もな」
シンディ:「はい、お坊ちゃま。熱いから気をつけてください。……はい?何か言いました?」
敷島:「お前も初詣には護衛として来てもらうが、お前の分の着物も用意した。それ着て、一緒に着てもらうぞ?」
シンディ:「御冗談でしょう?護衛が着物着てたら、いざという時、動きにくいですよ」
敷島:「心配するな。いざという時は、それまでのマシンガンと替わって、新搭載のレーザーガンがあるじゃないか」
シンディ:「はあ、ですが……」
敷島:「それに、テロリストも正月三ヶ日は休みだ」
シンディ:「それはどうですかねぇ……」
敷島:「ボーカロイド達が振袖だの紋付き袴だの着たグラビアが大人気だったのは、お前も知ってるだろう?」
シンディ:「ええ」
敷島:「今じゃシンディやエミリーも、知る人ぞ知る有名機だぞ?『振袖着ないんですか?』という問い合わせが多かったんだ」
シンディ:「しかし、私の主用途は会社では秘書兼護衛、ここではメイドやナース(ベビーシッター)ですよ?グラビアなど、ボーカロイドの行う仕事は用途外です」
敷島:「何もグラビアの仕事しろって言ってるんじゃない。どうせ明日は、マスコミが張ってたりするだろう。そんな時、お前が着物を着て出たら、会社の宣伝になる」
アリス:「シンディ、深くは考えないで、着るだけ着てみたら?きっと似合うよ」
シンディ:「はあ……。博士がそう仰るのでしたら……。ご命令なら、仕方が無いですね」
シンディは渋々承知した。
[2017年1月1日00:00.天候:晴 敷島家]
シンディ:「明けまして、おめでとうございます。今年も、よろしくお願い致します」
二海:「明けまして、おめでとうございます。今年も、よろしくお願い致します」
敷島:「ああ、こちらこそよろしく。今年も沢山働いてくれよ」
アリス:「今年もよろしくね」
敷島:「と、いうわけで、さすがにそろそろ風呂入って寝るか」
アリス:「初日の出は!?」
敷島:「なに、見るのか?」
アリス:「当たり前でしょ。シンディ、日の出の予想は?」
シンディ:「あ、はい。6時……」
アリス:「その頃に起こしてね」
シンディ:「かしこまりました」
敷島:「何だよ、寝正月決め込もうかと思ってたのに……」
シンディ:「私に着物着せてまで初詣に行く御予定だと聞いたんですが?」
アリス:「そうよ。シンディ、タカオも同じ時間に起こすのよ?」
シンディ:「かしこまりました」
敷島:「それより、おせち料理とか食いたいんだがな?」
シンディ:「二海が用意してますよ。明日の朝食には出せる予定です」
敷島:「そうか。それでお前は、代わりに年越しソバ用意してくれたってわけか」
シンディ:「そういうことです」
アリス:「メイドが2人もいると楽だねぇ」
敷島:「とにかく、風呂入ってもう寝るぞ」
アリス:「タカオ、一緒に入ろう」
敷島:「マジかよ。もう夜遅いぞ」
アリス:「いいじゃない。トニーはもう眠っちゃったんだし」
敷島:「俺の『仕事始め』、元旦からかよ……」
オーナーとユーザーの夫婦が浴室に行ったのを確認すると、シンディは後片付けを始めた。
シンディ:「アタシ、代わろうか?バッテリーの交換がまだでしょう?」
二海:「大丈夫です。あともう少しで出来上がります。メイド長こそ、お先にお休みください」
シンディ:「オーナー達より先に寝てるわけにはいかないからね。とにかく、片付けは私がやってるから、あなたはお節料理の方に集中して」
二海:「了解しました」
味見はできないロイド達だが、レシピ通りに寸分違わず作れる強みはあるので、基本的にハズレは無い。
シンディ:「姉さんも姉さんで、振袖を着るみたいだね。社長も平賀博士も、考えることは変わらないね」
二海:「エミリー様が記念館から出られるのですか?」
シンディ:「アタシと同じで、年末年始だけは博士の家で過ごせるんだってさ。姉さん的には、それでもまだ不満だろうけど」
二海:「?」
シンディ:(本当はアタシと、この立ち位置を交替しろってことだろうね)
エミリーは敷島にオーナー登録してもらいたいと思っている。
敷島に仕えたいと強く願っているのだ。
もし平賀に初詣に連れて行かれたら、それを願うつもりだろうか。