朽ちかけた竹垣の間から、子供の拳ほどの大きさの「木瓜の実」がのぞいていた。
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梅の実ほどの草木瓜は、虚庵居士の田舎でも野原になっていて、カジルと酸っぱさが口に広がった。最近になって知ったが、草木瓜の実は果実酒の王様だという。庭木の木瓜の実は香りの良いものが多いが、これほど大きな木瓜は果たしてどんな香りであろうか。
木の葉に覆われて、薄暗い竹垣の陰の木瓜は、まさに日陰者の存在で、家人からも疎んぜられている風情であった。木瓜の実は、陽射しをタップリ浴びて黄色に色づいてこそ、芳香を醸すのだが。暗闇に近い状態で写した画像を、せめて見れる状態にしたいと頑張ったのは、虚庵居士の出来る精一杯の応援の積りなのだが・・・。
木瓜は、おのれの置かれた環境を、自ら変えることは出来ないが、環境を自由に選択できる筈の人間も、意外と諦めていることが多いようだ。 自分を取り巻く環境を何とか改善したいと
モガクのは、必ずしも徒労ではあるまいに。
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野に出でて草木瓜摘みし母さまの
齢をはるかに越えにけるかも
草原に母と木瓜の実食みたれば
つばきは溢れぬ 遠き日 恋しき
木瓜の実は木陰にひそと息づきて
落葉の陽射しを待ちにけらしも