「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「野牡丹・のぼたん」

2006-09-06 15:17:42 | 和歌
 
  「野牡丹」が、紫紺色濃く咲いていた。




 車で出掛ける際に、綺麗に咲いているのを見かけたので、昼過ぎに帰宅してそそくさと観に行った。花びらの周辺がすでに縮み始めていて、写真に写すのは気の毒だったので、日を改めて午前中に訪ねた。「お待ちしてました」という雰囲気で、見事であった。紫紺の花びらは、光線の加減で赤味を帯びたり、青味が勝ったり、微妙な色合いを見せて愉しませて呉れる。

 花びらも美しいが、大きな釣り針のように湾曲して、先の鋭く尖った蕊も面白い。少年のころ鰻釣りをして遊んだが、鰻針そのものといった感じである。





 紫紺野牡丹を観て、鰻釣りを思い出すのも誠に不粋だが、少年がそのままジイサマ・虚庵居士になったのだから、仕方あるまい。






             野牡丹と刻を契るにあらねども
 
             あわれ花びら縮みて待ちにし 



             日を代えて野牡丹朝に訪ひしかば

             紫紺に咲きて待つぞいとしき



             大いなる蕊のつり針 野牡丹は
 
             たぎるこころを釣らむとするにや