「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「藪蘭・やぶらん」

2006-09-12 16:24:08 | 和歌

 「藪蘭」がかなり以前から、紫の花穂をツンと立てて、庭木の下などで存在を主張している。





 米粒ほどの莟をギッシリつけた花穂は、それ自体がユニークで美しさがあるが、花が咲くのは穂が出てから大分後だ。ここの藪蘭も、花穂の下側からやっとちらほら咲き始めたところだが、花弁の大きさも色合いも、莟と殆ど変わらないので、目を凝らさないと花の開花を見落すことになる。

 今は亡き義兄の弟子達が集まって、今年も甲府市で書展を開催された。虚庵居士の作品も委嘱されて、拙著「千年の友」に収録した作品の、歌稿を出陳した。唐紙の包み紙の隅に二行書きにした、短冊程度の大きさの細字作品だ。幹事役のS先生の丁寧な礼状には、作品に顔を付けるようにして鑑賞された、書友の皆さんの言葉までもが書き記されていて、態々お届け下さった土地の銘酒とともに、お心配りが身に沁みた。

 藪蘭に顔を近づけて花を探しつつ、共に研鑽した多くの書友が懐かしく偲ばれた。






             呼び鈴を押せば門べに紫の
 
             花穂は揺れて挨拶するらし



             藪蘭の咲きそむ小花の幾つかは
 
             あやにかつての書友と見しかも
 


             弟子達が研鑽をつみはや十五回
 
             書展開くを義兄に告げばや