「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「ひょうたん」

2006-09-04 16:16:27 | 和歌

 「瓢箪」が幾つか生って、吊下がっていた。






             いと長き産毛は稚けき瓢箪を
 
             いたわり包むや陽に輝きて



             稚けなき産毛の瓢箪はしきかな
 
             枯れ花残して逆立ちのまま 



 昼の時間帯だったので、あの白い花は咲いていなかったのが残念だった。夕暮れ近くに花を咲かせる瓢箪であるが、夕顔と同じ仲間だかららしい。花には産毛があって、夕陽にキラキラ輝いていたのが思い出される。産毛は瓢箪の実にも受け継がれて、実が大きくなるに従って、自然に産毛は消え失せる。勝手な想像だが、瓢箪の産毛は害虫から身を守る自衛手段かもしれない。瓢箪に虫食いを見かけないのは、産毛の効用だろうか。

 淡路島の義兄宅を訪ねたら、大きな瓢箪が棚からぶら下がっていたっけ。しかも、随分長い瓢箪であった。瓢箪棚の下で、瓢箪の実からどの様にして中味を取り出すか、身振り手振りよろしく説明してくれた義兄であったが、今頃は冥土の何丁目辺りであろうか。

 盆栽、人形浄瑠璃の頭創りなど多趣味の義兄であったが、それぞれに一流であった。奥方の点てて下さるお薄を頂きながら、もう一度ゆったりと語り合いたい義兄であった。






             懐かしき瓢箪の実に逢いしかな
 
             義兄と語りし夏を偲びぬ