「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「チキチキバッタ」

2006-09-05 17:50:32 | 和歌

 「うつろ庵」の庭は、夕暮れともなると、随分賑やかになった。

 日中のせみ時雨は、何時の間にか法師蝉に代わり、蜩が鳴き始めるには未だ間があるようだが、夕べの庭の主は、集く虫達にとって代わった。虚庵居士は、集く虫の声を聞き分けられる程の虫博士でないが、「こおろぎ」「チキチキバッタ」それに、虫かごから逃げ出した「鈴虫」などが誠に賑やかだ。鈴虫は鳴き始めはしたが、まだ弱々しい。あの冴えた音色に到達するには、十分な「お稽古」が必要のようだ。

 たまたまアガパンサスの葉に止まっている、「チキチキバッタ」、別名「精霊バッタ」を見つけた。八センチ程もあろうか、メスはゆったりと物怖じしない。カメラを取ってくるまで、ジッと同じ場所で構えている姿は、大物モデルの風格すら感じさせた。それに引きかえ毎朝見かけるオスは、体もメスの三分の一程度で、動きがせわしない。人間社会には、「ノミの夫婦」という揶揄した表現があるが、チキチキバッタもこの類らしい。

 夕暮れのあの甲高い鳴き方は、多分オスのものに違いあるまい。






             スマートなチキチキバッタに逢いしかな
   
             「あたしを写すの? このポーズどう~」  



             幼き日 チキチキバッタか いや違う
   
             キチキチバッタと争ひしかも   



             あの時も「おなご」はゆたに構えしが
   
             あはれ「おのこ」は争ひしかな