「藪蘭」がかなり以前から、紫の花穂をツンと立てて、庭木の下などで存在を主張している。
米粒ほどの莟をギッシリつけた花穂は、それ自体がユニークで美しさがあるが、花が咲くのは穂が出てから大分後だ。ここの藪蘭も、花穂の下側からやっとちらほら咲き始めたところだが、花弁の大きさも色合いも、莟と殆ど変わらないので、目を凝らさないと花の開花を見落すことになる。
今は亡き義兄の弟子達が集まって、今年も甲府市で書展を開催された。虚庵居士の作品も委嘱されて、拙著「千年の友」に収録した作品の、歌稿を出陳した。唐紙の包み紙の隅に二行書きにした、短冊程度の大きさの細字作品だ。幹事役のS先生の丁寧な礼状には、作品に顔を付けるようにして鑑賞された、書友の皆さんの言葉までもが書き記されていて、態々お届け下さった土地の銘酒とともに、お心配りが身に沁みた。
藪蘭に顔を近づけて花を探しつつ、共に研鑽した多くの書友が懐かしく偲ばれた。
呼び鈴を押せば門べに紫の
花穂は揺れて挨拶するらし
藪蘭の咲きそむ小花の幾つかは
あやにかつての書友と見しかも
弟子達が研鑽をつみはや十五回
書展開くを義兄に告げばや
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