クリスマスの翌日、大きなダンボールの箱を抱えた虚庵夫人が帰宅して、車から降り立った。
「何だ、なんだ?」
との問いかけに、勝ち誇った笑顔で、やおら蓋を開けると、ピンクと赤の鮮やかなシクラメンが、溢れかえっていた。彼女は、狙っていたエモノを思いのほか格安に手に入れて、至極ご満悦である。
素晴らしいシクラメンの花に、虚庵氏の頬も思わずほころんだ。やがてこのシクラメンも、「うつろ庵」の狭い庭の住人となって、毎日の水遣りのつどご挨拶してくれる、「いとしい」吾が子になるのであろうか。
寄り添いて恥じらう乙女ら 俯きて
口をとざすも すがた清しき
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乙女らの「押しくらマンジュウ」さんざめき
弾ける声を 君や 聴かまし