「うつろ庵」の隣の躑躅が、誠に見事な襲色目を創りだして、目を愉しませて呉れている。
「襲色目(かさねいろめ)」とは、平安時代の雅の世界に創り出された衣装や仕立ての色の取り合わせを言うが、この写真に見られる紫・蘇芳、蘇芳・萌葱などの取り合わせを、紫苑色(しおんいろ)と呼び、秋から冬にかけての装いに好まれたと言う。虚庵居士などは、彩り床しい衣装とは程遠い生活ではあるが、今年の冬は、つつじの葉がことのほか見事な「襲色目」を創りだして、雅の世界へ爺をいざなってくれた。
大寒の陽だまりに咲く花ならめ
かさね色目のしおん色かな