「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「幼き冬日を」

2006-01-15 21:41:17 | 和歌

 「うつろ庵」の狭い庭には、何時の間にかこの株が沢山増えた。正しい名称を知らないが、俗に「銭の木」とか「銭サボテン」と呼んでいるようだ。正真正銘の「銭のなる木」であれば、我が家は余程の金持ちになっている筈であるが、どうも俗説はあてにならぬようだ。

 この時期には、緑の葉の縁に赤紫が差して、虚庵夫妻を愉しませてくれる。既に花莟を多数つけているが、やがていっせいに白い小花を咲かせよう。虚庵居士は寒い今の時節の、葉の表情がえも言えず愛おしく、好きである。


 
 

  

             緑なす厚き葉肉はいとしくも

             赤紫の色差す冬かな



             葉の内ゆ淡き緑の花莟

             のぞけば既に赤み差しきて



             いと寒き昨夜の凍みはおみな児の

             指先こごえて赤み差すなり



             指先を朝日にかざして揉みしだく

             幼き冬日をおもほゆるかな