「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「まろび合ふ」

2006-01-12 18:53:09 | 和歌

 窓際のごく狭い敷地に、日除け代わりに植えてあった甘夏の木が、五月には甘く薫りよい白い花を付けて、愉しませてくれた。真夏には、当初の期待通り陽射しを遮って、格好の日除けの役目を果たしてくれた。「うつろ庵」の西窓は、珊瑚樹と甘夏の木陰に守られて、快適な夏を過ごすことが出来て、感謝している。今年の横須賀物産展で買い求めてきた「みかんの蜂蜜」は、味と言い香りといい、将に天下一品である。白い花の写真を撮影した時も、蜜蜂が盛んに集まって来ていたのを思い出す。
   

 



 

  

             薫りたつみかんの花の蜂蜜は

             出遭いし蜂の集めしものか



 甘夏の木は健気にも沢山の実を付けて、秋口からの黄柑は姿形も立派に育って、再び窓から目を愉しませてくれている。虚庵夫人は無類の「おみかん」好きゆえ、既にいまから収穫をも期待している風情である。

 太くもない枝は、たわわに実った甘夏の重さで、四メートル巾の私道に垂れ下がりせり出した。裏のお宅のボックスカーの屋根に触らないように、篠竹数本を束ねて支えにして、植木用の棕櫚縄で引き上げた。
  

 



             窓に観るみかんは日ごとに色付きて

             まろび合ふさま目にも好もし
  


             重なりてたわわになれる甘夏は
   
             ずしりと重く 篠竹撓ひぬ



             ダンボール一箱満たぬ甘夏を
  
             妻待ちわびて冬陽に見上ぐる



             既にはやお裾分けをも数えつつ

             撓みの支えを指図する妻