税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

詐害信託の規制

2007-10-12 08:18:56 | 法人税

おはようございます。税理士の倉垣です。

今日は、詐害信託の規制についてまとめてみました。

委託者がその財産を信託財産にすると、その信託財産は受託者に帰属し、委託者の債権者はもはやその信託財産の差し押さえなどはできなくなるはずです。

民法では、債務者がその債権者を害することを知って、自己の財産を処分した場合には、その債権者は債権保全のためその行為の取り消しを裁判所に請求することができます(債権者取消権)。

新信託法では、次のように規定しています。

11条(詐害行為の取消し等)

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委託者がその債権者を害することを知って信託をした場合には、受託者が債権者を害すべき事実を知っていたか否かにかかわらず、債権者は、受託者を被告として、民法の債権者取消権の規定による取消しを裁判所に請求することができる。ただし、受益者が現に存する場合において、その受益者の全部または一部が、受益者としての指定を受けたことを知った時又は受益権を譲り受けた時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この取り消しの請求はできません。

第4項
委託者がその債権者を害することを知って信託をした場合において、受益者が委託者から信託財産に属する財産の給付を受けたときは、債権者は、受益者を被告として、民法の債権者取消権の規定による取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その受益者が、受益者としての指定を受けたことを知った時又は受益権を譲り受けた時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この取り消しの請求はできません。

第5項
委託者がその債権者を害することを知って信託をした場合には。債権者は、受益者を被告として、その受益権を委託者に譲り渡すことを訴えをもって請求することができる。この場合において前項ただし書きの規定が準用される。

1項は、委託者が悪意(債権者を害することを認識していた)であれば、受託者の善意悪意にかかわらず、受託者に対して詐害信託の取消しを請求できる。ただし、受益者の利益も保護する必要から、受益者の一人でも受益者となった時において善意であれば、詐害信託の取消し権は行使できない。
第4項は、委託者が悪意であれば、信託財産の交付を受けた受益者(受益者となった時において悪意の者に限る)に対し、その受益者に対し取消し請求ができる。
第5項は、委託者が悪意で、受益者も悪意のときは、その受益者に受益権を委託者に戻すことを請求できる。

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