税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

企業再編における合併比率と効力発生日について

2007-10-04 08:18:46 | 新会社法

おはようございます。税理士の倉垣です。

企業再編の合併や会社分割などは、一定の手続きを順序どおり進めていかなくてはなりません。そして特定の手続きとそれに続く他の手続きとの間に一定の期間を空けることが要求されているものもあります。したがって、合併などの計画からその効力発生までかなりの月数がかかります。

既存の2社が合併をする場合を例にとると、一般的には次のようになります。

まず、両社が合併契約書を作成する。その中には当然、合併条件が記載されます。この合併条件は、被合併会社の株式1株に対して、合併会社の株式を何株交付するかという形で表現されます。この合併比率は、合併契約書作成前のある時期における、両社の株価すなわち財務内容や収益力などを考慮して決められます。この合併契約後、一定の書類を本社の備置き、債権者への通知・公告など必要な手続きを要求されます。最後に、両社の株主総会の承認を経て、その効力発生日に合併の効力が発生します。

もし、合併契約の日から効力発生日までの期間が長すぎると、契約書の合併比率と効力発生日の両者の株価に差が生じます。もちろん、合併契約の日と合併承認株主総会(効力発生日)との間の期間がほんの数日ということは、法律上不可能ですが、それでもできるだけその期間を短くする努力は必要なのではないでしょうか。

ただ、天災など特別な事由のため合併条件の変更ができる旨の内容を記載することは一般には行われているようです。

合併契約締結後、承認株主総会までに生じる様々事由のうち、どこまでを関係当事会社の合併比率の合理的な変動枠内とみるのか、またその変動事由が一般的に認められる事由であってもその変動額が異常な額に達した場合の考え方をどうするのか、難しい問題があるように思います。

最終的には、合併契約書を両社で交わし、両社の承認株主総会で承認されればそれだけで効力は発生します。

もし、合併契約書と効力発生日との間に長い期間が空き、そのため合併比率と効力発生日の株価に差が生じ、これに異議のある株主は、承認株主総会で反対の意思表示を行い自己の株式の買取請求をすることができ、また、合併後、合併無効の訴えを起こすことも認められています。
債権者については、異議を申し立てて、その異議のある債権者が特別に債権の回収や担保の提供を受けることも認めれています。

会社法上、承認株主総会と合併比率の計算日との間隔に関する直接的な規定は見当たりません。
結論は難しいのですが、私は、合併比率は承認株主総会に基礎資料の鮮度という点からも、法律上最低限守るべき間隔を空けなければいけませんが、近ければ近い方がよい。もし、やむを得ず長期になる場合でも、その中に新たな決算期を挟まないようにしたいですね。合併承認株主総会で合併比率の基礎を説明するときに、この株主総会で承認されようとしている決算数字ではなく一期前の決算に基づいているというのあまりかっこよくはないと思うのですが。


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