このところすっかり、筆無精になっていた。というより移動が多くて忙しかったのだけれど。。。
ベネズエラからシカゴに戻ってきた。
カラカスを発つ前日、スクータータクシーのドライバー、アレックスにダウンタウンまで乗せてもらい、最後の用事を済ませた。ベネズエラに着いたその日から、カラカス滞在中は毎日のようにお世話になったドライバーだ。実際は僕が金を払って雇っているのだが、そういう雇用関係や、言葉の壁を超えて彼とは友人のようになっていた。
僕の通訳を乗せていたやたらに陽気なドライバー、アビマエルに比べて、やや寡黙なアレックスだったが、それでもラテン気質はそのままで、2つのスピーカーを搭載した彼のスクーターからはいつもガンガンとメレンゲやサルサが鳴り響いていたものだ。
僕は取材にいく先々で、自分用のお土産としてその土地の音楽CDやテープを買ってくることが多い。滞在中によく耳にしていたものがあれば必ずそれを購入してくることにしている。音楽と思い出が強く結びつくから、家に帰ってきてからも、それを聴くたびに取材中におこった出来事や出会った人々が心に蘇ってくる。そういう感覚が好きなのだ。
この日、ダウンタウンで買い物を済ませた僕に、アレックスは2枚のCDを差し出してきた。「君へのギフトだよ。。。」
僕は今回もベネズエラのCDを買って帰ろうと思い、いつもスクータに乗りながら聞いていたやつを2、3枚欲しいとアレックスに頼んでおいたのだ。
「親愛なるクニへ、アレックスより」
明らかに海賊版とわかる、コピーされたそのジャケットの裏にはボールペンでこう走り書きされていた。
「今度はいつカラカスに戻ってくるんだ?」
「。。。わからないなあ。。。」
尋ねるアレックスに、特に近いうちこの国に戻ってくる理由のない僕は、下手な口約束などできるわけもなく、ただ言葉を濁すことしかできなかった。
滞在しているホテルの前で僕を降ろし握手を交わすと、急にしんみりし、うつむいて半べそになりかけたアレックス。そんな彼を見送りながら、僕も心なしか寂しくなる。
「いい滞在になった。。。」そう思った。
(写真:右端がアレックス)
ベネズエラからシカゴに戻ってきた。
カラカスを発つ前日、スクータータクシーのドライバー、アレックスにダウンタウンまで乗せてもらい、最後の用事を済ませた。ベネズエラに着いたその日から、カラカス滞在中は毎日のようにお世話になったドライバーだ。実際は僕が金を払って雇っているのだが、そういう雇用関係や、言葉の壁を超えて彼とは友人のようになっていた。
僕の通訳を乗せていたやたらに陽気なドライバー、アビマエルに比べて、やや寡黙なアレックスだったが、それでもラテン気質はそのままで、2つのスピーカーを搭載した彼のスクーターからはいつもガンガンとメレンゲやサルサが鳴り響いていたものだ。
僕は取材にいく先々で、自分用のお土産としてその土地の音楽CDやテープを買ってくることが多い。滞在中によく耳にしていたものがあれば必ずそれを購入してくることにしている。音楽と思い出が強く結びつくから、家に帰ってきてからも、それを聴くたびに取材中におこった出来事や出会った人々が心に蘇ってくる。そういう感覚が好きなのだ。
この日、ダウンタウンで買い物を済ませた僕に、アレックスは2枚のCDを差し出してきた。「君へのギフトだよ。。。」
僕は今回もベネズエラのCDを買って帰ろうと思い、いつもスクータに乗りながら聞いていたやつを2、3枚欲しいとアレックスに頼んでおいたのだ。
「親愛なるクニへ、アレックスより」
明らかに海賊版とわかる、コピーされたそのジャケットの裏にはボールペンでこう走り書きされていた。
「今度はいつカラカスに戻ってくるんだ?」
「。。。わからないなあ。。。」
尋ねるアレックスに、特に近いうちこの国に戻ってくる理由のない僕は、下手な口約束などできるわけもなく、ただ言葉を濁すことしかできなかった。
滞在しているホテルの前で僕を降ろし握手を交わすと、急にしんみりし、うつむいて半べそになりかけたアレックス。そんな彼を見送りながら、僕も心なしか寂しくなる。
「いい滞在になった。。。」そう思った。
(写真:右端がアレックス)