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映画、題名のない子守唄

 色々な映画を見てきたが、私の中でのベストテンにジュゼッペ・トルナトーレ監督の「ニューシネマパラダイス」と「マレーナ」が入っている。そのトルナトーレ監督の最新作が「題名のない子守唄」だ。日本で公開されてもう一ヶ月になるがシネスイッチ銀座で見てきた。

 北イタリアの港町トリエステ、長距離バスから降りたイレーナが主人公。ウクライナから来たというイレーナは貴金属の工房を持つアダケル家に入り込む必要があるようだ。アダケル家の日常を徹底的に観察し、家政婦として入り込むことに成功する。

 アダケル家には幼稚園に通うテアがいるのだが、イレーナとテアは次第に心を通わせるようになっていく。そこにイレーナの過去が追いつき、事態が急転していく。

 イレーナはロシアの俳優、クセニア・ラパポルト。本当に美しい女優だが、若い頃の情熱的なイレーナと、現在の感情を抑えたイレーナ、全く同一人物とは思えない二人を見事に演じ分けている。

 そしてテアを演じるのがクララ・ドッセーナ。撮影当時5歳だったという彼女、非常に繊細な演技を見せてくれる。ダコタ・ファニングやリトル・ミス・サンシャインでアカデミー助演女優賞にノミネートされたアビゲイル・ブレスリンを超える演技力だと思うが、その容姿も愛らしい。

 この映画には魅力的な俳優達、エンリオ・モリコーネの音楽とひきつけられるものは多いが、なんといってもトルナトーレ監督の緻密な構成が第一である。ことごとく予想を裏切られるストーリー展開は映画の楽しみを満喫させてくれる。

 このストーリーの背景にあるのはおよそ人間の想像できる極限状態であるが、決して荒唐無稽ではなく、そんなこともあるのだろうと思わせるから、映画に没入できるし共感できる。

 ところで、劇中で植木鉢のシーンが繰り返されるが何を表現しているのか理解していない。わかった方がいたら教えて欲しい。

 救いがたい映画のようだが、マレーナでも最後に絶対の救いがあったように、この映画でも最後のシーンですべてが救われる。トルナトーレ監督、すばらしい。


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