日本五大桜を、昨春と今春の2回に分けてめぐった。昨春に三大桜を、今春は残り二つを見物した。遠出してまで花見をしたことはこれまでにもあるが、ここまで名物の桜を追い続けるとは自分でも思ってもみなかった。登山なら全国どこへでも足を延ばすが、よもやサクラでここまでやるとは・・・。そんな感慨である。
最初の一つは軽い気持ちで出かけた。それがほかの名桜にも会いに行くのを心待ちするようになった。それだけわたしを引きつけるものがあった。
眺めている。気の済むまで眺めている。ただそれだけの行為だ。それなのに不思議と満たされる気分になってくる。それが満ちたとき、いや満ちるまでといった方がいいのかもしれないが、さよならいってその場を離れる。その繰り返しであった。
自分が団塊の“高齢者”になったからではないのだが、名桜の老いてもなおも盛んなる様を見て、元気づけられたことは確かにいえる。しかしそのパワーをもらうために出かけたつもりはまったくなかった。期待してもいなかった。
それよりも、とにかく美しかった。きれいだった。だから会いに行った。といったほうが一番素直な気持ちだろう。眺めているうちにそれぞれの持ち味というか、個性があることを知る。風格とか気品とか、その気に触れるとおのずから厳粛な気持ちになって向き合わざるを得ない。さすがだなと思いながら、そのたたずまいに心打たれるものがあった。
1、山高神代桜(山梨県北杜市) 2013年3月29日
2、根尾谷淡墨桜(岐阜県本巣市) 2013年4月8日~9日
3、三春滝桜(福島県三春町) 2013年4月10日
4、石戸蒲ザクラ(埼玉県北本市) 2014年4月5日
5、狩宿の下馬ザクラ(静岡県富士宮市) 2014年4月10日