小林製薬の紅こうじ成分を使ったサプリメント摂取後の健康被害について、具体的な症状が明らかになってきた。
日本腎臓学会の調査では、サプリの成分が腎臓に集積し「尿細管」が傷ついて体に必要な成分が再吸収できなくなる「ファンコニー症候群」がほぼ全員に起こっていたことが判明。
進行を防ぐには早期の摂取中止が重要だが、症状が出にくい人もいる。
専門家は「気になる人は血液検査を受けてほしい」と呼びかけている。
腎臓に入った血液は毛細血管の集まった「糸球体」で老廃物などをろ過し、尿細管でミネラルなど体に必要な成分を再吸収する。
残りは尿として排出され、体内の水分量を一定にする役割も持つ。
同学会の猪阪副理事長は尿細管について「薬の排せつにも働くため、薬剤が集積し障害が起こりやすい」と説明する。
サプリ摂取後に腎疾患が出た47人の症例を分析した同学会の中間報告では、うち46人が尿細管の機能異常で引き起こされるファンコニー症候群だった。
同症候群は後天性の場合は薬剤が原因の1つで、カリウムやリン、ナトリウムなどの重要な成分が再吸収されず尿に漏れ出てしまい、体内のミネラルバランスが崩れる。
その結果、倦怠感などの症状が起きて自覚することが多い。
腎機能の状態を示す「クレアチニン」の数値も上がる。
「腎臓は予備力が高いため、症状があまり出ない人も多い。
異常が見つかるタイミングは本当に人それぞれだ」と大阪市立総合医療センターの小西医師は指摘する。
同センターでも1月、サプリメントを摂取していた40代女性が来院。
倦怠感の症状があったほか、尿酸値やリン値なども低く、ファンコニー症候群に近い状態だった。
進行すると腎不全を起こし人工透析が必要になることもあが、調査結果では4分の3が摂取を中止することで改善している。
同学会などは早期の摂取の中止と、血液検査でカリウム値やリン値、クレアチニン値などの測定が重要としている。
薬剤などによる腎疾患のメカニズムについて、「腎臓に直接影響する場合と、間接的に影響が及ぶ場合の二つのパターンが想定される」と横尾・東京慈恵医大教授は説明する。
一つは腎臓の尿細管の一部が壊死を起こす尿細管間質性障害」。
尿細管の機能が低下し、フアンコニー症候群を引き起こす。
もう一つは筋肉の細胞が溶けて血管に流れ込み、腎障害を併発する「横紋筋融解症」という症状で、薬剤が原因で起きるケースもある。
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