切り絵

浮世絵を切り絵に

広重 六十余州名所図会 土佐 海上松魚釣

2017年03月22日 | Weblog

海上松魚釣

土佐国は、四国の南偏の地にあって、南は海に開き、東西には岬が突出して彎月状の地形をなしている。此処の名産は鰹である。鰹は四、五月頃陽に向かって東南の海に集まるため、相模、土佐、紀州で獲れ、特に土佐はそれを名産として昧厚く、鰹節の上品ともなり、また生食も美味である。漁捕の網は稀で釣か多く、一年中沖に出るが、三月初めより中旬までに獲れた鰹は初鰹として食すとある。図中の桶は、餌になる鰯の生飼を入れておくもので、長柄で汐を汲み入れているのは、鰯を生かしておくためである。二人の漁師が、その鰯を海中に放っている。人物の表情、波のうねりなどには生き生きとしたものが感じられ、画面に緊張感がみなぎっている。

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広重 名所江戸百景 柳しま

2017年03月16日 | Weblog

柳しま

十間川と横十間川とが合流する地点に架かる橋が、柳島橋である。画面手前の横十間川には、客を乗せた猪牙舟が浮かぶ。朱塗りの壁の内側には江戸の人々に「柳島の妙見さま」の名で親しまれた妙見堂がある。日蓮宗妙見山法性寺境内にある妙見堂に祀られている妙見菩薩は、江戸時代には災難を取り除き、福を招くと信じられ、柳島橋のたもとには、会席料理で有名だった料亭の「橋本」が描かれる。橋本」は大正12年(1923)の関東大震災で倒壊し、今はその姿を見ることができない。画面中央を横断する北十間川の対岸には、田畑が広がり、そのかなたに筑波山がそびえている。

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広重 富士三十六景 伊豆の山中

2017年03月06日 | Weblog

「伊豆の山中」

箱根宿から三島宿に至り、東海道を離れて下田街道に進み、下田へ向かう途中、天城峠を越える辺りにあった浄蓮の滝が画題となっている。この滝は、近在に浄蓮寺という寺があったことが命名の由来で滝は、狩野川の上流部、天城山の北西麓を流れる本谷川にあり、玄武岩溶岩流を流れ落ちる伊豆第一の名爆で、落差は25m、幅は7m程である。

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