切り絵

浮世絵を切り絵に

広重 関東名所図会 相模大山良弁之滝 

2014年08月24日 | Weblog

関東名所図会「相模大山良弁之滝」  (神奈川県伊勢原大山

大山は相模国伊勢原、現神奈川県丹沢山地の東南端にある著名な高峰、別名阿夫利山あるいは雨降山といい、山頂に阿夫利神社があって、大山祇神を祀る。江戸時代には石尊大権現と呼ばれ、江戸人の信仰をおおいに集めた霊山である。陰暦六月二十七日から七月十七日まで、奥社までの参詣を許し、大山詣での講中の人々でにぎわい、夏の風物詩を形作っている。講の人たちは東両国の大川端で垢離をとり、納太刀の木刀を持参して出発し、登り口の良弁の滝で身を清めて参詣、そして他人の納めた木太刀と取り替えて下山した。図はこの良弁の滝における垢離の様子を描く。

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広重 六十余州名所図会  下野日光山裏見ノ滝

2014年08月16日 | Weblog

下野日光山裏見ノ滝」 (栃木県日光市安良沢

 裏見の滝は、栃木県日光市安良沢にある荒沢滝。落差は45m、幅釣2mと規模はそれほど大きくはない滝であるが、滝の裏から落水の様子が見られたことから、「裏見の滝」と称され、日光では「華厳の滝」「霧降の滝」と並ぶ名滝であった。明治35年(1902)9月28日の暴風雨で滝口の岩が崩壊し、滝口が数メートル後に移動してしまったために、滝の裏を行く通路がせばまり、現在は通行が禁止となっている。本シリーズ中の滝は「美濃 養老ノ滝」にも通じるが、いずれも壮大なものとなっている。画面の下部に霞をたなびかせることで、さらに下にあるような印象を受け、滝壷がどこにあるのかわからない程である。菅笠を被った旅の人物が3人描かれ、滝を裏から見る奇観に驚き見入る様子が、小さいながらも細かく描かれているのが広重らしい。

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広重 六十余州名所図会 安藝 巌島祭礼之図

2014年08月07日 | Weblog

安藝 巌島祭礼」  (広島県廿日市市宮島町

「厳島」と「宮島」という呼称の使い分けについては、明確な決まりはない。

日本三景のひとつ、世界遺産にも登録された安芸厳島神社の管絃祭を描いたもので管絃祭が行われる旧暦六月十七日で夏の盛りのお祭りである。
 『芸州厳島図会』巻之五の六月の項に次の記載がある。

「十七日夜船管絃 十六日の夜 御船三艘を御池にならべ座をつらね、竹にて籬を結ひ屋形を作り、さまざまの彩花燈籠を懸く、これを御船組といふ。十七日申の尅大鳥居の正面より乗り出す。諸祀官座主供僧各装束をなし御船に候す。水主十四人烏帽子素袍袴にてその行儀最厳重なり。是を御船泛といふ。この夜府下より御供船とて百余艘をいだし、其粧甚壮観にして舌端筆頭の尽すべきにあらず、(中略)実に海西の大祭当社の勝事なり」

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