切り絵

浮世絵を切り絵に

英泉 蘭字枠江戸風景画 江戸高縄の景

2013年03月16日 | Weblog

「江戸高縄」 (東京都港区高輪)

英泉はこの地域を、大木戸の付近に焦点を当てて描いている。その描写はかなり克明で、ここの象徴ともいうべき石塁を二個ともきちんと描いている。この石塁は、ここが江戸の入口として重要であったので、宝永七(一七一〇)年に、横四間、長さ五間、高さ一丈の規模で、東海道の左右に設けられたものである。この傍らに大八車が数両置かれているが、近所に牛を飼う牛町あったので、ここへ運んだものであろう。左方の家の前の行灯に「あなご」の字が見え、生活臭が漂う。

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渓斎英泉 江戸八景 芝浦の帰帆

2013年03月09日 | Weblog

芝浦の帰帆」  東京都港区芝浦{歴史}

 芝浦は本芝町の東の海浜で、芝口新橋から南、田町あたりまでの海浜を称する。古く竹芝の浦といったのをつづめてこう呼んだ。芝浜ともいい、雑魚場があって海上の船舶の往来が繁かった。英泉はその沖合から西方にそびえる富士山を望んで、この海上の夕暮れに帆船が浜へ向かって帰る状景を描いた。矢橋の帰帆になぞらえたわけだが、漁場の芝浦だけに見立が自然で、しっくりとあてはまっている。なお、富士を横切る白雲が左の空中へ流れて自然の空間を形成しよくまとまっている。

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英泉 蘭字枠江戸風景画 江戸両国橋

2013年03月02日 | Weblog

江戸両国橋ヨリ立川ヲ見ル図  (東京都墨田区両国)

黒地白抜で蘭字枠風景画とありオランダ文字のつもりかも知れないが記号にしか見えない。

両国橋の西岸から東両国一帯を望んだ図である。近景の葭簀張りは、種々の商い店、左下から立つ幟に「大坂下リかるわざ…」の文字が見える。ここから向こうへ架かる橋が両国橋で、橋上は雑踏をきわめ、中ごろを槍を立てた行列が行く。橋の東詰に高くそびえる蓆張りの構築物は軽業などの見世物小屋で、その背後の樹林の向こうに見える大屋根が回向院である。そしてこの東岸の右端、家並みが切れて奥の方へ入る川筋が立川(竪川)で、本所を貫通して中川に通じる堀り割りである。河中に遊山船が浮かび、名所絵らしい特色を克明に描いている。

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