切り絵

浮世絵を切り絵に

国芳 東都名所 浅草今戸

2014年10月27日 | Weblog

「浅草今戸」

今戸は隅田川の西岸、山谷垣がこの川に直角に注ぐ合流点から北へかけての川沿い一帯の地をいう。この地の粘土質の土壌が焼物に適し、瓦を焼く職人が多く、瓦のほかに人形その他の焼物を製造した。これらを総括して「今戸焼」といい、江戸名物の一つであった。国芳は、その瓦を焼く窯を主題にとり、瓦焼きを営む職人や周囲の光景を、洋画の視覚で捉えて描出した。窯から立つ煙のうねりと、拭きばかしによる洋風の濃淡が印象的である。遠方にボッカリと藍色に浮かぶ山は筑波山。窯のくねり、人物のプロポーション、白雲などが近代的描法で描かれている。

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広重 富士三十六景 武蔵本牧の端

2014年10月19日 | Weblog

武蔵本牧の端

本牧(現在の神奈川県横浜市中区)はもと江戸湾(東京湾)に突き出た台地で、「はな」つまり突端は本牧岬と呼ばれ、垂直に切り立った崖で知られていた。画面右手の絶壁が本牧岬の崖である。現在は埋め立てによって周囲は陸地になってしまったが、本牧市民公園付近には崖の一部が残っており、往時の景観をしのぶことができる。本図では本牧岬の南の海上から西を望み、海の向こうには磯子浜が見えている。背後には丹沢山地と富士山が姿を見せ、すっきりとした構図を組み立てている。

クロスパズル

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広重 六十余州名所図会 但馬 岩井谷窟観音

2014年10月09日 | Weblog

「但馬 岩井谷窟観音」 

岩井谷窟観音は、兵庫県朝来市岩津にある鷲原寺の奥の院として、寺から渓谷を1キロほど上流にいったところにある。そこには高さ六〇メートル余の大岩壁が立ちはだかり、その岩中の大洞窟に十一面や千手観音像を中心に多くの御仏が祀られてあり、これらを総称岩屋観音と呼んでいる。画面右下に渓谷の清らかで流れの早い、水音をたてる滝を描き、左上には岩のみの静かな峻嶺を描く。この二つの間に寺の堂宇を点在させ、森厳たる山奥の趣を巧みに描写している。山間から這い出てきたような赤い「すやリ霞」が次第に拡がって、中央がさながら白雲の如くなっているのは、自然さがあって生きた構図を形成している。

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