切り絵

浮世絵を切り絵に

広重 本朝名所 遠州秋葉山

2014年09月30日 | Weblog

遠州秋葉山」  (静岡県浜松市天竜区春野町

秋葉神社は、近世三尺坊大権現と称し、鎮火の神として崇められた。この神社のある秋葉山は標高八六六メートル。「合羽着て鹿にすがるや秋葉道」と詠まれた秋葉山は、山そのものはあまり高くはなかったが、樹木のうっそうとした所であった。ここでは広重得意の雨景をもってし、雨合羽に身をつつむ者などを描き、旅情をもよおさせる画面となっている。雨線もソフトに描かれ、シルエットになっている山塊の彼方には、黄色をもって遠方の空の晴れ渡るさまを表している。参道の両側にある杉並木の遠近法にも手馴れたものをみせ、自然の奥行きを感じさせている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

広重 六十余州名所図会 越後親しらず

2014年09月19日 | Weblog

越後親しらず

親不知は、現在の新潟県糸魚川市青海から市振まで釣10kmに及ぶ海岸線にあり、断崖が海に落ちると形容されるほど高く険しい。絶景であると同時に、旅人にとっては北陸街道一の難所でもあった。絶壁の岩根には大きな穴がいくつもあって、海の荒れた時には、大波から逃げ込んでも後から来る波が襲いかり、親も自らを守るのに精一杯で、子を見返る余裕もない。本図の波打ち際を行く人々の歩みも心なしか速く見える。ここを通り抜ければ、左手奥に見える集落・外波の村に出る。右は市振の関に至.り関を越えればもうすぐ越中である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

広重 六十余州名所図会 播磨 舞子の浜

2014年09月09日 | Weblog

播磨 舞子の浜」   (兵庫県神戸市垂水区海岸通

 舞子の浜は、神戸市の南西部、垂水区の浜辺ある。舞子の浜は明石海峡を挟んで最も淡路島に近く、その眺望のよさもあり、図会の挿絵にも浜の茶屋から淡路島を眺める人々が描かれている。平成10年(1998)には全長3900mの吊り橋・明石海峡大橋が架稀され、風景は大きく変わったが、公園が整備されるなど、白砂の浜を維持するよう努められている。広重は「本朝名所播州舞子之浜」で浜から松越しに淡路島を望むように描いているが、本図ではその視線を浜に移し、名高い松原だけを描こうとした。手前の松の木は大きく、遠景の松や人物は小さく、その強い対比によって遠近感が表親されている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする