切り絵

浮世絵を切り絵に

広重 富士三十六景 東都数寄屋河岸

2014年01月17日 | Weblog

東都数寄屋河岸」(東京都中央区有楽町)

夜のうちに降り積もった雪は一面を銀世界にして、明け方には上がったようだ。画面に広がる江戸城外濠には未だ何艘もの舟が莚に雪を被ったまま停泊している早朝のひとときを描いている。中央の石積みの土手を右に進むと数寄屋御門に続く数寄屋橋が架かっているが、右岸に築かれた石垣の陰に隠れて見えない。晴れ渡った空のもと、澄み切った空気のおかげで真っ白な富士山がくつきりと姿を見せている。江戸城の南東、外濠沿いの、数寄屋造りの屋敷が多かったことから数寄屋町と名付けられた界隈の河岸を数寄屋河岸と言った。

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英泉 蘭字枠江戸風景画 江戸日本橋

2014年01月09日 | Weblog

「江戸日本橋ョリ富士ヲ見ル図」  (東京都中央区日本橋)

 英泉の黒地白抜き蘭字枠風景作品のなかで、構図にまとまりがあり、配色も落ち着いた標率作とみられるものである。日本橋川を上流の方へ、日本橋、一石橋・江戸城と送り込み、武相丹沢の遠山越しに見える富士山へと辿る遠近画法がなだらかに推移していく。橋梁や家並みのタッチは漢画的な硬い描線を用い、樹葉群や山脈のひだには洋風の陰影を施している。そして背景の青空にはやはり洋画めいた白い湧き雲を立たせるなど、様式の混交はありながら、玉盤絵(ガラス絵。ガラスに裏面から絵の具を塗り重ねて作る絵)を見るような効果を出している。

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