切り絵

浮世絵を切り絵に

広重 富士三十六景 武蔵野毛横はま

2016年09月24日 | Weblog

武蔵野毛横はま

高い視点から海面を僻撤し、西方の富士山を望む。画面中ほどの松が群生する陸地は州干島といい(神奈川県横浜市中区)、現在は周囲を埋め立てられていて、当時はこうした砂洲だった。その右手には野毛浦の家々が見える。右端の緑色のなだらかな丘陵は野毛山で、紫の雲の上にはごつごつした大山と富士山が姿を現している。広重は横に伸びる丘陵地と紫の雲で画面を上下に二分し、あたかも富士山の影が海面に映ったような位置に州千島を配している。六艘の帆船を手前から奥に向かってだんだん小さく描画して、人物はまったく見られない。   

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広重 名所江戸百景 堀江ねこざね

2016年09月13日 | Weblog

堀江ねこざね

境川を挟んで、南(画面左)が堀江村、北(画面右)が猫実村。林立する民家の屋根が、リズミカルに配されている。鴻之台を南下した江戸川河口の景で、現在の千葉県浦安市。両村とも漁業が盛んで、また江戸への塩の供給源でもあった。さらに、鴻之台から千葉方面への交通のポイントでもあり、多くの人がここを経由した。手前を流れるのは境川、その上に架かるのは境橋である。右方松林のなかに見える神社は、豊受神社。古来水害の多い地域だったが、とくに甚大な被害を被った永仁の大津波(一二九三年)のあと、豊受神社付近に堤防を築き、松を植えて、川水が松の「根を超さぬ」よう願ったのが訛って、「猫実」の村名になったといわれる。

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広重 六十余州名所図会 信濃 更科田毎月 鏡台山

2016年09月05日 | Weblog

信濃 更科田毎月 鏡台山

信濃国は現在の長野県全域にあたる。田毎の月とは、信州姨捨にある棚田に映る月の事であり、長野盆地の姨捨山を中心とする更科の地は田毎の月の名所である。画面中央に綺麗な満月、右側に青い棚田と反射する月、左側には千曲川が描かれている。田圃毎に多数の月が描かれているがイメージであって実際にはありえない、水面は水平であるから一つしか映らない。

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