切り絵

浮世絵を切り絵に

六十余州名所図会 築後 簗瀬

2014年06月28日 | Weblog

築後 「簗瀬」  (福岡県の南部地域)

 筑後川は一名千年川といい、その上流日田の境より久留米を通り海口までおよそ十七里。九州第一の流れで、その水の利害は下流において種々の争議をかもしだした。この川は古来から鮎の名産で知られ、上流部から中流部が漁場であった。筑後では簗瀬、筑前では細渡(戸)瀬といわれ、川を横切る瀬筋は、双方で二分された漁場になっていた。筑後側では川をせき止め梁(やな)をかけて鮎をとるので簗瀬(やなせ)と呼ぶ。一方、筑前側では竹や木で川に簀子(すのこ)を立て網を打つ方法をとるので、網渡瀬と呼んでいた。

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広重 名所江戸百景 高輪うしまち 

2014年06月03日 | Weblog

高輪うしまち」 (東京都港区高輪

 「うしまち」は牛町のことであるが、これは俗称で、正規には車町という。増上寺建立のさい、京都から牛車を多く入れ、その牛の小屋があったのでこの名がある。高輪大木戸に近く、前はすぐ品川の海で、広重は牛車を岸に大きく据え、海を眺望した図とした。かじり捨てた路上の西瓜の皮に夏の季節を知らせ、天空に弓なりに引いた虹が、夕立のあとの空気を伝える。切れわらじの緒をくわえた犬ころの姿に現実昧がある。虹と車輪の二つの弧のはさむスペースに品川湾が展開し、黒い御台場に対し、藍をぼかし上げた海面の白さが水光の反射と見え、明るく爽やかな画面となっている。

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