切り絵

浮世絵を切り絵に

広重 六十余州名所図 若狭漁船鰈網

2015年04月23日 | Weblog

若狭漁船鰈網」 (福井県小浜市)

若狭の小浜は、越前の敦賀と並んでで、日本海側有数の港として繁栄した。越前岬と経ヶ岬に挟まれた若狭湾は、天然の漁場として漁業が盛んで、古くから活況を呈していた。陸路で結ばれた京都の消費を賄う産地として重要で、「鯖街道の別名のある若狭街道を通ったのは鯖だけでなく、鰈も有名であった。一夜塩水に浸したものを乾かした蒸鰈は、途中の宿に止めることなく即日京都に運ばれ、珍味として賞された。三十石ほどの船に乗った漁師10数人が左右二手に別れ横に掛けた帆の力を借りて舶網を曳く。網の縁は海上に浮き、錘の重さによって網は沈んで行く。綱の中に見られる蟹は、海底に住む鰈を捕るために、多くの混じるのだと云う。

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広重 富士三十六景 駿河薩タ之海上

2015年04月14日 | Weblog

駿河薩タ之海上」(静岡市清水区由比町

 左手に切り立つ絶壁が薩埵山で、向こうに清見潟(駿河湾)と愛鷹山、富士山を遠望している。由比から興津にかけては、かつては薩埵山の絶壁の波打ち際を通る道で「浪の関所」とも称される難所であった。江戸時代になって峠道が開鑿され、波にさらわれる危険はなくなったが、急勾配の峠を越えなくてはならない。その分、眺望が素晴らしく、駿河湾越しに富士を望む薩埵峠の景観を多くの画家が描いている。

葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の影響が見られるが広重はこれらの要素を、縦長の画面に巧みに構成し、鮮やかな色彩で広重らしい作品に仕上げている。′

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広重 六十余州名所図景 讃岐象頭山遠望

2015年04月06日 | Weblog

讃岐象頭山遠望

「金毘羅さん」と親しまれる金刀比羅宮は、農耕と航海の神を祀り、瀬戸内海運が盛んになるにつれ、航海神の性格を強めた。伊勢参りのように、金毘羅参りを一度は叶えたいと願う人々が全国から集まり、近畿以東からの参詣者は大坂で、丸に金の印のある金毘羅船に乗って丸亀に入った。丸亀街道から奉納の鳥居や燈籠の並ぶ参詣道を進んで琴平に向うと、眼前に象の頭部に似た山が現れる。その形から象頭山と呼ばれる琴平山で、山腹に金毘羅宮の社殿などが建ち並び、1368段の石段を登って本殿に至る。

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