切り絵

浮世絵を切り絵に

広重 富士三十六景 上総黒戸の浦

2016年02月22日 | Weblog

上総黒戸の浦

黒戸の浦は、現在の千葉県木更津市に位置する。図は手前に小櫃川の河口を、画面の中央に大きく江戸湾を描き、その向こうに富士山を配している。江戸時代、木更津湊は江戸へ運ぶ物資が集まる地として栄え、江戸と木更津をむすぶ海路には多くの船が往来していた。本図にも、漁舟のほかに、旅客や物資を運ぶ大きな五大力船の姿が見える。水平線と画面手前の岸を湾曲させることで、江戸湾はほのかに丸みを帯びた形で描かれている。この絵は高い所から俯瞰する視点で描いたもので、縦長の画面の中に、広々とした江戸湾を一望する様子を収めるために此の様な視点が採用されているのですが、ほかにも江戸湾の伸びやかさをより強める工夫がされている。漁舟に乗る漁師の姿は、画面奥へ行けば行くほど省略して描かれていることで遠近感が創出されている。また中央左側に描かれた五大力船よりも水平線近くの江戸に向かう帆船が小さく描かれていることも海の広さを強調している。  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

広重 名所江戸百景 八景坂鎧掛松

2016年02月11日 | Weblog

名所江戸百景 「八景坂鎧掛松

画面中央に描かれる巨大な松は、平安時代後期の武将八幡太郎義家が休息し鎧を掛けたとの伝承をもつ鎧掛松で、曲がりくねった枝ぶりが特徴的である。樹齢800年を超す大木で高さは20メートルを超したという。中原街道の新井宿-大井間の八景坂の坂上にあり、遠景には品川の宿を望む。現在の太田区山王の池上通りにあたり、眺望に優れたこの場所には茶屋が置かれている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

六十余州名所図会 河内 枚方 男山

2016年02月03日 | Weblog

河内 枚方 男山」    (大阪府枚方)

 河内国(現在の大阪府)は東南に山岳を擁し、淀川が西北を、そして大和川がその中央を流れ、交通至便で発展をみせていた、枚方は淀川の水駅として名高く、徳川幕府はここに船番所を置き、上下する舟をきびしく監視し、伏見と大坂の間の航行を掌握していた。京・大坂を結ぶこの淀川左岸沿いに走る京街道に設置された宿駅枚方は、遊里としても賑わいを見せた。男山は河内と山城両国の国境にあって北方に淀川を臨む京都への関門で、有名な石清水八幡宮の西にある。淀川の曲がった川筋には悠々として水が流れ、それに応ずるがごとく男山が泰然と上空を圧している。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする